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プリテンド・ファーザー 白岩玄 読書感想

妻を亡くした恭平
妻が海外勤務中の章吾
それぞれ子供を持つ二人
シッターの仕事をしている章吾に恭平は一緒に暮らすことを提案する

男二人で子育て、という話 そんな単純なものではなかった

仕事をしている為に恭平の娘の志乃ちゃんの面倒は章吾にシッターの仕事として依頼もしている
章吾はとても気が回るので有難い存在だけど、親は恭平だよね?と思うような部分は多々ある

そこがこの作品の本質なのかも

子育ては両親でやるはずなのに、何故か母親メインというのが当たり前になっている
男同士で子育てしているのをゲイカップルだと思われる?
男の育休は二週間でも長い方

いやいやいや、と思われるようなことだけど、事実が書かれている

「世の中にはそういう無自覚な偏見を持っている男の人がたくさんいるんですよ。そしてその偏見の集まりが男社会の大枠を作ってるんです。男は男同士で子どもを育てない。育てるなら夫婦関係のある男と女、しかも女がそのほとんどを担うのが子どもにとって望ましいって。どっかでそう決めつけてないですか?」

プリテンド・ファーザー

偏見を持っているのが男の人だけとは限らない
じゃあ女二人が一緒に住んで育てているのを見て、偏見の目を向けない人はゼロなんだろうか
女だから子育てするのは当然と思う人は何人いるだろう


父と子、親子関係、介護や遠距離問題

ほのぼのとした子育てとは真逆に現実を突き付けて来る作品
かといって読後感が重苦しくないのがよい

「子どもたちをみてると、たとえ親のエゴでこの世に生まれたんだとしても、彼らが大人たちから歓迎されないような社会にはしたくないって思うんだよ」

プリテンド・ファーザー

作中で語られるように一人の力で今すぐ社会の仕組みや考えを変えるのは不可能
でも一つ前例を作れば良い方向へ一歩ずつ進んでいけるはず。

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