白い部屋で月の歌を 朱川湊人 読書感想
ジュンは先生の手伝いをしている。霊を自分の中に取り込む。イメージでは白い部屋に霊が入っているのを眺めている。先生はそれを取り出し位牌の中へと閉じ込める。
ある依頼で生霊として彷徨う女性を身体に戻す為にジュンはいつものように部屋へと彼女を入れる。
ところがこれまで罵って来た霊と違い、彼女が優しく話し掛けてきたことでジュンの気持ちに変化が訪れる。
不思議で怖くて悲しい話。 文章が綺麗で除霊とか先生の不穏な空気にもっと気味悪い印象になりそうなのが、もの悲しく映る。
身体が不自由?なジュンは先生に利用されて囲われているんだろうなと読んでいると……。
正体が判明したときが衝撃というよりも本人が何も知らないのが哀しくてやるせない。
この後も幸せな終わり方がないのがもうわかっているのも。
白い部屋 巨大な鋏 鉗子で挟まれる霊とイメージが怖くて綺麗で表現がとても好き。
もう一つのクロガネノハシラ。こちらは自分が一番最高と思った日に自殺を決めてそれが許されている土地の話。
ここで自殺しても良いのですよと許されている柱があるって世界観が恐ろしいがこれもありかもと思わせる。
主人公は浮気して左遷させられたのにまた別の女性に手を出すどうしようもない男。
鉄柱の問題に直面してやっと変わる。
遅いよ!とは思う。
ここまで主人公を追い込んで、やっと成長する。
やっとかよ!浮気している場合じゃなかったんだが、しかも良い話で終わるの何!?全部主人公のせいじゃないか!
とんでもない話だが設定に自分が死ぬ日を決めるのはどうなのか考えてしまう。