『りぼん』に載りそうな1ページ。
あれは、中学2年生のころ。
初めて好きな人ができた。
彼は同級生で、少しオタク気質だけど、背が高く顔がかっこいい人。
仲のいい男友達の親友だった。
とはいえ、当時の私はまともに恋愛するのも初めてだから、彼がこちらを向いただけでキャーキャー騒ぐぐらいしかできない。
男友達を介して話す機会を作ってもらっても、緊張して全く喋れなかった。
毎日、違うクラスの彼を友達と見に行っては、目が合うと騒いでという日々が、本当に楽しかった。
私は、不器用で素直になれない、恋に恋する女子中学生だった。
それでものちに、友達に焚き付けられて彼に告白し、あえなく断られてしまった。
その頃の人間関係が、なかなかなのだ。
図に表すと、こんな感じ。
矢印の向きは恋の向き。
親友A子→後輩Y→私→同級生のXくん
→友人Bちゃん→憧れの先輩(彼女あり)
Bちゃんは、私の気持ちを知っていたので、Xくんに告白された時にサクッと断った。
A子は、Yにバレンタインに告白したら、他に好きな人がいると言われた。女の勘で、Yの好きな人は私と思ったらしい。事情を知らない私は、A子に謎に責められた。
Yは、義理チョコのお返しを私に渡す時に告白してくれたが、X君への未練を断ち切れなかった私は丁寧にお断りした。
つまり誰も恋が成就しない、悲しい結果になった。
しかし今振り返ってみると、あの頃の思い出は甘くてほろ苦いのに、キラキラと印象に残っている。
それはきっと、みんな純粋に懸命に恋をして、失恋しても友情に助けられて立ち直るという、濃い日々を送っていたからだろう。
そのさなかにいた当時は必死すぎて何も思わなかったが、大人になって振り返ってみると、きっとあの頃の私たちはみんな輝いてた。
少女マンガの雑誌『りぼん』に、短編で掲載されそうなぐらい、絵に描いたような青春だった。