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最も弱いときに
随分前に、オオカミを保護して暮らす男性のドキュメンタリーを観ました。
その人はオオカミが絶滅しないために活動していて、オオカミの群れをコントロールしないように、出来る限りオオカミが野性の生態を維持できるように注意していました。
幾つかの場面があったのですが、群れから追い出されたオオカミがいて、その一頭は仲間と一緒に暮らせないのですが、群れから離れてしまっても生存できるようにケアしていました。
その時に
「オオカミは強い生き物ですが、群れから離れて生きるにはとても弱い生き物です。
最も弱くて臆病な存在にも配慮しながら、強い存在と共に生きていかれるように手助けするのが私の役割です。」
とコメントしていて、「強さ」と「弱さ」に配慮して丁寧に接することと、施術と共通点があるなぁと心にピンとくるものがありました。
鍼灸って健康な方が、リラックスしにきて体のケアをする事もありますが、体調不良で弱っている方のケアもします。
弱っている時に元気な状態の人と同じ施術をしたら反対に状態を悪くしてしまいます。弱っていてエネルギーが少ない状態の方には優しい刺激で、元気を回復してもらえるように注意しながら鍼をします。
鍼灸を通して思うのですが、元気な時、強くてタフな状態の時は感じないことが、体や気持ちが弱っている時は刺激に敏感になって痛みを感じ易くなっています。
弱いことがいけないんじゃないんです。
人は誰もが病気になったり、弱くなったり、頑張れない状態になる生き物なのです。
弱さを無視しないで、「今、しんどいんです。」と言えることも、健康には大切だと思います。
野性のオオカミに対峙する強さと、小動物をそっと見守るような繊細さを併せ持ちたい。
弱っていることに鈍感になってしまわないように
弱っていることをキャッチできるように
人にも自分にも、安心を見出す人でありたいな。