砂噛匙拾(すなかみさじひろう)

砂を噛むようなできごとも スプーン人匙の🥄喜びでまぎらわせるかな。 音楽や表現、コミュニケーションのことを綴る雑記帳。

砂噛匙拾(すなかみさじひろう)

砂を噛むようなできごとも スプーン人匙の🥄喜びでまぎらわせるかな。 音楽や表現、コミュニケーションのことを綴る雑記帳。

最近の記事

朝露の産毛の白の結晶【詩】

冷え冷えとした冬の光が差し込む 窓辺を見やる横顔の 産毛はまるで朝露のよう どうかそのままで ここは、世界で一番あたたかな場所 叶うならこのままで ここは、世界で一番安全な場所 願わくば、旅立ちの日よ 1日でも遅く訪れてくれ はかなく消えてゆく 舞い落ちる白の結晶

    • はじめから春などなかったのだ【詩】

      はじめから春などなかったのだ カメラを片手に海辺を歩く彼女 はにかむような笑顔は 確かに春だった 霞の向こうに消えた春 はじめから春などなかったのだ

      • ゆやーんゆよーんの黒出目金【詩】

        冷めかけた浴槽の中で 金魚が泳ぐ 黒出目金は短命と聞いたが いやはやもう12年と半月 生ぬるい浴槽に浸かっている サルトルの庭で見かけた紳士と挨拶を交わす 燕尾服だろうか。 黒い背鰭のついたジャケットを さっそうと着こなす身のこなしは 人目を集める ゆやーんゆよーんゆやゆよん とは、かの大詩人 まさにわたしの目の前で ゆやーんゆよーんゆやゆよん と揺らぎまどろむ黒出目金と 目が合った

        • アステリヌスの壺【詩】

          ちょうどよく私サイズに整えられた毎日 アステリヌスの壺の中で 熟成された習慣が そろそろ食べごろになっている あらゆる断層をまたいで フラットに整えられた空間は 時空をゆうに超える トルネード方式で わたしに帰ってきたそれは また、わたしにとってはちょうどよいサイズなのだった

        マガジン

        • すきまが
          0本

        記事

          灰青の世界【詩】

          箱の中をのぞく 灰青の世界 明るくはない かといって暗いわけでもない ほんのり白んでゆく夜の色 ほんのり打ち解けてゆくわたしたちの色 わたしの世界 わたしが染まる 灰青の世界

          2020年のあなた宛【詩】

          たったひとりに宛てた手紙 たったひとりのために奏でる歌 たったひとつ守りたかった約束 たったひとこと伝えたかった わたしが人として立つために必要だったということ

          パンの口【詩】

          トースターでパンを焼く パンの耳だけを残して食べる 耳だけになったパンから 向こうをのぞく 木陰でウサギが草をはむ 歯型のついた葉っぱから 向こうをのぞく 大きな口を開けたカバが一頭 スイカをたべるところ  わたしはパンの耳でできた 口から大きな声で吠える ついでにあくびをひとつ まどろみがゆっくりと起きだす

          次の青がきたら【詩】

          夜を駆け抜けるヘッドライトの群れ スピードに乗り遅れたわたしには目もくれない 信号が変わった横断歩道 渡れない 対岸はとおい 見ず知らずの人が横をすり抜け 横断歩道を渡る 対岸に着いて何食わぬ顔で 新しい道を進んでゆく 「次の青が来たら」と 何度目かのつぶやきが ヘッドライトの波に消されてゆく 雲の隙間に渡り鳥が飛んでゆく 親鳥に続いて子どもたちも 小さな羽ばたきを繰り返す 飛べない私も渡れるのだろうか 「次の青がきたら」

          “できるだけ毎日” で続けた【詩】の創作で、生活が “ちょっとだけ” 変わった理由

          何も作り出せていない自分はダメだ、から始まった【詩】の創作 最近、“なるべく”毎日、 【詩】を投稿をしている。 詩を書いている理由は 頭に浮かんだことを言葉にする力をつけたいと思ったから。 といっても、そもそも日常の生活の中で 詩的なことが頭に浮かぶことなんてない。 毎日仕事して、ご飯作って食べて 掃除洗濯、雑事に追われて タスクをこなすことで精一杯というのが 本当のところ。 ただクタクタになってはいるけど、 なにも満たされてない自分。 なぜ満たされないのか。 そ

