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2023年8月 中欧に行ってきました【③オーストリア・ハルシュタット周辺】
さて、今回はウィーンからレンタカーをして出かけた旅行の中から、著名な観光地ハルシュタットまでの道のりのお話をします。
1.レンタカー会社の受付のこと
レンタカーは日本からBookin.comを通して予約しました。ところが、ウィーンの中央駅にあるレンタカー屋さんの受付が酷かった! 若い女の子だったんですが、今まで見たこともないような傲慢な態度に閉口しました。
日本から予約したスマホには、日本語の確認メール。今回運転者として登録したのは三人。「3」はアラビア数字でした。ところがその女の子は、日本語だからこの3が運転者数を表しているかどうか分からないと。
そりゃそうだと言うことで「これが確認番号ですから、そちらにある予約の詳細で確認してください」と言って番号を指したら、「そんなものありません」。レンタカー会社に直接ではなくBooking.comを通しての予約だから、情報がないと言うのです。
そもそも問題はこの点です。「この日この車一台ね」と車だけ置いて行き、苗字以外の予約内容は現場に伝えないシステムということなんでしょうか? これでは何か問題が起きたら、現場の受付はろくな対応ができません。
でも面倒はここから。「日本で予約したので日本語の確認メールしかない」と言うと、「それはあなたの問題でしょ。あなたがどうにかしなさい」と命令口調。予約した時点で英語やドイツ語の確認メールは頂いていないと何回も言い、パスポートを見せて身元も提示して、どうにか照会する術がないのかと聞きましたが、まったく取り合ってくれません。「これは私の問題じゃない」の一点張り。「困るのは私じゃないの。分かる? 車を借りるのは私じゃないのよ」。いや、言い方。
途方に暮れていたら、隣のお客さんの担当をしていたお兄さんがおそるおそる首を突っ込んできて、「あの……グーグル翻訳を使ってみたら?」。え? そんなんでいいの? 言われた通り翻訳した画面を見せると、女の子は勝ち誇って「私はそれが見たかっただけなの。分かる?」。まあ、彼女は別に間違ってはいないんです。ただその態度よ!
ドイツとオーストリアの観光業界では、グーグル翻訳はとても信用されているのかも知れません。ドイツのホテルで、南欧からのお客さんにフロントの人がグーグル翻訳を使うようスマホを指しながら支持しているのを見ました。もっとも、どちらの場合も日本なら受付が翻訳して確認してくれそうなもんですが……
教訓。レンタカーもホテルも、日本から予約したら現地語の確認メールをもらっておくか、グーグル翻訳の準備をしておくこと。情報がちゃんと共有されているとは限らないのです。ちなみにレンタカー会社はアメリカの有名大手でした。
2.メルク修道院
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気を取り直して、まずはウィーンから真西に車を走らせましょう。わずか一時間と少ししたらメルク修道院(Stift Melk)です。ベネディクト派、1089年設立という古刹で、世界遺産です。
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図書館が有名なので拝見しましたが、写真は禁止でした。残念。木の色が落ち着いた雰囲気を醸し出し、美しくて図書館らしい内部でした。
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ウィーンから近いということもあって、近隣の日帰り観光客が多いのでしょう。駐車場に大型バスが4台停まっていました。駐車場はちょっと入口が分かりにくいですが、とても大きくて無料です。
修道院の敷地内にはレストランもお土産物屋さんもあります。レストランでお昼を頂きましたが、お値段もお手頃でした。
3.アドモント修道院
メルク修道院からアドモント修道院(Stift Admont)へは、車で2時間くらいです。こちらもベネディクト派。
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この日は日曜日だったからか、修道院の中庭でちょっとした市が開かれていました。小さな露店が並び、音楽を奏でる人たちがいて、座って食べたり休んだりできるようにテーブルが並んでいます。
初老の女性が小さな花植えの鉢を配っており、私たちにも「どうぞ」と一つテーブルに置いてくださったのですが、さすがに持って帰れないので丁寧にお断りしました。残念。
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ここは1865年に火事があって11世紀に建てられた教会は燃えてしまい、現在は再建されたネオゴシック建築の建物になっています。
特筆すべきは修道院図書館です。今回図書館をいくつか拝見しましたが、ここが群を抜いて美しかった! 白を基調とした造りが明るく清潔に見えるのでしょうか。18世紀の建造で、運よく前述の火災を免れたオリジナルです。
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実はこの図書館の書架に隠し扉があり、螺旋階段を上って二階に行くことができます(見学者は進入禁止)。もっとも二階への階段が見えるので、そこを辿ると隠し扉の位置は結構バレバレ。単に見た目を保つために隠し扉にしたのかな?
