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プロジェクトにJOINして1ヵ月で実践した信頼関係構築術

こんにちは!「フリーランス人事研究所」広報のゆいです。
フリーランス人事は様々なプロジェクトに入って、まずは短期で成果を出すことが求められます。会社員時代は、例えばあるポジションを採用するプロジェクトがあったとして、そのポジションが埋まらなくても他の業務の成果も加味して評価されますが、フリーランス人事は求められたポジションに対してのみの成果で判断されます。

とくにフリーランス人事に依頼する課題(困りごと)は、早急になんとかしてほしいけど社内リソースが無い場合にご依頼いただくことが多いです。とはいえ、業務内容によってはすぐに成果が出にくいものがあることも、みなさん感じていると思います。ただ、成果が出ないからと言って進捗が変わらないままでいると、クライアントは別の手段(例えば他の人をアサインする)などを考えてしまうことになります。

さらに、フリーランス人事が独りで成果を出し続けていると、社内にノウハウが貯蓄できないのでは?と不安になるクライアントもいました。私はここはかなり気を遣っていて、自分がいなくなってもクライアントが自走できるようにとチーム育成も行っています。
プロジェクトを最後まで任せてもらうためには、立ち上がりの1ヵ月目でしっかりとクライアントと信頼関係を構築することが必須です。そのために私が実践していることをお伝えしていきます。

【このシリーズを読んでほしい人!】
・フリーランス人事になったばかりの方
・インハウス人事からフリーランス人事へキャリアチェンジをした方
・長期契約がしたいフリーランス人事

【このシリーズを読むことでのベネフィット】
・プロジェクトの立ち上がりでクライアントと信頼関係を築く方法が分かる
・契約を継続してもらいやすくなる


信頼関係構築のキーワード「ラポール形成」

コミュニケーションを取るには時間・場所共に制限された中で、クライアントと仲良くなることに課題を感じている方は少なくないと思います。仕事以外の話ができなくてクライアントと仲良くなるきっかけがつかめないことはありませんか?

ラポールとは、フランス語の「Rapport(心の通い合い)」に由来する言葉で、私がキャリアコンサルタント資格を勉強しているときに出会いました。この言葉は、二者間での信頼や理解、共感に基づく関係性を指し、円滑なコミュニケーションや協力を促進する基盤となります。
ビジネスにおいて、クライアントとのラポールが強固であれば、意見の相違や困難な状況にも柔軟に対応でき、長期的なパートナーシップが築かれやすくなります。ラポールが欠けている場合、コミュニケーションは表面的になり、誤解や不信感が生じやすく、結果として契約が短期で終了してしまうこともあります。
ラポール形成は、偶然に任せるものではなく、意識的に構築することができます。ラポール形成をするために重要な姿勢が「ラポール形成の3原則」です。

ラポール形成の3原則

ラポールを形成するために守るべき3つの原則があります。

①肯定と尊重

クライアントが自分の意見や感情を伝えてくる際、それを否定せず、受け入れる姿勢を示すことが大切です。例えば、クライアントが抱えている問題や懸念について話すとき、「それは興味深い視点ですね」や「その点についてもっと詳しく教えてください」といった肯定的な反応を示すことで、クライアントは自分が理解されていると感じます。
また、クライアントが話している間はしっかりと聞き、割り込まないように心がけることや、クライアントの意見を軽視しないことが重要です。

②行動の類似性と同調

人は、自分と似た行動や態度を取る人に対して自然に親近感を抱きます。これをビジネスの場でも活用し、クライアントの行動やコミュニケーションスタイルに意識的に合わせることで、クライアントに親近感を持ってもらうことができます。
例えば、クライアントの話す速度や声のトーンをさりげなくマネしたり、話す際のジェスチャーを取り入れることで、共感を得やすくなります。このような「ミラーリング」と呼ばれる技術は、相手との心理的な距離を縮め、ラポールを築くのに効果的です。
※やりすぎには注意しましょう。