          “できるだけ毎日” で続けた【詩】の創作で、生活が “ちょっとだけ” 変わった理由

          山はおそろしい【詩】

          山はおそろしい 遠くから眺めるその姿は 四季をうつし雄大な親心で わたしを見下ろす だけれども 近づいてみるとそのきっぱりとした稜線は 空を分かち 濃い緑の守人たちが一斉に 威嚇のような声を上げる わからないことはおそろしい 早く答えをだせと頭の中の声がする 答えがないこともあるのだよ 何度言い聞かせても わがままに答えをせがむ 形がないものがおそろしい 視覚ではとらえられないもの 有象無象がよってたかって のぞきこむ 見えないものこそ本質だと わかっているからおそろしい

          斜陽【詩】

          まなざしの先は斜陽 ショートケーキの家に住む君 フィルムの外の世界は とめどなくとめどない色で 流れを止めない川は 必要なものまで飲み込んでゆく わたしは目まぐるしく回転する 陽は落ちた 稜線は夜の輪郭を描いて聳える 眺めるでもなくながめる 飲み込まれてゆく途中 草花の歌をきいた あぁ、そこへゆくのね わかっていたよ まっていたの あぁ、そこへゆくのね 夜に溶けてゆく

          凪のメロディ【詩】

          静寂をはかる器の上に 雫が落ちる ポタリポタリと 雫は落ちる やがて器から溢れ 音符の波となり 静寂をゆらす やがて波は凪 くゆらす煙とともに 結露する 余波に揺蕩う 美しいメロディ どうにかしてつかまえようと わたしはもがく

          僕がそろう場所【詩】

          足が動く 思った方向ではない場所だけれど 行かなくてはと焦る 手が動く 決して欲しいものでもないけれど 手に入れておいて損はない 口が動く 思ってもいない言葉だけれど 滑らかに滑り落ちる なぜにこんなにも欲深く浅はかなんだろう ぜんぶ捨ててしまえばいいのに なぜにこんなにもバラバラなんだろう ぜんぶ自分のものなのに 無重力の世界なら 少しはまともに動くのかもしれない なんの重圧もない 無重力の世界なら バラバラの僕はひとつになれるのかもしれない

          もうシティに用はない【詩】

          もうシティに用はない わたしのたましいは言う 話し相手にもならないよ 喧騒ばかりさ チロリロと電子音、ザワザワの声 小さなイヤホンくらいでは 防げやしない もうシティに用はない プラットホームにたつ 行くてはどこへやら 何もない山奥のさらにその奥へと この身を送ろうと 銀色の電車に乗り込む もうシティに用はない 殺伐としたデスクの上 鳴り続けるスマホの中 掠れた愛想笑いの下 見え隠れする本当の音は 誰にも悟られてはいけない ひだまりを作りかけた朝に 乾杯をする くしゃみ

          もうシティに用はない【詩】

          無意識の垣間見るところ【詩】

          心眼というのはどこにあるのだろう 目を閉じて息を吸う おなかの遠くから息をもってきて スゥと吐く 換気扇の音 安蛍光灯のチカチカ 朝に焦がしたパンのにおい そんな現の世界は 手にとれるほど近くにあるのに ロウソクの炎のように すぐに吹き消されてしまうようでもある あいまいになった意識が やがて川になって海と流れをともにして 大きな渦をまく 渦の先っぽは暗い 軸は別の時空を通って ぽっかりとあいたブラックホールにぶつかる あぁ、ここに居たのか 手招きするように風がそよ

          無意識の垣間見るところ【詩】

          アンドロメダが消滅しても【詩】

          宇宙電波塔聞こえますか 宇宙電波塔ネトフリであの映画見よう アンドロメダが消滅しても 変わらない 見えないシールド 繋げたままでバルーン🎈 得意なんだ 目に見えないもの 探し当てるの 捨てらんない夢をぶらさげて 空を飛ぶ夢をみているよ

          アンドロメダが消滅しても【詩】