(15)寝台急行『銀河』の牽引車
(今はなくなってしまった東京駅12・13番線ホームの、夕方から深夜にかけての風景を綴った連載)
『銀河』は終点が大阪と近かったからだろう、寝台列車だが特急ではなく急行だった。そのため、これまでの10本(出雲に連結された紀伊を含めて)とちがう部分があった。前回記事で載せた、うしろ姿がまずそうだ。特急よりも古い型を使用しているので、丸っこい。テールマークも五角形だ。
そして、前面の姿もちがった。
この全面的に四角形を感じさせるEF65の1000番台が、ブルートレインブームの頃の顔であった。しかし『銀河』だけは、
EF58という、見た目がいかにも古めかしい気動車がけん引していた。
しかも、ブルートレインの人気の要因だった、ヘッドマークがない。子どもの目から見て、ブルートレインの2軍選手だった。
でも、当時はこの、急行を引っ張る気動車が好きだった。EF65に比べて丸みがあり、レトロな自動車のようで、親しみを沸かせたものだった。
また蒸気暖房だったので、この気動車には湯気が漂っていた。それもまた、古めかしさを演出するアイテムだった。
こちらは、ディーゼルの気動車と並ぶ1枚。他の気動車に比べ、なんとなく、妙に合う。
またEF58にはダークチョコのような色のものもあった。これはお召列車用の特別車だった。
数回前の記事で取りあげたEF81のステンレス車は4台だったが、こちらは2台。より希少だが、東京にあるのでわりと頻繁に見られた。
ブルートレインはやがてブームが去ると、EF66がけん引するようになる。
ぼくはこのゴツゴツとした感じが好きでなかった。また、EF66はブーム時はコンテナ車を引いていて、貨物用というイメージが抜けない。EF66の時代に、東京駅に何度かブルートレインを見にいったが、興ざめして写真を撮ることはなかった。
どうしても見た目というものは大事で、子どもであれば特にこだわる。ブルートレインというのはEF65の1000番台というものがあるべき姿で、その陰に隠れるように深夜に1台だけあるからこそ、EF58が引き立つ。全部EF58だったら、思いは籠らない。この辺が微妙なところだ。
※連載終了時には電子書籍にしてしまうので、記事は削除します。コメントをいただいた場合も一緒に削除されますので、ご了承ください。
書き物が好きな人間なので、リアクションはどれも捻ったお礼文ですが、本心は素直にうれしいです。具体的に頂き物がある「サポート」だけは真面目に書こうと思いましたが、すみません、やはり捻ってあります。でも本心は、心から感謝しています。