【勝利の女神:NIKKE】キャッシュショップ新曲「Jump Up (by Cosmograph)」実装で高まった指揮官が思ったこと全部書く
運営型ゲームを日々遊んでいて、新曲が追加される瞬間ってうれしいですよね。
コンテンツが拡張され、それに伴って新しいBGMが聴けるというのは本当に楽しい体験ですし、印象にも残ります。
新イベント、新シナリオ、周年記念……ゲームによって色々あると思いますが、年に1回、課金画面の専用BGMに新曲が追加されるゲームがあります。
2025年1月16日、『勝利の女神:NIKKE』に新曲が実装されました。
Jump Up / Cosmograph
年イチで課金画面の専用BGMとして新曲が追加されるゲームってどういうことですか!?
去年はまだ、課金画面の専用BGMってどういうこと!? で済んだのですが、まさかそれ以上があるとは思いませんでした。
あまりにも前代未聞な上、曲が良すぎて高揚しているため楽曲を聴いて感じたこと考えたことを全部書いていきます。
■「Jump Up」とドラムンベース
曲名の「Jump Up」とは、ドラムンベースのサブジャンルの名前でもあります。
先にドラムンベースについて超ざっくり解説。ドラムンベースは、ブレイクビーツ由来の音楽ジャンルです。リズムパターンは様々ありますが、基本形は1拍目と3拍目裏のキックに、2拍目と4拍目のスネアが骨子になります。さらに8分や16分のハイハットに太いリースベースなどが入り、それらを崩したりずらしたり、時には足したり引いたりすることで特有のグルーヴが作られます。NIKKEでは下記のような曲が概ねドラムンベースに分類されます。
Splinter - Heated - / Cosmograph
The Moving Fortress / Zekk
Land Eater / Cosmograph
Silver mane / Feryquitous
首のない天使 / 女王蜂
OVERCLOCKED / ARForest
ドラムンベースには多様な音楽ジャンルの影響を受けて発展したサブジャンルもたくさんあります。NIKKEの曲にその要素が見られるものだと、リキッドドラムンベース(リキッドファンク)、ハードステップ、テックステップ、ダンスフロアドラムンベース、ニューロファンクなどでしょうか。ダブステップからブロステップが生まれ、ドラムステップとして合流し、さらに発展したトランスステップ、フューチャーステップ、ニューロステップといった派生ジャンルも無数にあります。最近ではリディムが膾炙しブリディム(Briddim=Brostep+Riddim)という呼称も使われているようです。NIKKEにもこのタイプの曲が多いですね。
熟練指揮官ならば上に並んだ曲たちを見て気が付いたかもしれませんが、このゲームではドラムンベースというと主にボス戦や高難度コンテンツで使われています。
そうなんです、我々指揮官はドラムンベースを聴くと感情が昂り使命感に駆られる特殊な訓練を常々受けているわけなんですね。日課の無料ジュエルを受け取りにショップを訪れるとそこにはドラムンベース。足を踏み入れた途端、指揮官モードに切り替わることであらゆる欲望が使命感に置き換わります。地上を取り戻すため、愛するNIKKEを守るため、ああ課金しなきゃ……。
■「Jump Up」とジャンプアップ
さて、例に挙げた楽曲はいずれも派手に音が盛られたタイプですが、ドラムンベースの中には引き算的に作られたジャンルも存在します。そのうちのひとつがジャンプアップです。
実のところ、この「Jump Up」(楽曲)はジャンプアップ(ジャンル)か? というと、王道のスタイルではないと思います。ただ、構成する要素は似ている部分があります。シンプルで手数の少ないビート、跳ね動くベース、ヒップホップ的サンプリングなど。
敢えて語弊のある言い方をすると、ジャンプアップは隙間の多い音楽です。だからこそ普段とは違うオカズを詰める甲斐があるわけなのですが、そこにこの曲の肝があります。ここから、音楽プロデューサー・Cosmograph氏の盛り付けがスゴいという話をします。
■「Jump Up」とUKガラージ
「Jump Up」を聴いて、自分はジャンプアップドラムンベースのほかにも、2つの音楽ジャンルの要素を感じました。1つめは、UKガラージです。
UKガラージは、アメリカのハウスがイギリスのドラムンベースと融合し発展していった音楽ジャンルです(ものすごく端折っているので興味のある方はぜひ色々調べてみてください)。ポイントは、ドラムンベースの影響下にある音楽ジャンルというところです。BPMこそ大きく違いますが、ビートの基本形はドラムンベースによく似ています。
NIKKEのUKガラージといえばこの曲です。
I FEEL SO ALIVE / Cosmograph
そう、ちょうど1年前(2024年1月)に突如実装されたキャッシュショップ専用BGMの先代です。
「I FEEL SO ALIVE 」については、ファミ通のインタビューでCosmograph氏がこう答えています。
Cosmograph氏にとって、UKガラージは気持ちよく買い物ができる曲なのです。この印象を残すために、音の詰まったドラムンベースではなく、削ぎ落されて軽快なビートのジャンプアップを選択したのではないかと自分は感じました。
せっかくなので、NIKKEのUKガラージ系楽曲をあと2つほど貼っておきます。
Sweet Bite / Cosmograph
Juvenile Days / seibin, OSUM, Chaerin
いや神曲。「Sweet Bite」はスピードガラージ系、「Juvenile Days」はジャージークラブとの融合スタイルと言えるような今っぽい(というかいわゆるNewJeans以降の)サウンドですね。
ちなみに、UKガラージにヒップホップの要素が加わると、グライムというジャンルになります。来年はもしかしたらグライムが来るかもしれません。
■「Jump Up」とジャズ
2つめはジャズです。いきなりですが、ジャズとは何でしょうか?
BUNNY X 777 / Cosmograph
Lucky Night / Seibin, Cosmograph, Shabel Tonya
JINX PLAYER / Cosmograph
そう、ジャズとはカジノです。少なくともNIKKEでは。
これらは3曲とも、作中のコインラッシュというカジノを舞台に描かれた期間限定イベントのメインテーマです。「BUNNY X 777」と「Lucky Night」はキャバレーやバーレスクを想起させるようなスウィング(ビッグバンド)ジャズ系で、「JINX PLAYER」に関してはスウィングのカウンターカルチャーとして興ったビバップになっています。
驚くべきことにいずれも「Jump Up」と同じくCosmograph氏が手掛けた楽曲です。NIKKEのサウンドトラックを聴くとわかる通りトランスからメタルまで本当に多彩な作風を持つ氏ですが、ジャズへの造詣が深すぎるんですよね。「JINX PLAYER」の楽曲クレジットを見てビビりました。ガチのジャズプレイヤー呼んどるやんけ。
自分はこのスタイルになった氏のことを、ラピ:レッドフードよろしくコスモグラフ:ジャズマンと称しているのですが、セカンドコアにチャーリー・パーカーかマイルス・デイヴィスの精神でも宿っているのではないでしょうか。
「Jump Up」でもその精神が抑えきれなかったと思われます。挿入されているピアノがまあジャズいジャズい。はじめに言った通りNIKKEにおいてジャズはカジノです。そして「Jump Up」は課金画面で流れる曲です。つまりもう、そういうことです。これ以上言うとエクスターナーに消されそうなのでやめておきます。
結論:NIKKEにいっぱい課金しよう!
そしてCosmograph先生にこれからも新曲をいっぱい書いてもらおう!
ありがとうございました。