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読書記録#2 認知症世界の歩き方 筧裕介著

この本を読んだきっかけ



樺沢紫苑先生の「読書脳」でおすすめされていた本であったため。医療に関わる仕事柄、もともと病気や医療をテーマとする本はふとした時に読んでおり特に闘病患者さんのエッセイなどが好きであった(無菌病棟より愛をこめて 加納朋子著 などは特に心に残っている。ぜひ多くの人におすすめしたい。)。

本著は認知症患者さんへのインタビューをもとに認知症の患者さんからはどのように世界が見えているのかを地球の歩き方のようにある異国を紹介するようにわかりやすく紹介する本であった。世界がどう見えているかを知ることで、なぜ認知症患者さんは苦しんでいるか、どのような配慮があると嬉しいのか、自分ごとに捉えることの一助になった。以下、私が読んで、へ〜!と思ったことなのでよろしければの共有!これをきっかけにどなたかが本を手にとっていただけたら幸いです(私は図書館で借りましたので売上には貢献できてません…笑)。

認知症患者さんは五感が敏感に

感覚が敏感になることで1つのことに集中できなくなってしまう。

例えばいつもの味噌汁作成手順で味噌とお湯の順番が変わったこと、いつもの切符購入の操作でカードを入れたり置いたりの場所が変わったこと、変化に気を取られ混乱してしまう。
床のタイルの文様が不思議な穴に見えてしまい一歩が踏み出せなくなる。
人の話し声やテレビやサイレンなどの生活音が気になって目の前の話に集中できなくなる。

ADHDや自閉症に通ずるところがあるのかなと感じた。だからこそ対策としては五感を刺激しない環境を作る、そのような環境が良いことを周囲も理解し生活に取り入れる(服や照明や家電など)が良いとのことだった。

認知症患者さんの生活を楽しむ工夫

認知症は長い人生ずっと付き合っていかなくてはいけない病気。だからこそ人生で寄り添うための工夫にページを咲かれているのが印象的であった。

できることとできないことがあり、まだ何ができないかもわからないところもあるが、今の自分の状況を周りの人に共有していくことでみんなで乗り越える。そしてできないことに悲観するのではなく、変化を楽しめるような前向きな捉え方をする。例えばご飯を食べるのに時間がかかるようになった→ご飯をゆっくり味わえるようになった、など。

とはいえしんどいことはしんどい。そんなときは周りの人に気持ちを打ち明ける。ただし感謝の気持ちは忘れずに。

さらに社会的障壁(認知症患者は〇〇だから…)による差別を感じた場合には周りに相談し、適宜発信などを通して解決の緒を探す。

これって認知症だけじゃないよなと思った。
他の病気でも、妊婦でも子育て中のパパママも(っていうのは自分が今そうなのでそう思うのですが)、これらの工夫は役に立つと思った。

おわりに

祖母の晩年はおそらく認知症であった。祖母は元々英語教師、校長先生、老後も高校のボランティア教師とバリバリ働き続けていたのであるが、最後は認知症気味になり色々と悩んでいたようであった。

祖母はプライド高くなかなか状況を素直に受け入れてくれなかったのでたまに辛く当たってしまったこともあった気がする。素直にどんな世界が見えてるの?今どんなふうな世界が見えていてどんな気持ちなの?どうしたの?って聞いてあげればよかったのかなあ。

そんな祖母のことも思い出したりした読書でした。読みやすくて良い本でした!


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