幼児の気質 × 腸内細菌
📖 文献情報 と 抄録和訳
幼児期の気質は腸内細菌叢の組成と多様性に関連する
[背景・目的] 気質は、ヒトの精神的健康と認知的・感情的発達の重要な予測因子である。ヒトの恐怖行動は乳児期の腸内細菌叢と関連があると報告されているが、乳児期の腸内細菌叢は、腸内細菌叢の多様性と組成が確立される最初の5年間で劇的に変化する。この時期は、情動制御に関与する前頭前野の発達にとって極めて重要である。
[方法] 本研究では、3~4歳の就学前児童284人を対象に、気質と腸内細菌叢の関係を調査した。子どもの気質は、Children's Behavior Questionnaireを母親が報告することで評価した。腸内細菌叢(α/β多様性と属数)は、便サンプルの16S rRNA配列決定法を用いて評価した。
[結果] 抗炎症性細菌(Faecalibacteriumなど)が少なく、炎症性細菌(Eggerthella、Flavonifractorなど)が多いことは、不快情動とストレス反応の高さ(すなわち、負の情動性、β=-0.17、p=0.004)、快情動と新奇刺激への探索接近の低さ(すなわち、外科的/外向性、β=0.15、p=0.013)と関連していた。さらに、腸内細菌叢の多様性は、反応開始の速さ(すなわち、衝動性、surgency/extraversionの特異的側面、β = 0.16、p = 0.008)と関連していた。
[結論] 本研究は、気質の生物学的メカニズムに関する洞察を提供し、心理的/感情的リスクの予測マーカーを同定するための重要な一歩を踏み出した。
🌱 So What?:何が面白いと感じたか?
以前に、ストレスが腸内細菌に及ぼす影響についての文献抄読をした。
この際には、ストレス(精神に加わる外刺激)→腸内細菌に対して悪影響を及ぼす、という方向性だった。
今回の抄読研究は、この逆方向の視点で調査をしている。
つまり、腸内細菌→ストレス反応や不快情動の表出といった「気質」、である。
その結果、炎症誘発に関連する腸内細菌の多さ、抗炎症に関連する腸内細菌の少なさが、気質との関連を認めた。
子どもが、何か怒りっぽい、恐怖心が強い・・・、など気質に何らかの不調をきたしている時。
気持ちからの解決を図るのではなく、『腸内細菌』から解決を図ろうとすることも、一案かもしれない。
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