似て非なるもの。関節包内 vs. 関節包外の大腿骨近位部骨折
📖 文献情報 と 抄録和訳
股関節骨折の患者は、カプセル外骨折とカプセル内骨折の2つの異なるリハビリテーションの亜集団であるか?
[背景・目的] 急性期リハビリテーション施設において、被殻内と被殻外の股関節骨折患者の背景特性に違いがあるか、また骨折のタイプがリハビリテーションの結果に影響を与えるかどうかを評価する。
[方法] レトロスペクティブ・コホート研究。アウトカム評価機能的自立度評価(Functional Independence Measure, FIM)、運動機能評価(mFIM)、mFIMの効果、入院期間(length of hospital stay, LOS)、および退院先。様々な検定により、関連性(マン・ホイットニーのU、カイ二乗、ロジスティック回帰)、母集団差(t検定)、退院時FIMスコアの独立予測因子(多重線形回帰モデル)の評価を行った。
[結果] 687名の患者がリハビリテーションプログラムを完了した。
両群とも、併存疾患、リハビリテーションの成果、退院先はほぼ同じであった。回帰分析により、骨折の種類は退院時のFIMスコア、および良好な機能回復を達成する確率とは関連しないことが示された。
[結論] 急性期の関節包内骨折と関節包外骨折の患者は、人口統計学的にも臨床的にも2つの異なる亜集団である。しかしながら、時間をかければ、関節包外骨折患者は関節包内骨折患者と同様の機能的達成を得ることができる。
🌱 So What?:何が面白いと感じたか?
ネコとライオン。
この2種は、同じネコ科だが、似て非なるものだ。
ネコをライオンと同じ科だからといって、『食べられてしまう』と畏れる人は滑稽だ。
逆に、ライオンをネコと同じ科だからといって、『かわいいねぇ』と撫でようとする人は・・・。
大きなくくりの中にいる2種の集団が、まったく異なる特徴を持つ場合、その特徴を知ることは重要だ。
僕たちは、大腿骨近位部骨折という大きなくくりの中で、関節包内骨折と関節包外骨折をほぼ同様のものとして認識し、また扱っていないだろうか。
今回の研究は、この2種の集団が、統計学的に違った特徴を有する、異なる集団であることを明らかにした。
大まかには、関節包外骨折の方が、機能レベルが低く、問題となりやすいようだ。
臨床的な実感としても、納得がいく結果だろう。
気になるのは、デモグラフィックデータだ。
関節包外の方が、
・高齢だった → ❓
・男性の割合が有意に高かった → 女性の方が骨密度が低くより強固と思われる転子部や転子下が骨折しやすい❓
・高学歴の割合が有意に低かった → 転び方に影響❓
・介護者と同居の割合が有意に低かった → 高齢だから❓
ここの解釈は、よくわからない。
事実として認識しておき、アンテナをつくっておき、次なる情報を待とうと思う。
とにかく、関節包内骨折と関節包外骨折は、似て非なるもの。
それだけは認識しておく。
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