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(14)東京発、ラストの寝台列車
(今はなくなってしまった東京駅12・13番線ホームの、夕方から深夜にかけての風景を綴った連載)
東京駅12・13番線を発つブルーの寝台列車は、微妙な位置づけの1本。
その列車名は『銀河』。夜空を表す、とてもすてきな名だ。しかし他の列車と、ちょっとちがう部分がある。
まず、特急ではなく急行ということだ。寝台急行なので、当時、ブルートレインの定義から外れているという意見もあった。
そして、行き先が「大阪」と、他の列車よりも近いということ。また終着駅が近いから、22時45分発と深夜に出発する。
そして、急行だからだろうが、寝台特急より停車駅が多い。真夜中の時間帯以外、ちょこちょこ停まるのだ。
もちろん、食堂車は連結されていない。客車も、寝台特急より型の古いものを使われていた。あまり、寝台列車という豪華さを沸きあがらせない1本だった。
しかし、このちょっと古びた、東京発唯一の寝台急行が、ぼくはとても好きだった。
新幹線で簡単に行けてしまう大阪まで、人の寝静まる時間、律儀に主要駅に停まり、また時間調整で留まり、ひかり号の3倍ほどの時間をかけて終着駅に辿り着く。愛着を持てる要素をいっぱい含んだ列車だった。
もっとも、子どもには遅い時間の入線、発車なので、『さくら』や『はやぶさ』のように頻繁に見れなかったし、撮れなかった。それでも、数少ないなかで、とても印象に残る列車だった。
『銀河』を気に入っていたのにはもう一つ理由があり、その「顔」が他のブルートレインとちがっていたのだ。
(15)につづく
※連載終了時には電子書籍にしてしまうので、記事は削除します。コメントをいただいた場合も一緒に削除されますので、ご了承ください。
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