心のフタをあけるチョコパイ。
うつ病からの復職プログラムが、中断した。
理由は、私の体調が戻らないから。以前に比べて元気になっているというものの、完全に復職を目指すにはまだ早いという判断。
確かに、通勤途中でめまいを起こして、駅で休ませてもらったこともあったし、体調がすぐれず、職場に足が向かなかったこともあった。気持ちは焦って前のめりになっていても、体がついていけなかった。
中断して休職を延長するのと決めたのは、私。
夫や職場の上司、主治医と話し合って決めた。
とはいえ、復職プログラムが無駄だったかと言うと、そんなことはない。やってみないとわからないことも多く、一度職場へ通う経験ができたのは、私にとって大きな収穫だった。
私の場合、プログラムを受けずに急に復職したら、またダウンしてしまう可能性もある。復職前にプログラムを受けて、通勤して職場に滞在するという負荷が、私にとってどれだけのものか体感できたのは大きい。
昨日、職場に挨拶をして帰ってきた。
自分を甘やかしたい日に飲む、スタバのラテと共に。
カバンをしまうときに、チョコパイを見つけた。
同僚が、「ゆっくり休んで元気になってね」と分けてくれた、チョコパイだった。
一息つこうと、チョコパイを一口頬張る。
すると、急に目頭が熱くなった。
突然のことに戸惑うものの、涙はかまわずこぼれ落ちる。
チョコパイの甘さに、こわばっていた気持ちがほぐれたようだ。
プログラム中断と休職延長は「仕方がない」と自分に言い聞かせていた。でも、本心では残念だったし悔しかった。上司や主治医や夫に、「ここまでよく頑張った」「プログラム中断は後退じゃなくて前進」と励まされて、落ち込まないようにした。しかし、どこかで私は納得できていなかったんだ。
復帰への意欲は高かったけど、体調を置いてきぼりにして空回りだったことに気づけなかった。弱音を吐かず、自分で自分を鼓舞してきた。
でも、ダメだった。
出来ない自分に失望しそうになる気持ちを堪えていたけど、一口のチョコパイで、心がゆるんで堪えられなくなったのだ。
心にフタをしてギュッと詰め込んでおいたのに、本音をあふれさせるチョコパイ。どんな魔法持ってるんだ。
もう、閉じ込めておけない。
自分に正直になるしかない。
チョコパイは、ほんのりしょっぱくなった。
つっかえてしまい、カフェラテで飲み込む。
(チョコパイがなくなるまでは、本心と向き合おう)
そう決心したものの、結局チョコパイがなくなっても涙は止まらなかった。
カフェラテがなくなる寸前に、やっと落ち着いた。
明日からまた、長い休職期間に戻る。
次こそ復職できるよう、今は充電期間と思って休むことに励もう。