漫画みたいな毎日。「洗濯機が故障した雨の日に。」
雨の日曜日。
リラ冷えという言葉を知ったのは、いつだっただろうか。
北海道では、ライラックの花が咲く頃に、本州で言うところの、花冷え、寒の戻りのことをそう表現する。
今年は雪解け早く、ライラックの開花も早いようだ。甘酸っぱい香りが漂うと、生まれ育った本州の沈丁花の香りや、金木犀の香りが懐かしくなる。
洗濯機が故障した。
洗いモードの所から一向に洗濯が進まず、洗濯物が水に浸ったままで停止している。何かしらの不具合を表す番号が、タイマー表示欄に出ている。夫が説明書を取り出し、調べてくれるが、その番号の不具合とは合致しない。
電源を抜いても、時間を置いても、どうにもならない。
修理の依頼をするが、早くても来てもらえるのは火曜日らしい。
今日は、日曜日だ。
まぁ、そこまで汚れ物がでなければ、なんとかなるだろう。
しかし、洗濯機の中には、いい具合に「ひたひたの水」に浸った洗濯物。
よく料理番組やレシピ本の中に「水をひたひた」とか、「材料にかぶるくらい」という表現があるが、我が家の洗濯物も丁度、そんな具合だ。同じひたひたでも、ちっとも美味しそうではなく、このままでは臭くなるのではないかと、流石に心配になる。真夏でなくて良かった・・・。
そのまま放置するわけにもいかないので、夫が洗濯物を昨夜、手絞りしてくれた。まさに、手動。手仕事。助かるなぁ。
そんなこんなで、今日はコインランドリーを目指す。
コインランドリーも色々進化していて、大きな布団も洗える。昔は、宅配システムの布団丸洗い専門の業者に頼んでいた。便利だなぁと感心する。しかも、今日行ったコインランドリーは、エコ洗剤を使っているらしい。
優れた水って何?!とHPを調べたら、活性水という水を使っているらしい。
このコインランドリーでは、洗剤も自社開発だそうで、それは、代表の方のお子さんがアトピーだったことから、「自分の子どもも、安心して使えるものを」との想いからとのこと。ますます、ほほぅ、と感心する。
コインランドリーの創業者の想いから〈物語〉が紡がれたのだろうなと思う。この世界はたくさんの物語で成り立っているのだろう。
我が家の人々は匂いに敏感である。
化学洗剤や柔軟剤、香料の匂いが苦手。やや化学物質過敏症の傾向があるのかもしれない。一度だけ、私が美容院でシャンプーしてもらって帰宅したら、「臭いよ~」としばらく誰も近寄らなかった。私自身も自分の匂いが気になって何度も髪を洗ってしまった。シャンプーの香りが気になって眠りが浅くなったくらいである。
に、匂わない!
思わず、洗い上がった洗濯物に鼻を近づけてくんくんと匂いを嗅いでしまう。うんうん、いいね、と心の中で思いながら、ひとつづつ洗濯物をカゴに入れる。あとは、家で干すだけ。
選択肢が増えてありがたいなぁと思いながら、車に洗い上がった洗濯物を積み込み、帰り道に区民体育館に合気道の自主練習に行っている夫と長男を、迎えに行く。
車の中で爆音で好きな音楽を聴くのはしあわせだ。
一人で運転する時の特権。
密室で、大きな声で歌う。
スピーカーのおかげで、いつもよりも音が近く感じる。
激しい雨が車のフロントガラスに当たっては、たくさんの粒となって落ちていく。
次から次に。
次から次へと。
硝子の上を滑っていく雨粒が美しいのは、何故だろう。
雨の日に、なんとなく聴きたくなる曲。
そして、生まれた場所がなんとなく懐かしくなる曲。
人が生まれた場所とは、「みなと」みたいなものなのかもしれない。
喜びばかりの思い出ではないけれど、
やり切れない気持ちも、悲しさも、悔しさも、辛いこともあったけれど、間違いなく、私はそこで生まれた。
そんなことを思い出す曲。
スピッツの「みなと」。
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