歯周病と認知機能
📖 文献情報 と 抄録和訳
歯周病と認知機能低下、認知症。縦断的研究のシステマティックレビューとメタアナリシス
[背景・目的] 歯周病が認知機能に悪影響を及ぼすという新たなエビデンスが示された。このレビューでは、歯周病が認知機能の低下や認知症に及ぼす影響について、入手可能な縦断的エビデンスを検討した。
[方法] 2022 年 4 月までに発表された関連研究を 5 つの電子データベースで包括的な文献検索を行った。歯周病への曝露と認知機能低下および/または認知症をアウトカムとした縦断的研究を対象とした。歯周病が認知機能低下や認知症のリスクを高めるかどうかを評価するため,ランダム効果によるプール推定値と 95%信頼区間を作成した(認知機能低下のプールオッズ比,認知症のハザード比).研究間の異質性は I2 で推定し,利用可能なエビデンスの質は質評価基準で評価した.
[結果] 採用した検索戦略により、認知機能低下に関する研究が 2132 件、認知症に関する研究が 2023 件見つかり、その中から 47 件(認知機能低下に関する研究 24 件、認知症に関する研究 23 件)がこのレビューに含まれることになった。歯周病の健康状態(歯周炎、歯の喪失、深い歯周ポケット、歯槽骨の喪失など)は、認知機能の低下(OR = 1.23; 1.05-1.44) と認知症(HR = 1.21; 1.07-1.38) に関連していた。さらに、歯周病の評価指標に基づく解析では、歯の喪失が認知機能の低下(OR = 1.23; 1.09-1.39) と認知症(HR = 1.13; 1.04-1.23)の両方のリスクを独立して増加させることが明らかになった。歯の喪失の程度に基づく層別解析では、部分的な歯の喪失は認知機能の低下(OR = 1.50; 1.02-2.23 )に、完全な歯の喪失は認知症(HR = 1.23; 1.05-1.45 )に重要であることが示された。
しかし、全体的なエビデンスの質は低く、少なくとも部分的には逆の因果関係によるものであった。
[結論] 歯周病と歯の喪失は、認知機能の低下と認知症のリスクを高めると考えられる。しかし,確固とした結論を得るには,利用可能なエビデンスが限られている(例:異質性が高い,確実な方法論が欠如しているなど).歯周病と認知機能に関する標準化された評価と逆因果を考慮したデザインされた研究が必要である。
🌱 So What?:何が面白いと感じたか?
以前、PTとSTの協働にフォーカスした文献を抄読した。
その中では、口腔ケアが肺炎発症を防ぐということが明らかになっていた。
今回の文献では、口腔状態と認知機能低下/認知症との関連にフォーカスされた。
その結果、いくつかの口腔衛生の項目が認知機能低下/認知症と関連していた。
確かに、「認知症の方を思い浮かべてください」と言われたときに、新庄剛志(Big Boss)がもつような眩い口元を思い浮かべることはないだろう。
むしろ、口腔衛生状態が不良な方を思い浮かべる可能性が高い。
口腔衛生状態が不良だから認知機能が下がるのか。
認知機能が低いから口腔衛生が不良になるのか。
どちらが鶏で、どちらが卵か。
それは定かではないが、そのどちらもありそうな感じはする。
最初の問診のときに、口腔衛生の状態を視診することを習慣にしてみよう。
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