『パッキパキ北京』
”コロナでめっきり海外に行けなくなったけど、旅行気分が味わえるよ”と家族が手渡してくれた、綿矢りさの「パッキパキ北京」。
非常に軽い文章で、平日仕事終わりに2時間程度で読み終えた。
綿矢りさ自身も家族の仕事の関係で中国に在住しているそうだが、小説というよりは、異国での暮らしを丁寧に描写した駐妻エッセイという印象。これで小説として世に売り出せるのだからいいなぁ、という感想を抱かずにはいられない。
そうはいっても軽快に小気味よく最後まで一気に読ませる文章は彼女の成せる技かもしれないが、その意味では数年前に話題となった「JK、インドで常識ぶっ壊される」も十分面白かった。
芥川賞受賞作家が描くのであれば、さらにもう一歩深化した内容を期待していたのが正直なところではあった。
菖蒲姐さんのキャラクターは読んでいて爽快とも言えるが、“36歳で20歳年上のエリートサラリーマンを捕まえる今この瞬間を生きる女性”という設定にするのであれば、元銀座(正確には新橋?)のホステスというのはやや時代遅れ感が否めない。パパ活と揶揄されるなら、六本木のラウンジ嬢であるとか、いわゆる港区女子を想像する人が多いのではないだろうか。
アフターコロナの北京の様子が知りたいという方にはおすすめの一冊。
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