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ランニングエコノミー. 最適化のための理論的枠組み
📖 文献情報 と 抄録和訳
ランニングエコノミーを最適化するシューズのカスタマイズ:理論的枠組み
📕Connick, Mark J., and Glen A. Lichtwark. "Individualization of Footwear for Optimizing Running Economy: A Theoretical Framework." Journal of Applied Biomechanics 41.1 (2024): 1-7. https://doi.org/10.1123/jab.2024-0109
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✅ 前提知識:ランニングエコノミーの定義
・この研究におけるランニングエコノミー(Running Economy, RE)の定義は、「一定のサブマキシマル(最大努力以下の)ランニング速度で、重心(Center of Mass, COM)を移動させる際に必要な酸素コスト」である。
・ランニングエコノミーは、通常、1 km または 1 分間あたりの酸素消費量(mL/kg/km または mL/kg/min)で測定される。
・酸素消費量が少ないほど、ランニングエコノミーが良い(=効率的に走れる)とされる。
[レビュー概要] ランナーと環境条件(同じ路面、勾配、周囲温度、時間帯など)が与えられた場合の、シューズ特性の変化がランニングエコノミーに及ぼす因果効果の総計を示す有向非循環グラフ。
■ ランニングエコノミ−:最適化のための理論的枠組み
・総合的な効果は、実験室での研究で測定される。
・総合的な効果は、2つの異なる経路の合計。
・直接経路:経路「a」は、ばね質量特性の変化によるエネルギーコストの変化に対する、シューズ特性の変化による直接的な効果を表す。ばね質量特性の変化によるエネルギーコストの変化は、比例し、ランニングエコノミーの変化(経路「d」)に直接関係する。
・媒介効果:この効果(足関節および足部のバイオメカニクスの変化を介した効果)は経路b+cである。媒介効果には、シューズ特性の変化による足関節および足部のバイオメカニクスの変化に対する効果(経路「b」)と、足関節および足部のバイオメカニクスの変化によるバネ質量特性に関連するエネルギーコストの変化に対する効果(経路「c」)が含まれる。
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🌱 So What?:何が面白いと感じたか?
最近のテクノロジー搭載ランニングシューズの進化は、目を見張るものがある。
足を入れて、歩き出す、走り出すと、その違いに驚くことだろう。
「ポン、ポンっ」と前に進む感じがする、勝手に前に進むような感じがする。
それは、やはり主にミッドソール部分の進歩によるところが大きいのだろうと思う。
だが、シューズ選択の際に忘れてはならないのが、ただそのシューズの反発特性の変化だけではない。
シューズを変えるということは、同時に足関節や足部バイオメカニクスを変化させる。
もっと言えば、膝や股関節のバイオメカニクスにも影響を与えるだろう。
この身体バイオメカニクスへの影響も加味した上で、シューズ選択を行う必要がある。
例えば、ドロップ(踵とつま先の高さの差)が大きいと、前足部への荷重誘導がなされる。
そのときに、重度の外反母趾を有していて、前足部に過負荷が加わることが良くない患者にとっては、その靴は良くはないかもしれない。
だが、前足部への負荷や需要が高まる足関節底屈筋や足底内在筋の強度に問題ななければ、その靴は有効なものになる可能性が高い。
靴による直接的な効果と、身体バイオメカニクスを通じた間接的な効果、この両経路があることを明確に認識し、評価し、靴の処方に生かしたい。
⬇︎ 関連 note & 𝕏での投稿✨
📕ランニングエコノミー. 最適化のための理論的枠組み
— 理学療法士_海津陽一 Ph.D. (@copellist) February 19, 2025
・シューズ特性がランニングエコノミーに与える影響
(有向非循環グラフ)
🔹直接経路:シューズ特性→スプリングマス(SM)特性
🔹媒介経路:シューズ特性→足バイオメカニクス→SM特性
シューズ選択をする上では両経路を想定しておきたいですね😲 pic.twitter.com/iuI4L4qNVT
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