誇大広告禁止令 (1分小説)
全国で、誇大広告が禁止になった。
街から『今だけ半額』『ハズレなし』などの文言が消えた。
ネットや雑誌から『業界No.1』『効果は2倍』の広告がなくなった。
映画館で、ふたりの男が、本編前に流れるCMを見ていた。
スクリーンでは、グラビアクイーンが真顔でハンバーガーを食べている。
「チーズが、とろ~り、とろけてないよね」
「正直すぎるのも味気ないな。バストも」
続いて、映画予告が流れた。
『満員御礼』『絶賛上映中』『全米が泣いた』『全米が震えた』などのナレーションが消えている。
「ハリウッドに対しても、規制か」
「そんなにアメリカ人、しょっちゅう泣くかよ、とは思っていたけど」
最後に、なじみのCMが入った。
『劇場内での映画の撮影・録音は犯罪です。法律により、10年以下の懲役、もしくは1000万円以下の罰金、またはその両方が科せられます』
キレキレのダンスと、ドタバタの逮捕劇。
「ちゃんと流れてるよ」
「真実を伝えてるからな」
『ノーモア映画泥棒』の、カメラ男とパトランプ男は、客席でホッと胸をなでた。
※無料画像から引用