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THA×脊椎骨盤アライメント。近年の論文出版の動向レビュー


📖 文献情報 と 抄録和訳

人工股関節全置換術における脊椎骨盤アライメントの文献分析

📕Harrer, Samantha, et al. "Bibliometric Analysis of Spinopelvic Alignment in Total Hip Arthroplasty." JAAOS Global Research & Reviews 7.6 (2023). https://doi.org/10.5435/JAAOSGlobal-D-22-00182
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[背景・目的] 原因不明の術後脱臼は、人工股関節全置換術(total hip arthroplasty, THA)後の懸案事項である。THAにおける安定性に対する脊椎骨盤アライメントの重要性に対する関心が高まっている。本研究の目的は、THAにおける脊椎骨盤アライメントに関する論文発表の傾向、関心のある分野、今後の研究の方向性を分析することである。

[方法] 1990~2022年に出版されたTHAにおける脊椎骨盤アライメントに関する論文を、Web of Science Core Collection of Clarivate Analytics(WSCCA)を通じて入手した。タイトル、抄録、全文でスクリーニングした。包含基準は、THAにおける脊椎骨盤アライメントの臨床トピックに関する英語の査読付き学術誌出版物とした。出版傾向を特徴づけるために、書誌測定ソフトウェアを使用した。

[結果] 1,211件の論文をスクリーニングした結果、132件が抽出基準を満たした。
■ THA×脊椎骨盤アライメント:出版論文数の近年の推移
・1990年から2022年まで、THAにおける脊柱骨盤アライメントに 関する論文は132編発表された。
・出版は2019年に劇的に増加し、2020年にはわずかに減少し、2021年にピークに達した。
・全出版物の50%以上が2019年から2021年の間に生産された。

■ THA×脊椎骨盤アライメント:掲載論文数トップ10
・THAにおける脊椎骨盤アライメントに関 して最も活発なジャーナル上位10誌を図にまとめた。
・Journal of Arthroplastyが132枚のうち47枚を占めていた。
・次に出版件数が多かったのは、Bone and Joint Journal誌で、分析した132の論文のうち13が出版された。
・これらの雑誌の出版社は、米国と英国に多く、次いでドイツとフランスである。

■ THA×脊椎骨盤アライメント:出版論文数の国別推移+施設別
・THAにおける脊椎骨盤アライメントに関する国別の出版数を、最も活発な上位10カ国について図に示す。
・1990年にフランスがTHAにおける脊椎骨盤アライメントに関する研究を開始し、2007年に米国とフランスがほぼ同数の論文を発表した例外を除き、2011年まで出版数でリードしていた。
・2012年には、米国がTHAにおける脊椎骨盤アライメントに関する研究を最も多く発表し、2013年には、米国と日本がほぼ同等の論文を発表した。
・その後、2014年から2021年にかけては、米国が脊椎骨盤アライメントに関する論文発表において最大の貢献者となり、発表された論文の年間50%近くを占めた。
・2022年現在のところ、米国とドイツが活発な論文発表でリードしている。
<施設別ランキング>
・最も生産性の高い研究機関トップ10の活動については、Hospital for Special Surgeryが26論文で1位、New York Universityが14論文で2位、Mayo Clinicが9論文で3位であった。
・最も生産性の高い研究機関トップ7には、日本の研究機関が2つ入っている。
・米国と日本に加え、ロンドン大学インペリアルカレッジとメルボルン整形外科グループが最も活発な研究機関を構成している。

キーワードの頻度を分析したところ、「骨盤の傾き」、 「前捻」、「寛骨臼コンポーネント」の位置に対する関心が 高まっていることが示された。

[結論] 本研究により、THA施行時の脊柱・骨盤の可動性とPTに対する関心が高まっていることが明らかになった。脊椎骨盤アライメントに関する研究は、米国とフ ランスが最も多かった。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

このような研究のスタイルもあるのだなと思った。
今回の研究論文を読めば、例えば「日本でTHA×脊椎骨盤アライメントの研究をしたいのだが、就職先や研究機関としてどこを選べばいいか?」という疑問の一部は解決されるかもしれない。
また、「THA×脊椎骨盤アライメントの研究をしたが、どこの雑誌に投稿したらいいか?」ということにもヒントが得られそうだ。

最近、面白い体験をした。
ぼくは、蕎麦が好きだ。
だが、蕎麦屋などにはほとんど行ったことがなく、“緑のたぬき”を食す程度の嗜みだった。
ある患者さんから、「群馬で蕎麦を食べるならここだよ」という話を聞いて、その蕎麦屋に行った。
衝撃の美味しさだった!!!
素人は、識者に意見を伺うことで、試行錯誤せずに一気に頂上からの景色を見ることができる、と学んだ。

今回の論文を読んだ体験は、それに近いものを感じた。
その分野について、最新のレビュー論文を学ぶことで、さながら識者に意見を伺ったような効果が得られる。
まず、頂上からの景色を眺めた上で、そこに登頂したい。

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