雪が降る 藤原伊織 読書感想
6つの短編集
雪が降るのタイトルがこの季節にちょうど良いと惹かれた。
今もこの瞬間どこかの町で繰り広げていそうで、ちょっと非日常のような。
台風
少年時代に父親に店にやって来たビリヤードの上手い客のエピソードと思ったらラストで、え?となった。
銀の塩
軽井沢に滞在している間の小さな事件 外国人青年と既婚女性との恋らしきものを見守る島村さん、気が利くってレベルじゃないくらいだ
トマト
人魚と名乗る女に声を掛けられて。後味悪い。
紅の樹
仕事をやり遂げた堀江は直後に組を抜けようと決めて、ひっそり地道な日々を送る。隣のアパートに身を隠すように引っ越して来た母と娘と関わることでもめ事に巻き込まれる。
切ないラストだった。見返りを求めずに行動する堀江に出会わなければ良かったのにとすら思った。
「わかってるさ。見返りは用意する」「見返り?そいつはなんですか」「おれの命でどうだろう」
ダリアの夏
少年野球の監督が保護者の女性に気が合るからその子を試合に出すのはダメでしょうと言ってみる。主人公はまた野球に関わっていきそうで良かった。
表題の雪が降る
母を殺したのはあなたですね。父は知りませんというメールが送られてくる。
サスペンスっぽいが展開はそうではなく恋愛話だった。
昔ちょっと良い感じになった人と会うとろくなことにならない。本当の気持ちに気付いた!と正直に行動しようとして悲劇が起きる。
結局亡くなった妻の気持ちを知らずに済んだのは幸せでもある。
真実を知ってもいいこととは限らない。