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蚊に刺された時の話

子どもの頃、蚊に刺されたらムヒを塗るのが嫌いだった。
でもムヒを塗らないと痒みは治まらない。
でもムヒを塗りたくない。

そんな時に
痛くなるまで掻け毟れば、痒みが痛みに変わるのでは
と思いついた。
痒みより痛みの方がマシであると。

自称「平成のコペルニクス」の私は、ムヒを塗らずにがむしゃらに掻きむしり続けた。掻いて掻いて掻いて。

気持ちよかった。痒いから掻く。人間の本能に忠実に従った行動。
ムヒを購入するためにはお金がかかり、塗布したところで効果が発揮するまで痒い状態は続き、何より鼻を刺激する臭いが苦手。
痛くなるまで掻き続けた方がいいこと尽くしであると思っていた。


私はバカだ

一瞬の快楽を得るために、掻いた脚が犠牲になった。多くの痣を残した。
人は私の脚を見て、幼い頃やんちゃしていたのねと言う。
確かに蚊に刺されたら掻き続けるヤンチャ行為をしていた。

しかし私の脚の傷は掻きむしりの跡である。

痛くなるまで掻きむしり続けた私であるからわかることがある。
掻き続けると身体からこの世のモノとは思えない謎の液が出てくる。
とびひの原因となる液らしい。
その液が寝具や衣服に付着すると、頑固な汚れとなってしまう。
親に迷惑をかける。
自分までならまだしも、掻き続けた結果親にも迷惑をかけた。

私はバかだ。

痛くなるまで掻いても得するのは一瞬だけ。
一瞬の快楽のために、醜い後遺症を残した。

それでもバカな私は今でも蚊に刺されたら掻き続ける。
自分を信じて。。。

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