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センスありげなキューブリック作品ランキングを考えてみよう

何故か唐突に、スタンリー・キューブリック作品のランキング考えたい!となったのでやってみました。今回は映画レビューではなく、純粋にランキングについて考える記事です(この文章で伝わってる?)。最後にすこーしだけ感想もあるけど。

まずルールとして、ランキング対象はキューブリックが製作と監督を兼ねているものに限ります。つまり、「博士の異常な愛情 または如何にして私は心配するのをやめて水爆を愛するようになったか」(以下「博士の異常な愛情」)、「2001年宇宙の旅」「時計じかけのオレンジ」「バリー・リンドン」「シャイニング」「フルメタル・ジャケット」「アイズワイドシャット」の7作品に絞ります。製作と監督をやっているものはキューブリックが最大限に采配を振るえてキューブリック純度が高いと言えるし、そもそも「博士の異常な愛情」以前の作品は「ロリータ」しか見てないから。

あと私はハードコアなキューブリックファンではなく、あくまでカジュアルに楽しんでいる層です。キューブリックはもちろん天才で映画をつくるために生まれて来た人だけど、仕事仲間としては最悪だろうな、現代ならおそらくパワハラで訴えられているだろう、という認識。

ランキングの内容を見てもしかすると「わかってない」とか「喧嘩売っとんのか」と思われる方もいるかもしれませんが、ただのニワカの言っている戯言だと聞き流して頂けると幸いです。この記事はルドヴィコ療法のようにあなたを洗脳しようとするものではありません。

今回はせっかくだから4つ作ってみました。各作品のネタバレはありません。

①センスありげなランキング(正統派編)
②センスありげなランキング(面倒くさい人編)
③センスなさそうなランキング
④私のランキング

①センスありげなランキング(正統派編)

1位 フルメタル・ジャケット
2位 2001年宇宙の旅
3位 時計じかけのオレンジ
4位 シャイニング
5位 博士の異常な愛情
6位 バリー・リンドン
7位 アイズワイドシャット

「2001年宇宙の旅」が1位でも普通に納得なんだけど、それよりも地味な「フルメタル・ジャケット」を上にしたのがより通っぽい(=センス良さげ)。劇中の台詞「フルメタルジャアアケット!!!」を全力で真似すると、この人は友達になってくれるかもしれない。
あ、勿論「フルメタル・ジャケット」も有名だし傑作だけどね!だから「2001年宇宙の旅」の知名度が高すぎる、と言いかえた方が良いかも。そして反戦映画だから社会参画意識が高い人を演出できるし、何よりタイトルがかっこいい(アホの意見)。3位と4位は知名度高めの刺激的なやつ、5位と6位は地味目、最下位は安定して皆からなめられている「アイズワイドシャット」でフィニッシュ。こんなんでどうでしょう?

②センスありげなランキング(面倒くさい人編)

1位 博士の異常な愛情
2位 バリー・リンドン
3位 フルメタル・ジャケット
4位 2001年宇宙の旅
5位 時計じかけのオレンジ
6位 シャイニング
7位 アイズワイドシャット

うーん…めちゃくちゃキューブリック好きそう。いや好きなのは何も悪くない。でもこっちを身構えさせる何かがあるよね。ちょっと逆張りっぽいからかな。
このキューブリックマニア結界を探知できなくて「キューブリック好きだよー」って軽いテンションで言った人に1位と2位の作品名言って、「あ、知らないかー」ってなるところまでがセット。そういうところだぞ。(?)
1位~3位までが戦争に関連した映画だから戦争モノ好きなのか?と推測するけど、私戦争モノ苦手だからやっぱり会話盛り上げる自信ないな。
「フルメタルジャアアケット!!!」の真似も苦笑するだけで全然乗ってこない。

③センスなさそうなランキング

1位 アイズワイドシャット
2位 バリー・リンドン
3位 2001年宇宙の旅
4位 フルメタル・ジャケット
5位 シャイニング
6位 時計じかけのオレンジ
7位 博士の異常な愛情

好きな映画にキューブリック作品を挙げておけば、センスないと思われることはないと思うけど、キューブリックベスト1に「アイズワイドシャット」を挙げたら正気の程を疑われるに違いない(暴言)。「こいつキューブリックそれしか見たことないんだろうな」と思うでしょ?でもね、この人全部見てるんですよ。
ただ、正直2位以下はそこまで問題ではない気もする。人によって色々な好みがあるからねーで済ませられるな個人的には。やはり1位の破壊力だな。
ちなみに「シャイニング」の順位が低いのは「あまり怖くないから」。「時計じかけのオレンジ」の順位がそれより低いのは「思ったより怖いから」。「博士の異常な愛情」が最下位の理由は「白黒映画よりカラー映画が見たいから」。

④私のランキング

1位 時計じかけのオレンジ
2位 シャイニング
3位 アイズワイドシャット
4位 2001年宇宙の旅
5位 フルメタル・ジャケット
6位 博士の異常な愛情
7位 バリー・リンドン

あのー……ぶっちゃけどう思います??遠慮せず言ってください。私はどう思うかって?うーんまあ、可もなく不可もなく。だと思いたい。

時計じかけのオレンジは多分人生ベスト3位にランクインするくらい好き。多分、人間のどちらかというとネガティブな本性や本能を解放して、どちらかというと良くないラストを迎える映画が好みなんだと思う(良いラスト、悪いラストの判断基準は完全に個人による)。昔この映画を「難解な芸術映画」と呼んでいる人がいたんだけど、自分にとってはとても面白いエンタメ映画だったので混乱した。
シャイニングもそう。すべての画面がもう面白くて仕方がない。
「アイズワイドシャット」が「2001年宇宙の旅」より上なのはきっと文句言われる気がするけど、「アイズワイドシャット」好きなんだよなあ。

この作品があんまり人気ないのは、キューブリック自身が気に入ってなさそうなことと、主演がトム・クルーズ&ニコール・キッドマン夫妻という(当時の)ハリウッドセレブカップルというミーハーっぽさのせい?でもパワハラおじさん(=キューブリック)がどう思っているかなんて関係ないね。
いかにもキューブリック的な偏執的にクリーンな画面×チャーミングで嘘くさい笑顔のトム・クルーズという組み合わせはすごく面白いと思う。
トム・クルーズはキャリア後半では出演作品で製作も兼ねているのがほとんどで、自分の好きなように作品を作れているけど、この時は製作には入っていないし、巨匠キューブリックにはきっとそこまで自分の主張も通せていないと思われる。そして劇中のトム・クルーズが成すすべもなくニューヨークをうろうろしまくる様子がそれに重なりメタ的に楽しめる。
「2001年宇宙の旅」は映画史的に重要な作品だし勿論面白いけど、個人的には「アイズワイドシャット」を推したい。


何だかランキングっていうか「アイズワイドシャット」擁護論になってしまいました。この映画は「センスない映画シリーズ」で取り上げようと思っていたけど、もうこれでだいたい言いたいことは書いたかな。
あ、言うの忘れてた。私は周りからセンスないと思われそうだが好きな映画を紹介するという、センスない映画の世界というマガジンをやっておりまして。

今回のランキングといいセンスない映画の世界といい、私は人からのセンスありなしの評価に興味があるみたいです。
何故ならそういう人間の上っ面の部分や虚栄心がとても面白くて、ワクワクするからですね、多分。「アイズワイドシャット」が好きなのも、そこら辺に関係しているのかもしれません。

それではこの辺で。




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