カム形態は,股関節OAを予測する
📖 文献情報 と 抄録和訳
カム形態は、10年以内の4回の追跡調査を通じて、X線学的変形性股関節症の発症と強く一貫して関連している
[背景・目的] 10年間の追跡期間内の4つの時点におけるカムの形態とX線透過性変形性股関節症(RHOA)の発症との関連を明らかにすること。
[方法] デザイン全国規模の前向きコホート股関節・膝関節研究(Cohort Hip and Cohort Knee study)には、45~65歳の1002人が参加し、2年、5年、8年、10年の追跡調査を行った。ベースライン時に変形性関節症のない股関節(Kellgren & Lawrence(KL)グレード<2)におけるカム形態(α角>60°)および大きなカム形態(α角>78°)と、RHOA(KLグレード≧2)および末期RHOA(KLグレード≧3)の発症との関連を、各経過観察時点および10年間のCox回帰を用いて、一般化推定方程式を用いたロジスティック回帰を用いて推定し、年齢、性別、肥満度で調整した。
[結果] カム形態と大きなカム形態の両方が、すべての追跡調査において、カム形態では2.7(95%信頼区間1.8-4.1)から2.9(95%信頼区間2.0-4.4)、大きなカム形態では2.5(95%信頼区間1.5-4.3)から4.2(95%信頼区間2.2-8.3)の範囲の調整済み奇数比(aOR)で、RHOAの発症と関連していた。末期RHOAでは、カム形態のaORは4.9(95%CI 1.8-13.2)から8.5(95%CI 1.1-64.4)の範囲であり、大きなカム形態のaORは6.7(95%CI 3.1-14.7)から12.7(95%CI 1.9-84.4)の範囲であった。
[結論] カム形態は、10年間の追跡期間内にRHOAを発症するオッズを2~13倍増加させた。この関連は、大きなカム形態と末期のRHOAで特に強く、関連性の強さは経時的に一貫していた。
🌱 So What?:何が面白いと感じたか?
熟練の外科医は、レントゲン画像を見たときに、病巣や重要な箇所が浮かび上がって見えるという。
もちろん、実際にレントゲンがそのようになっているというわけではない。
それまでの経験や知識に裏打ちされたデフォルメ(強調)画像が、その外科医にだけは見えているのだ。
このように、現実への意味づけが、現実の見え方に汎化されることを『理論負荷』と呼んだりする。
すなわち、どこを見ればいいかという「着眼箇所」と「意味」が明確であると、世界の見え方が意味を持たない全部ではなく、意味を持った限定的な点として映るらしい。
例えば、「探せ!」と突然言われたら困ってしまうが、
「ウォーリーを探せ!」と言われたら、しっかり探せると思う。
これは、着眼箇所と意味が明確だから、探せるわけだ。
今回示されたのは、「カム形態(アルファ角)」はしっかり着眼した方が良さそう、ということ。
これまで、あまり日常的に計測してこなかった骨形態(レントゲン上の評価)だ。
その後、10年間の股関節OA発症や末期股関節OAを予測するらしい。
新たな理論負荷が、1つ加わった。
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