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アドモント修道院には散歩や遊びに来た風の人々が集っていて、愛されている地元のお寺という感じがしました。
4.ハルシュタット
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シューベルトの「ます」を思いだします
アドモント修道院からハルシュタット(Hallstatt)までは車で一時間20分ほど。
この辺り一帯は「ザルツカンマーグート地方のハルシュタットとダハシュタインの文化的景観」として世界遺産で、ウィーンからも近いので超人気の保養地・観光地です。
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ここの名物はハルシュタット湖に沿って聳える山々、そしてそこにへばりつくように細々と広がる可愛らしい街並みです。ただし観光客が多い! 私たちが帰ろうとした時にはちょうど中東の観光客のバスが立て続けに駐車場に入り、続々と人が現れていきなり小さな目抜き通りが大混雑になりました。
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ハルシュタットは街並みだけではありません。
「ヨーロッパ鉄器時代最古期の標準遺跡」、つまりヨーロッパ鉄器時代最初の時期の名前がこの町に由来するという、考古学上ものすごく大事なところ。紀元前1200年から紀元前500年は「ハルシュタット期」と呼ばれていますが、このうち紀元前800年以降が鉄器時代、それ以前は青銅器時代です。
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発掘調査は現在も細々と継続中
さらにハルシュタットが有名なのは、新石器時代以降なんと現在も続いている岩塩採掘。ちなみに「ハル」はケルト語で「塩」を意味するとよくいわれますが、どうやらこれは間違いらしい。古高ドイツ語由来のようです。
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手前左側の建物が受付
この岩塩坑は必見です。渡されたつなぎを纏い、坑道を歩いて奥に進み、長い滑り台を下りたり、大きな洞穴で巨大なプロジェクション・マッピングを見たり、花やしき的危なさを覚えるトロッコに乗ったりと小さな楽しみが満載。紀元前1100年に使用されていた木製階段が驚くほど保存状態がよくて面白かった!
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ところどころ岩壁に指を擦りつけて舐めてみましたが、どこもしょっぱい! こんなアルプスの山の中がかつては海だったという説明を見ると、ものすごく不思議な気がします。
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隣の人の手が写っていますね。ごめんなさい
ここは人気があってタイミングによっては混雑するので、チケットはネットで買っておくと安心です。
Online Ticket - Fascination of Salt (salzwelten.at)
他にも教会や教会墓地など見どころはありますが、嵐になったので今回は断念しました。
ハルシュタットは今回で四回目なのですが、雨に当たったのは初めて。そこでとても怖かったのが「沈没」。駐車場に湖水が流れ込んでいるのです。
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ハルシュタットに電車で行く時には対岸のオーバートラウンという駅で降りて船に乗るんですが、そのオーバートラウンでも同様の現象が起きていました。これはどういうこと? 温暖化で雨が多いとか周辺の山々の万年雪が解けたとかで、山から流れ込む水量が増えたのかな? いずれにしても、何とか対策を講じないと町全体がヴェニスみたいになりそう……
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初めてきた時はまだ世界遺産に認定される前で、素朴過ぎるほどの町でしたが、今や観光客に溢れ、あちらこちらのカフェやレストランで働くのも南欧や中東からの移民がほとんど。ちょっと寂しいですが、私自身が観光客ですからあんまり言えませんね。
Hallstatt - World Heritage in the Salzkammergut - Hallstatt Dachstein Salzkammergut Welterbe
翌日は車で10分くらいのところにあるダハシュタイン・クリッペンシュタイン・ケーブルカーに乗って終点まで行きたかったんですが、大雨なので泣く泣く断念しました。時間があればぜひ行ってください、本当に素晴らしい景色なんですよ!
Dachstein Krippenstein Seilbahn (salzkammergut.at)
それでは、次回③でお会いしましょう!