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【読書感想文】東京防災


今から10年前の2015年頃、東京都から都民に配布された東京防災という冊子。A5版300ページ超というけっこうなボリュームのものです。地震発生時にとるべき行動や避難所での過ごし方、日頃の備えをはじめ、「簡易コンロの作り方」「ロープの結び方」など具体的なお役立ち情報まで書かれています。また大雨や大雪、火山噴火などにも触れており、防災について広範囲に取り上げています。その中でも特に印象深いページを3つ紹介します。

・テロ 武力攻撃

政治・行政・経済が集中する東京は、テロや武力攻撃の標的にされる可能性も。(中略)万一の事態には、この「国民保護法」に基づき、各市区町村の防災無線で注意を呼びかけます。テレビ・ラジオ・広報車両などの情報にも耳を傾け、指示に従いましょう。

164ページ

記憶が定かではないですが、この冊子が配布された当時、ネットで少し話題になっていたような気も。当時もかの北の国はミサイルの発射実験をしていましたが、「ずいぶん物騒なことが書いてあるな」というのが一般的な感覚ではなかったでしょうか。しかしながら今日では、残念なことに日本にいてもこのような事態はあまり他人事とは思えなくなってきた気がします。

・感染症

感染症とは、ウイルスや細菌などの病原体が体内に侵入して増殖し、発熱、下痢、せきなどの症状が出ること。(中略)対応を怠ると、人口が密集する東京では爆発的に広がる危険性があります。疑いがある場合は直ちに医療機関などで適切な医療を受けましょう。

168ページ

太古の昔から感染症のリスクというものは存在していますが、まさかこの冊子が配布された5年後に世界があんなことになろうとは。当時はパンデミックのパの字も知りませんでした。

・大震災シュミレーション 生活再建 日常生活に向けて

死と向き合う 東日本大震災では19,225人(2015年3月1日現在・総務省消防庁)、阪神・淡路大震災では6,434人(2006年確定報・総務省消防庁)が亡くなり、多くの方々が「死」と向き合いました。首都直下型地震が発生した場合には、約11,000人の死者、約210,000人もの負傷者が出ることが想定されています。

68ページ

素朴なイラストに「死と向き合う」というタイトル。データや被害想定について書かれたシンプルなテキスト。防災マニュアルは各自治体や団体が作成・発行していますが、死について触れているものはあまりないと思います。災害で家族や大切な人と死別することは、無いに越したことはないものの十分ありえること。もちろん「だからしょうがない」ということではなく、都民(読者)に、地震のリスクを理解してもらうことが大切だという意図が込められているのだと思います。

今日の1枚
メリケンパークのアレです

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