③ペーシング

ペーシングとは、クライアントのペースに合わせてコミュニケーションを行う技術です。クライアントの感情や話題の進行に対して、自分の反応や行動を調整することで、相手との調和を図ります。
例えば、クライアントが冷静に話している場合は、自分も落ち着いたトーンで応答し、彼らが熱心に話している場合は、エネルギッシュに対応します。また、クライアントが話すテーマや話題の展開に合わせて会話を進める方法もあります。この場合、急に話題を変えたり、相手が興味を示していない話題を長く続けないように注意します。ペーシングによって、クライアントは自分のリズムでコミュニケーションが取れていると感じ、信頼感が強まります。

具体的な実践方法

ラポール形成の原則を理解したら、次はそれを日常のビジネスシーンでどのように実践するかが重要です。ここでは、クライアントとの信頼関係を強化するために私も実践している具体的な方法を紹介します。

①クライアントとの類似性を増やすきっかけになる”自己紹介”

自己紹介は、クライアントとの共通点を見つけ、類似性を強調する絶好の機会です(話題のペーシングですね!)。自己紹介の際には、クライアントが共感できるような情報を意識的に含めることが大切です。
例えば、趣味や出身地、共通の業界経験など、相手との共通点を見つけやすい話題を選びます。これにより、クライアントは「この人は自分と似た経験を持っている」と感じ、親近感が生まれます。

②雑談をする

雑談は、ビジネスの硬い話題から離れてクライアントとの距離を縮めるための効果的な手段です。会議が始まる前に、集まっている人に天気などの軽い話をしてリラックスした空気を作ります。2回目以降の雑談のネタになるので前述の自己紹介は大事です。オンラインは雑談をしにくい環境ですが、自分で会議のファシリテーションをすることで最初に少し雑談をする時間を入れることができます。

③アクティブリスニングの技術

アクティブリスニングは、クライアントが話している内容や感情に対して積極的に反応し、理解を深めるための技術です。1on1面談でも取り入れられています。

動きをミラーリングする:クライアントのジェスチャーや姿勢をさりげなく模倣することで、無意識のうちに一体感を生み出します。私は飲み物を飲むタイミングを合わせることが多いです。

話すテンポ・ボリューム・声の高さを合わせる:クライアントが話すテンポや声のトーンに合わせることで、コミュニケーションがスムーズに進みます。とくにテンポとボリュームは速すぎ・大きすぎるとクライアントの存在を押しのけてしまうので気を付けています。

オウム返し・要約する:クライアントが述べた内容をオウム返ししたり、要約して繰り返すことで、相手が話をしっかりと聞いてもらえていると感じさせます。例えば、「つまり、こういうことですね」と確認することで、理解の度合いが明確になります。

④自分の固定概念に囚われないでまず”聴く”

クライアントの話を聞く際、自分の先入観や固定概念に囚われず、相手の言葉に純粋に耳を傾けることが重要です。先入観があると、クライアントの真意を見逃したり、誤解する可能性があります。相手が何を求め、何を懸念しているのかを理解するためには、オープンな心でまず「聴く」ことが必要です。自分の方が詳しい・業界歴が長い・年上だ、などの要素があると上から目線になってしまいやすいので、特に注意が必要です。

⑤クライアントのニーズや悩みを理解する

クライアントが何を求めているのか、どのような問題を抱えているのかを正確に理解することは、信頼関係を築く上で欠かせません。質問を投げかけ、クライアントの考えを引き出すことで、彼らのニーズや悩みを深く理解します。クライアントがいつも明確に自分の悩みを把握して言語化できるとは限りません(むしろ不明瞭なことの方が多いです)。表面的な言葉だけでなく、本質的に何を解決したいのかを深堀りしましょう。

⑥一緒にTODOを考えて実行する

クライアントとの信頼関係をさらに強化するためには、彼らと一緒に具体的なアクションプランを策定し、それを実行に移すことが重要です。クライアントと一緒にTODOリストを作成し、各ステップを明確にします。進捗状況を定期的に確認し、必要に応じて調整することで、社内外関係なくワンチームでプロジェクトを遂行していると感じてもらえ、信頼が深まります。

信頼関係を作った上で心配させないコミュニケーション

ラポール形成をして信頼関係を作り、プロジェクトがスタートしたからといって安心はできません。プロジェクトが続く限りは信頼関係を維持する必要があり、少なくともお互いにコミュニケーションの取り方が定着するまでは丁寧に接する必要があります。具体的には次のようなやり方をおすすめします。

