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『守り人』シリーズ

 またもシリーズ物で申し訳ないが、「秋の連続投稿チャレンジ・#うちの積読を紹介する」に出す四本は、全てシリーズ物になる予定だ。
 さて、三本目は『守り人』シリーズ。上橋菜穂子の代表作と言っていいだろう。

精霊の守り人

 画像は私も持っている新潮文庫のものだが、元は偕成社から出されていて、そちらには精霊の守り人・「守り人」シリーズ 公式サイトがある。
 ここを見ると、作品の大体の感じがわかるのではないかと思う。

 主人公は一作目『精霊の守り人』の時点で三十歳、女性でありながら化粧っ気もない旅の短槍使い、名をバルサという。彼女が新ヨゴ皇国の第二皇子を助ける場面から物語は始まるが、この皇子チャグムはその身に精霊の卵を宿しており、それを疎んだ父帝が刺客を差し向けて来てーーというファンタジー小説だ。
 西洋風ではなく、アジア風のファンタジーであるところがまた良い。

 シリーズの中で、私は『闇の守り人』と『天と地の守り人』が特に好きだ。『闇の守り人』はバルサが自分のルーツを知る物語。『天と地の守り人』は、皇族と流れ者の用心棒という立場の違いから長らく離れて暮らしていた二人が、チャグムの危機にバルサが駆けつけることでしばらく二人で旅をすることになり、やがてそれぞれがそれぞれの立場で成すべきことを成すために、再び離れていく物語。
 特に、バルサがチャグムを見つけた瞬間は、まさに名場面だ。
 シリーズ全体で見ると十巻もあるので、とても長いと感じるかもしれないが、物語の進行と共にチャグムの成長が見られるのも楽しみだし、歳を重ねて肉体はいささか衰えながらも相変わらず強いバルサが頼もしい。

 上橋菜穂子は他にも代表作と呼べる物がいくつかあるが、たとえば『獣の奏者』は話がだんだん暗くなっていくし、『鹿の王』はハッピーエンドの予感止まりで、私はどうもスッキリしない。
 それに比べて『守り人』シリーズは、ずいぶんほっこりした形で物語が締めくくられる。終盤にチャグムが出てこなくても、おそらく今後バルサと会うことはないんだろうなと思えても、きっと彼は大丈夫だと心の底から信じられる、そんな終わり方だ。

 文庫版だけのお楽しみに、『バルサの食卓』という本がある。『守り人』シリーズだけでなく、他の作品からも引いているが、物語に登場する料理を再現した一冊だ。
 読んでいるだけで美味そうだった料理が、見ているだけで美味そうな料理になっている。食いしん坊はこれも是非。
 現代の日本に合わせたレシピも載っていて、料理好きなら再現可能だ。

バルサの食卓

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かんちゃ
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