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【タイ】タイと日本の医療事情の違い

こんにちは。昨日のnote投稿を見ていただいた方は昨日ぶりです。はじめましての方ははじめまして。宮崎生まれの医学生ぴよです。

わたしのこれまでの生い立ちというか人となりは昨日の投稿を見ていただけるとわかるかなーと思うので気が向いたら読んでくださいな☺️

現在わたしはタイ南部のハートヤイという小さな町の救命救急科臨床実習をしています。今日はハートヤイでの実習をはじめて2週間目の初日でした。ここまで実習をしてみて思ったことやタイの地域医療と日本の地域医療の違いやなんかを徒然なるままに書きたいと思います。それではれーっつごー!(いきなり常体になるけど気にしないで、、笑)

さてさて、今回は日本とタイ、もしくは諸外国の医学教育の違い日本の医学教育の課題について書きたいと思う。

日本の医学部ってどんなことしてるの?

きっと医学部ってどんなことしてるんだろう?と気になる方もいらっしゃると思うのでかなり雑ではあるがまずは日本の医学部の仕組みから紹介したいと思う。

1年生では教養や基本的な生物学を習う。
結構暇な時間がある。部活やバイトに明け暮れる。

2年生になると解剖、組織、生理学といった専門科目が始まり、人体の正常構造について学ぶ。人体解剖をするのも2年生だ。ここで結構つまづく。枕にするにも分厚い教科書の情報を何冊分も処理するので高校までと勉強スタイルがガラっと変わる。

3年生になると病理学や微生物学など今度は人体の異常を学ぶことになる。ここも第2関門で、留年生が続出する。3年生も2年生同様結構大変だったが、テスト前以外は余裕がある。

4年生では1~3年生の基礎医学から切り替わり、臨床医学を学び始める。つまりは、内科、外科、耳鼻科、眼科、皮膚科、のような20科目ほどの科目を習うことになる。いよいよお医者さんらしくなってくる。空きコマもあるので言うほどきつくもない。4年生ではCBTとPre-CC OSCEというものがあり、全国共通のテストを受ける。かなり勉強する。

ここまでは基本的に座学が中心だ。100人超の生徒がいる中で広いホールで話を聞くのはじっとしてられないわたしには非常に向いてない勉強スタイルだった。うげー、、、

5年生では臨床実習が始まる。まずは6~7人くらいのグループですべての診療科をローテーションしながら実習する。目の前の患者さんと机上で勉強したことがつながっていく感覚が本当に楽しくて、先生にわからないことを聞けたり将来の話を聞けたりするのもかなり楽しい。

6年生では5年生の際にグループで回った科の中から楽しかった科や興味のある科を自分で選択し、今度は11人にカスタムされたローテーションで実習をする。

気が向いたらこのあたりは後日詳述するかもしれないが、今回はメイントピックではないのでこのくらいにしておく。

世界と日本の医学教育の違い

世界のいくつかの国の医学教育についてお話を聞く機会があったので少し記録したい。

上記の通り、日本の医学生は4年生までほとんど机の上で教科書とにらめっこをすることになる。

対して、ヨーロッパでは、低学年のころから基礎医学と並行して薬剤のアンプルの開け方、皮膚縫合の仕方、問診や診察の仕方などなどを習うらしい。(※スロベニアとウクライナの先生に聞いた。ちなみに我々は3、4年生ごろPre CC OSCEの前に習い始めるのが一般的である。)

自分が勉強していることに実際にどんな意味があるのか、どういう場面でその知識を使うのかを実感しながらする勉強とそうでない勉強では全くもって定着度が違う。医学を学ぶことに対する責任感もきっと違うと思う。

実際にearly exposure(アーリーエクスポージャー、うーんとね、簡単に言うと早めに現場に触れるてことかな)は日本の医学教育においても近年かなり重要視されていて、少しずつヨーロッパや諸外国の標準に準拠しつつある。患者さんを守る意味からしても、低学年から処置のシミュレーションを十分に積むことは本当に必要だと思う。

