私はだんだん氷になった 木爾チレン 読書感想
登山家の父は登山の途中で亡くなった
氷織は母親の再婚相手に性的虐待を受け、心のよりどころはアイドルグループ雹の四宮炭也を推すこと
しかしコロナ禍でコンサート中止が発表され打ちのめされ、氷織は自身のアカウントでプチ炎上し、そこに届いた「炭也」からのツイートに心を揺さぶられる。
本人からのものではない「なりきり」という世界に次第にハマっていく。
黒歴史を絡めたサスペンス小説って珍しい
面白かったです
ロル回すとかなんのことやらわからないけど、こういう世界かと感心すらする
まるで本人とやり取りしているようにずっとやり取りを続けるってすごいな
本人のようだからと心を許し、そして内容は過激なものに変わっていく
それに抵抗はない
驚きなのがやり取りしている相手は同姓
こういうので年下の女子をあわよくば釣ろうとする男じゃないという世界
お互い夢の中を浸っているだけだから、という感覚なんでしょうか
夢の中にいるのならそれでいいのだけれど、会いたい、こんなにやり取りをしているのだからもうこれは愛だという盛大な勘違いに変わった時が終わりの始まり
心なんて結局外見や年齢に勝てないという残酷さをまざまざと見せつける小説
恐ろしいね でも会わなかったら夢から醒めずに炭也炭也とすがっていたでしょう
ネタバレになるから触れないけど、章が進み、これとこうは繋がっていたのかという驚きがある
すっかり騙された
そして炭也のモデルとなったアイドルも(多分あの人)気付くの遅かった
名前からして、あの人だったわ
作者の前作もちょこっと関わりあるようなので、そっちを先に読んでおけばよかったかも