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通級指導教室の基礎基本➀「通級指導教室は、究極の個に応じた教育である」 ~教科書は、子供自身の姿だ~

通級指導教室担当1年目としてもうすぐ2学期が終わろうとしています。
通級指導の基礎基本について、もう一度振り返り、アウトプットしたいと思い、記事にまとめました。

通級指導の基礎基本は決して1つではありません。よって、複数回記事にしてまとめていきたいと思っています。よければ、ご一読いただき、参考にしていただければ幸いです。

通級指導を始めるにあたり、右も左も分からない私は、はじめての「通級指導教室」12か月の花マル仕事時術を読み、通級指導教室のイロハを学びました。

通級指導の基礎基本について、本書ではこう書かれています。

通級指導教室は、究極の個に応じた教育である

通級指導は、特別の教育課程が編成されます。特別の教育課程とは、個別作成が原則です。個々の障害や特性の困難さを改善・克服するための自立活動を行うことが基本であり、一人ひとり障害の特性や困難さは異なるので、当然目標や指導内容も個々で変わってくるのです。

教科書は当然ありません。あるとすれば、その子自身が教材です。

どんなことに悩みや不安を抱えているのか…
どんなことに困難さを抱えているのか…
どんなことを達成し、乗り越えたいと思っているのか…

すべて、個に応じた教育を遂行していかなければならないのです。

これって、とっても難しいんですよね💦

実際、通級指導で使用する教材は通常学級や特別支援学級で使用するものと変わりません。

また、カードやボードゲーム等の教材も積極的に使用します。異学年で同じ教材を使うこともあります。
「それって、個に応じた教育になってないじゃん…!」
そう思われそうですが、教材は同じでも、目的や手段は違うのです。

例えば
・タイム短縮をねらうのか?
・とりあえず最後までやり遂げることをねらうのか?
・丁寧さをねらうのか?

個々によって違うのです。いや、むしろ変えていかなければなりません。ただ、やらせているだけでは、成長にはつながりません。

私は、「仮説・検証」のプロセスで考えると、私自身考えやすいので、これで説明します。

「仮説検証」とは、文字通り“仮説”を立てて収集したデータを基に、その真偽を検証していくことです。

 IdeaCraft コラム 仮説検証に有効なフレームワーク
 https://icraftlab.jp/blog/column-2308-7-hypothesis

目標を立てることで、それを達成するために仮説を設定できます。目標は、問いから始まります。
「この子の課題は何なのだろうか?」
「何をすれば、現在の悩みや不安が解消されるのか?」
「この子にとっての自立と社会参加につながるスキルは何だろう?」
これらの問いを自分で答え続けることで、仮説が見えてきます。具体的には、
「~の活動を~をねらって~のように取り組ませれば、~が成長・向上する」

に当てはめることで、仮説ができるでしょう。その仮説を基に通級指導で自立活動に取り組ませ、検証します。

検証とは、つまり成長・向上につながったかどうかです。

実際には日常生活での般化につながらなければ意味がありません。担任や家庭と連絡を密にし、連携・協働して般化へと繋げていくのです。一定の成果が出ていても出ていなくても、活動を継続するか、その強度を上げるか、他の活動に変更するか検討します。そして、また仮説・検証を行っていくのです。

最終的には、自立の個別の指導計画の長期目標が達成できるように、年間を通じて取り組んでいくのです。

一見難しいように見えますが、要は「子どもに合った指導を考えなさい」ということです。

5年生の子で、基礎基本が疎かになっているのでたし算・ひき算の繰り上がりに戻って指導が必要な子がいました。

仮説
・下学年のプリントに取り組ませ、基礎基本の習熟を図れば、5年生の学習でも安心して取り組むことができるのではないか。
・下学年のプリントで分かった・できたを積み重ねれば、自信がつき、学習への意欲や主体性を高めることができるのではないか。

仮説を基に、下学年のプリントをさせようとするのですが、プリントを見ただけで拒否反応が出て、「やりたくない💦」「めんどくさい💦」等と意欲減退が激しく、やっても意味がなかったのです。

私の仮説は早速崩れてしまったのです…!すぐに切り替え、別の方法で取り組ませました。

「プリントちょうだい!なら、これはどう?」

プリントを回収し、黒板に問題を書き、ブロックを渡して計算したら口頭で答える方法に切り替えました。

ブロックを使うことで10のまとまりを作って「10といくつ」で考える方法を教えるとすぐに理解・習得し、スラスラと解けるようになってきたのです。

下学年の内容なので、やり方が蘇ってきたという印象を受けました。

その後、ブロックを回収し、10問連続で黒板に問題を書くと、速攻で正解を答えてしまったのです!

「もっと問題出して!」とノリノリでした。プリントを見ただけで拒否反応を示していた子とはまるで別人でした。

同じたし算の繰り上がりの計算でも、その方法は個に応じて変えていかなければなりません。

プリントで何枚も100点を取ることで意欲が高まるのであれば、それを採用すればよい。

プリントに拒否反応を示すのであれば、別の方法に切り替えればよい。

まさに、仮説・検証のプロセスを究極の個に応じた教育ができるのです。これが、通級指導の基礎基本であり、面白い所なのではないでしょうか。

まだまだ不十分な私ですが、通級指導の基礎基本を忘れず、常に教科書は子ども自身の姿であることを忘れずに日々の指導にあたっていきます。

今日の記事は以上になります。
最後までお読みくださりありがとうございました。

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