もうシティに用はない【詩】
もうシティに用はない
わたしのたましいは言う
話し相手にもならないよ
喧騒ばかりさ
チロリロと電子音、ザワザワの声
小さなイヤホンくらいでは
防げやしない
もうシティに用はない
プラットホームにたつ
行くてはどこへやら
何もない山奥のさらにその奥へと
この身を送ろうと
銀色の電車に乗り込む
もうシティに用はない
殺伐としたデスクの上
鳴り続けるスマホの中
掠れた愛想笑いの下
見え隠れする本当の音は
誰にも悟られてはいけない
ひだまりを作りかけた朝に
乾杯をする
くしゃみがひとつ
景気付けに背中を押す
もうシティに用はない
と
わたしのたましいは言う
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