水彩教室の生徒さんがぶつかる壁
水彩教室で生徒さんが描いた水彩画を何枚も拝見します。
その水彩画を見て 、「もう少し描いたら良くなるのに・・」
とコメントすることがあります。
すると ほぼ100%の割合で返ってくる答えが、
「これ以上描くと失敗しそうなので・・」
「この先を描くのがちょっと怖いです」 などです。
「今せっかく明るく爽やかな感じのに、
この後描いたら重苦しい感じになってしまうかも知れない・・」
そんな思いが頭をよぎるのでしょう。
かつて僕もその様な思いをしたことがよくありました。
ですので この気持ちはとても理解できます。
この先ヘタに手を入れて絵を壊してしまうというリスクは
負いたくない、そう考えるのも無理は有りません。
しかしこの状態が度々起こるとどうなるか・・。
そこに大きな壁が出来てしまいます。
これ以上先には行けないという大きな壁です。
習慣化すればする程 壁は大きく分厚くなって行きます。
でも安心してください。
この壁は案外簡単に取り除くことができます。
それは・・
5枚に1枚は 失敗を覚悟で最後まで描き切ることです。
結果はどうあれ、最後まで描いたら どんな感じになるのか
見届けることが大事です。
毎回ではありません、5枚に1枚程度でOKです。
仮に毎回描き切って失敗していたら絵を描くのが
嫌になってしまうかもしれません。
要は描き切る時とあっさり描く時の両方があれば、
2種類のパターンを経験することになるということです。
では、最後まで描き切るとどんな事が待ち受けているのでしょう。
例えば「重苦しい感じになった」「暗い雰囲気だ」
「ムラが多い絵になった」「色彩に魅力を感じない」
などなど・・。
敢えてネガティブなことばかり並べてみましたが、
これこそが壁を乗り越えるためには貴重な体験です。
具体的に述べて行きます。
例1「透明感のない暗く重苦しい感じの絵になった」→
「何度も色を重ねたので それが原因だろう」→
「色をあまり重ねないようにしよう」→
「でもそうすると出来た絵が薄くなってしまう」
と考えが進んで行き、やがて →
「そうだ!一回に塗る色を濃くすれば良いんだ」
という気づきが生まれます。
例2「筆跡が沢出来ててしまった、白いムラも所々に見える。」→
「筆をチョコチョコと動かし過ぎたかも知れない」→
「使った筆が硬かったからだろう」・「安価な紙を使ったからだろう」・・「箇所によっては大きな筆を使って一気に描いてみよう」などなど 様々な気づきや発見があるに違いありません。
以上2つ失敗例を上げましたが、ここから学ぶことはとても
多いと思いいます。失敗は決して失敗ではなく発見です。
少なくとも僕自身はこれらの体験から多くの発見をしたり、
ヒントをもらったりして来ました。
また毎回失敗するとは限りません。
成功 いや大成功する可能性だってあるのです。
最後まで描き切ることは 経験値が確実に上がることを意味します。
壁の先の風景が小さく垣間いえていたのが、
徐々に見える範囲が広がって行き、
やがては壮大な風景を目にする
ことが出来るでしょう。
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【藤沢水彩教室の風景】インスタグラム