『強み』とは。『らしさ』の解放に目を向ける
『強み』は2つに分かれる
人がもつ『強み』は大きく2つに分けられます。
1つは、いわゆる『スキル』です。
会計知識がある、法務知識がある、など各業務に必要な専門的な知識・スキルから、論理的思考力、コミュニケーション力など『ポータブルスキル』と呼ばれるものもこの中に含まれます。
これらのスキルは「後天的に身につけるもの」であり、「努力すれば誰でも身につけられるもの」です。また、スキルの有無が「可視化」でき、周囲との比較が可能です。
世の中にある「仕事」には「必要な能力」として「スキル」が紐づけられています。例えば、当たり前ですが会計知識が無ければ経理の仕事は務まりません。コミュニケーション力が低ければ営業の仕事はやりづらいかもしれません。「スキル」が無ければ務まらない仕事が世の中には沢山ありますが、繰り返しになりますがこれらは全て「努力すれば誰でも身につけられるもの」です。
※スポーツや音楽などの特別な才能はもちろん、別です、残念ながら…
2つ目は、その人の『らしさ』「個性」「動機の源泉となるもの」です。潜在的に眠っているものは「ポテンシャル」と表現するとピンとくるかもしれません。
※これらを一言で表現する言葉が一般化していないことがこの問題の根深さを表していると思います。
これらは生まれつき持っているもの、あるいは幼少期に形成されたもので、「先天的」であり、容易には変わりません。また、「その人の中にある絶対的なもの」であり、周囲との比較ができないものです。
「ストレングスファインダー」で示している「強み」はここで言う『らしさ』に近いものだと思います。例えば、私の1番目の資質は「親密性」ですが、「親密性」が強みだからと言って経理ができる、営業ができる、という話にはならないと思います。ただ、「親密性=一人ひとりと深い関係性を築く」ことは紛れもなく私の『らしさ』として存在しています。
『スキル』も『らしさ』も両方育てる
多くの人が『スキル』を身につけることに躍起になっていますが、自分の中にある『らしさ』を理解し、「磨いていく」こともとても重要です。『スキル』は究極的には「努力すれば誰でも身につけられる」ものですが、とは言えなかなか身につかない、気が進まないこともあると思います。それはもしかすると手に入れようとしている『スキル』と自身の中にある『らしさ』がうまく繋がっていないから、かもしれません。ピカチュウがはっぱカッターを覚えなかったり、ドラクエの戦士がメラを覚えなかったりするのと同じです。『らしさ』を理解しておかないと、自分にマッチしない『スキル』を覚えるのに無駄な時間を使ってしまうかもしれません。
『らしさ』を自覚し、磨き続けていくことが極めて重要です。『スキル』は「手に入れる」「身につける」もの、『らしさ』は内側にあるものを「解放する」ようなイメージです。
『らしさ』を自覚するには「ストレングスファインダー」のようなツールを使うのも良いですし、昔から「ついやってしまう、思ってしまうこと」「ずっと続けられること」「〇〇が好き/嫌い、その理由」を言語化してみることも良いと思います。
私の場合ですが、例えば…
・お店のオペレーションが悪いのが気になる、どうにかしたい
・遅刻するのもされるのも嫌い。予定した通りに動きたい
・飲み会で盛り上がっていない人がいると気になってしまう
・気になって話を振ったりすると疲れるので、本当は大人数の会には行きたくない
・話しているうちに考えがまとまるので、話したり、書いたりしたい
こんな感じでしょうか。
それぞれをまとめて名前をつけてあげると、『らしさ』として自覚しやすくなるかもしれません。
『らしさ』を自覚できたら、磨き続けることも大切です。成人発達理論をなぞりつつシンプルに考えると、以下のステップに分けられると思います。
・自分を守るために使う
・自分をリードするために使う
・他者をリードするために使う
例えば、私の『らしさ』の1つである「親密性」は、「一人ひとりと深く関係性を築く」と言えば聞こえは良いですが、「自分に害がありそうな人とは付き合わない」という自己防衛にも使える個性です。『らしさ』は「自然と発露してしまうもの」ですので、それを『強み』として使えているかどうかは常に自己点検が必要です。
※もちろん、あえて「自己防衛」のために使うことも時には重要だと思います。
『らしさ』の解放を
私が大好きな『ドラゴンボール』の中では、基本的には「成長=修行して、潜在能力を引き出す」と描かれているように思います。もちろん、必殺技を覚えることも重要ですが、自分自身が磨かれないと必殺技も最大限に活かせません。技を覚える前に、まずは自分自身が持っている才能を最大限に活用する努力が必要なのだと思います。
自分自身が持っている才能を理解し、認め、磨いて活用しすること、またそれが周囲からも認められることが、本当の自己効力感、自己肯定感に繋がるのではないでしょうか。『らしさ』の解放に向き合う人、あるいはそれを支援する組織・社会が少しずつ増えていくことを切に願います。
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