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食堂かたつむりを読んだ

食堂かたつむりを読んだ。
食堂かたつむりを読んで、「ジュテームスープ」に憧れてスープを作った。
失敗した。けど、初めての工程をどきどきしてやり遂げたり、テーブルセッティングの手際も考えながら倫子ちゃんになった気分でテキパキ動くのは、とても楽しかった。

途中からビールを飲みながら掃除をしながら動き回って、他の食べられるレベルに成功した食べ物を食べ終わる頃には手にも足にも指先まで少し気の抜けたビールのアルコールが幸福に染み渡っていていい気分だった。

今までは、料理アレルギーがひどかったので料理関係の本は敬遠していたのだけど、
料理は慣れてきたら意外と楽しいし、自分が食べたいと望むものを望む形・・たとえば、胃腸がすこし疲れているようなときにはバターチキンカレーを牛乳ではなくて豆乳で作ってみたり・・でやってみることができるのは、自分を幸せにするためのスペシャルカードが増えるような感覚があって、最近では料理のことを考える時間が格段に多い。

とはいえ、料理が得意になったわけではないので、「料理なんて誰にでもできますよ」と言う己の能力を過小評価しているような人たちには断固、「あなたは特別でマジですごいので!」と主張していきたい。


そんな風に変化していくにつれて、本屋や図書館に行くと料理関係のエッセイや小説を手にとるようになってきた。

きっと、サムゲタンスープが効いたのだろう。
微かに触れた「 」(誰かはネタバラシになるので秘密)の指先が、ほかほかと温かくなっていた。これで血の巡りがよくなって、ぐっすり眠れるといい。

「食堂かたつむり」小川 糸
スノードロップ、実物を見てみたい


食堂かたつむりの、食べることへ本気で向き合っている主人公が作る料理が、食べた人それぞれの中に刺激や癒しになって染みていって一部になっていくのを目撃するのは、自分が料理をするときに想いを分けてもらうような感覚で、じぶんちのキッチンが少し豊かになったようだ。


そういえば、この本を読むのは初めてだとずっと思っていたのだけれど、
ラスト直前、ふくろう翁のところまで来て、昔読んだことがあると思い出した。
小説も漫画も映画も終わると全て忘れてしまうので、ときどき前に見ていたのをまた終わる直前に思い出すことがある。
何度でも楽しめると言えば良いようだけれど、読んだ甲斐がないとも言うと思う。




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