お空のお義父さんと話してみたら
ヒプノセラピーを学ぶ過程では、クラスの中で沢山のセッションを体験する。誘導する側として練習を行い、また被験者としてセラピーを受ける。どちらも同じ位に大切なことだから。
テーマのひとつに、『空にいる魂と出会う』というものがある。
それは先に亡くなった御先祖様や、大事な人、ペットなどと、生前に言えなかったこと、聞けなかったことを話したり、ただその存在をもう一度感じたいという願いも叶えるものだ。
わたしはそのセッションの対象に、元夫の父を選んだ。
離婚をした時に、夫の意向で、きちんとした挨拶をしておらず、それがずっと心残りだったから。いつか挨拶に行こうと思いながらも、きっかけが掴めず、ぐずぐずしているうちに義父はお空へ還ってしまった。
厳しい人だったけれど、嫁としてずいぶん可愛がってもらった。結婚したときには、「息子をよろしく頼む。」と言われたのだ。だから、別れたときは、「お義父さん、途中で投げ出してごめんなさい」という気持ちだった。
セッションの中で降りてきてくれた義父に、わたしはやっと謝ることができて、可愛がってくれたお礼も伝えることができた。
義父は、「そんなことは分かっているよ、気にする事はないんだよ」伝えてくれた。あたたかな光に包まれた気がして、泣けてきた。
さらに義父は、「自分たちは、『息子の(わたしにとっては元夫の)成長をサポートする』という意味で、同じ側に立って、同じ方向を向いていた同志だったのだ」と教えてくれた。
そのことで、年長の少し怖かった義父が、急にぐっと近しい存在に感じられ、不義理をすっかり許してもらえた気持ちになれた。
正直言うと、許してもらえることはセッション前から分かっていた。魂の世界では、愛あるメッセージがやってくるという事を既に経験値で知っていたから。
それでもやはりこのセッションは価値があった。
というのは義父に許してもらうことと、自分が自分を許すことは、話が別だったからだ。セッションを通じて「挨拶しに行かなかった」という後悔を、「挨拶した」に書き変えて、やっとわたしの中で、終わらせることができたのだ。
空の上の人に言ってもらうまでもなく、大事だったのは自分の後悔を許して、手放すことだったのかもしれない。
ある統計で、仲の良かった夫婦と、仲の悪かった夫婦では、前者の方が伴侶に先立たれた後の立ち直りが早い、という記事を以前に読んだことがある。
これ、生前に思い残すことなく関係を結ぶことの大切さを示しているのだと思う。
誰とでも生きている間に、わだかまりを残さない関係性を築けるのが何より一番。
いまの時間を大切に、いま目の前にいる人との間に、後回しや、出し惜しみをしない。と義父とのセッションを思い出す度、心に誓う。