消えない月 読書感想 畑野智美

マッサージ師として働いているさくらは、指名客の松原から誕生日のプレゼントをもらう
それを切っ掛けに食事に行き、結婚前提として付き合うことになった
しかし威圧的な松原の態度に疲れ、別れを切り出す
すると松原はさくらに付き纏い始めた

ストーカーの話
客の間は感じの良い人だったが、恋人となったとたん本性を出し、いわゆるモラハラな部分を見せる
声を荒げるために、さくらは言いなりになってしまう
そこでちゃんと言わないと、ってアドバイスする人もいるが、怖くて言えないのだろう
男女逆だとしてもヒステリックな声を上げられたら、今我慢したらと黙ってやり過ごす
そういう部分に付け込んでくる人はいる
そして拒絶されたら、ますます相手をコントロールしようと付き纏ってくる
自分の考えは正常だと思っているので、他人から窘められても聞かない
とても怖い話
でも合鍵を渡したら(というか高圧的に持って行ったのだけど)、鍵は代えたほうがいい

「相手に会い、自分の怒りをぶつけるために、ストーカーは努力します。警察よりも被害者よりも努力します。運は平等に、努力する者の味方をします。それが間違った努力だとしても、警告されてもつづけるようなストーカーは、人の話を聞けません。自分が正しいと信じ、周りに止められても、無視しつづけます」

消えない月 畑野智美

相手を傷つけるためだけに行動する。こんな相手に出会ったらどうすることも出来ないのだろうか。
しかも松原はもてないわけでもなく、学生の時はかなりの人数と付き合っていた。学生の時からの知り合いも松原が来るなら飲み会にに行くというくらいに好意は寄せられていた。
付き合ったら本性を知られて長くはもたないが、女性に不自由していたわけではない。
そういう人もストーカーになり得る現実。

災害としかいいようがない話だった。

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