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我が家のヒミツ 奥田英朗 読書感想

家シリーズ短編集
シリーズといっても作家大塚の話がこれまで家シリーズでも書かれているだけで、他の話は完全に独立した短編小説

有名ピアニストが来院したことに気付いた受付
出世争いに敗れた男性
育ての父は血が繋がっていないという告白から実の父に会いに行く娘
母が亡くなり、父の元気がなくなる話
何をしているかわからない隣人が気になる産休中の妊婦

どれもシリアス過ぎない塩梅の良い話

出世争いに敗れた正雄の秋がリアルな空気で良かった
よくあるドラマだと選ばれた方が不正をしていて、やっぱり自分が評価されるという流れになるけど、この話はそうはいかない
正雄は出向という会社の一線から外されるという形になる
あからさまに気を使われたり、距離を置かれたりという心苦しい展開が描かれる
しかし最後まで読むと、これも人生と受け入れるようになる
実際に出世争いに敗れると会社を辞めるか、条件を飲むか、自分で考えるしかない
正雄の悔しさや気の抜け方が良い落とし所だった

家族を亡くした話も、最後ほろっとした
亡くした人でないとわからない ずしっと来る
他人事と思っていた出来事も、何十年か先には必ず経験することになるのだ


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