タイの医学教育

それでは、タイにおいてはどうなのか。同じ6年生の動きを見ていて、明らかに我々よりできることが多い。

日本では6年間の医学部教育を卒業した後2年間の初期研修医という主要な科をローテーションして学ぶ見習い期間がある。現在は医学生ができる手技の幅は増えつつあるが、日本ではたいていの場合、研修医になってはじめて患者さんの問診をとって上級医にプレゼンテーションして、処置をして、、ということができるようになる。

一方でタイでは救急車で運ばれてきた患者さんの初期対応をしながらベテランのお医者さんにプレゼンテーションをして、という日本では研修医レベルのことを医学生がこなしている。(もちろん危険な処置はすべてベテランの先生がやる。危なくないこと、医学生でもできること、医師としてできるようにならないといけないことを少しずつ上の先生に見守ってもらいながらこなしていくのだ。)正直、1つ1つの作業は日本でも習っていることと全く同じだが、圧倒的に実践の機会が多い。日本も少しずつ医学教育の仕組みが変わっている最中ではあるが本当にまだまだ発展途上だと感じる。

英語教育の違い

タイに来る前や日本にいたとき、「海外では母国語に医学用語が少ないから医学を英語で学ぶ。だから医学生は英語ができるんだよ。」と聞いていた。この見解は一部はあっているが、一部そうでない部分もあるような気がする。タイにもタイ語の教科書はあるし、医療現場で使われる言語はタイ語だ。

彼らにとっても英語が第二言語であることは同じである。ただ、医学教育や英語を学ぶことが必要だという医学生の認識が違うんだと思った。

日本人は諸外国と比較して英語の特にスピーキングが苦手であるというのは有名な話である。

どうして日本人は英語が話せないのかという論争については諸説あるが、つまりは英語教育においてインプットは十分であるのにアウトプットの機会が極端に少ないというところに帰結する。

これは医学英語に関しても同じである。正直、高校生の頃より明らかに英語に触れる機会は減ったし、日本の医療現場にいて(特に田舎にいて)英語をどうしても話さなければならない場面はほぼ皆無に等しい。こりゃーかなりイケてない。

少なくとも医学の領域において世界の共通言語は英語である。英語が堪能に使えるようになってきちんと諸外国の人とディスカッションできるくらいの能力を身につけないと自己流の医療と同じになってしまう。井の中の蛙というと聞こえが悪くなっちゃうけれど、、、日々移り変わる医学の世界の中で日本語だけで勉強していたら古い知識や慣習がアップデートされないままに行われることになる。全体を把握しつつ、自分の行っている治療や診断について客観視しつつ診療を進めていく能力はやっぱり必要だ。

とはいいつつも、学ぶことが膨大すぎて英語まで手が回らないというのが正直なところだ。だから、ヨーロッパやタイと同じように英語を使う機会をすべての医学生に課すことが必要だと思う。(あんまり勉強したくない医学生に怒られちゃうかな、、と思いつつ、、わたしは自分の大切な家族を診てもらうお医者さんにはその人ができる最良の選択肢を持っててほしいし世界標準の治療を提供してほしいなと思うのです。)

今日、タイの救急のカンファレンス(お医者さん同士で治療方針などを話し合う)に参加して英語を使う機会の違いを強く感じた。タイのカンファレンスではタイ語でのディスカッションだけでなく、英語でのプレゼン、ディスカッションがあった。多くの医師が和気あいあいとしながら英語でしっかり自分の意見を共有できる。

カルテもしかり。タイ語で書かれている部分もあるけど、英語で書かれている部分もある。何よりも、実習中にどの医学生に質問をしても英語できちんと教えてくれる。聞いてみるとタイの医学生は大体みな同じくらい話せるらしい。
はじめは完璧ではないけれど、使って使って話してだんだん自分のものにしていくんだと思う。

まあまあそんなこんなで日本の医学教育に関しては課題が山積みだ。内向的で完璧主義な傾向のある日本人の気質もそうだけれど、仕組みから改善できるところも多分にあると思う。

長くなっちゃったのでタイのかわいいトイレの写真を載せておきます。

めっちゃおしっこ行きたそうでしょ。


つづきはまた次回。。よい一日を。バイバーイ!







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