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レトロ雑貨としてプラモデルを作る。「1/144ガンキャノン」
近年若者の間でレトロ雑貨がブームを巻き起こしている。ご多分に漏れず、うちの妻もレトロ雑貨に夢中である。そんなレトロ雑貨の溢れる部屋を眺めていると、不意にこんなことを思ってしまった。昔のプラモデルならレトロ雑貨に紛れて、レトロ雑貨となることができるのではないだろうか。
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そんな発想から購入してきたのが「1/144 ガンキャノン」。1979年に放送されたアニメ「機動戦士ガンダム」の中に登場するロボットのプラモデルだ。50年前のプラモデルともなればレトロ雑貨を名乗るにふさわしい。更に良いことに、このガンキャノン、初めて販売されたのは50年近く前であるものの、度重なる再販により手に入れやすく劣化もしていないのが嬉しいポイントだ。
ただ良いことばかりもでない。あまりプラモデルの心得のない私には、接着剤が必要な組み立てはなかなか大変なものであった。しかし当時の少年たちもこの難題に取り組みながら、試行錯誤の上で完成を目指していたと思うと、昭和の時代にタイムスリップしたようで感慨深い。
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さらに問題なのは色分けがされていないことだ。流石に赤一色では味気がないし、雑貨として魅力的ではない。なんとかプラモデル用の水性塗料を探しだし色を塗ってみた。多少はみ出したところで気にしない。私が目指しているのは、あの頃の少年たちが作ったプラモデルだ。きっと今日の私が頑張って作ったプラモデルという方が味があると自分に言い聞かせながら、色を乗せる。
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そんな悪戦苦闘して作ったガンキャノン。プラモデルとしてみると、塗り方にムラがあったり、肩から塗料がはみ出してたり、塗り残しがあったりと褒められたものではないだろう。それでも棚に飾ってみると部屋に馴染んでいい感じだ。
上手に作ることだけが、プラモデルの楽しみ方ではないというのを教えてくれた50年前のキット。自分の部屋を彩るという目的で、気軽にプラモデルを作ってみるのも面白いかもしれない。