【大前提】チームワークを忘れない

クライアントはお客様ですが、それと同時に同じプロジェクトチームのメンバーです。さらに大きなプロジェクトだと他の業務委託メンバーもいることがあります。何でも一人で決めてしまう・相談せず物事を進めてしまう…ということを繰り返していると、チームビルディングはできません。最初は些細なことでも相談しながら進めていくことで、誰がどういう考え方で仕事をしているのかを知ることができます。フリーランス人事として普段は一人で考えて行動することが多いですが、だからこそ一層、プロジェクトに入っているときは仲間を増やして仕事を進めやすくするという観点も忘れずにしてください。

①報連相はこまめに

会社員であれば、隣に同僚や上司がいるので、こまかく情報共有をしなくても、あなたが働いている姿を見ていることである程度安心ができますが、フリーランスで同じ感覚では「何をしているか分からない人」になってしまいます。
クライアントはプロジェクトについて不明瞭なところがあると不安に思うので、常にネクストアクションが見える状態にします

プロジェクトスタート時にゴールを共有し、途中KPIも設定しておくことで、毎回の会議で振り返りとネクストアクションを話しやすくなります。可視化することも大事なので、資料冒頭にプロジェクトゴールのスライドを入れたり、KPIの期限と進捗を更新してスライドに入れたりすると良いでしょう。
プロジェクトの振り返り方法(採用)はこちらのnoteをご参考にどうぞ!

随時で振り返り会議を設定してもいいですが、毎回会議の日程調整をするのは大変なので、プロジェクトスタート時に全部日程を調整するか、定例で曜日・時間設定をしておくと気が楽です。

②制作物は作り途中でもクライアントが見える場所で

例えば採用プロジェクトであれば、会議で使う資料や採用ペルソナを言語化するためのメモ・フォーマット、広報に使う文章やスカウトメールを送るための文章など、様々なアウトプットがあると思います。私はどんな細かい資料やメモ書きであっても、必ずクライアントが見える場所で作成し、自端末や自分専用クラウドには保存しないようにしています。プロジェクトの成果物を保存するフォルダをクライアントに準備してもらうと良いでしょう。作り始めからそのフォルダで作成し、作成過程も見てもらえるようにすることで、「何やってるか分からない」を解消しています。

③誰がやるか分からないタスクを拾って処理する(パスするも含む)

プロジェクトを進める中で、誰が担当するか決まっていない細かなタスクが発生することはよくあります。こうしたタスクを放置してしまうと、次第に溜まってしまい、最終的にはミスやプロジェクトの遅延につながる可能性があります。タスク漏れを防ぎ、プロジェクトを円滑に進めることは、フリーランス人事としての重要な役割です。

簡単なタスクであれば自分で処理しても構いませんが、クライアントに余裕がある場合は、クライアントに相談し、タスクを引き受けてもらうことも考慮すべきです。これにより、クライアントに経験を積んでもらう機会を提供し、スキル向上にも貢献できます。

まとめ:プロジェクト1ヶ月は丁寧にコミュニケーションを取る

ラポールの形成は、クライアントとの成功するビジネス関係を築くための第一歩ですが、それを維持し、継続的に強化していくことがさらに重要です。定期的なコミュニケーションを通じて進捗や課題を共有し、クライアントとの透明性を保つことが信頼関係の維持に不可欠です。また、クライアントの意見を積極的にヒアリングし、それを活用して対応方法を改善することで、クライアントは自分の意見が尊重されていると感じ、信頼感が深まります(一般論としてだけでなく私も実感があります)。
自分の中で考えているだけでは伝わらないので、言語化・可視化して、オーバー気味にでもクライアントを理解しているという姿勢を見せることが大事です。

Crepeでは経験豊富なサクセスサポーターが在籍し、新規プロジェクトの立ち上げのサポートをしています。新規案件での信頼関係構築は各クライアントによって何が効果的かは異なってくるので、サポーターに相談しながら案件を進めていただくことが可能です。

詳細はこちらのnoteをご覧ください!

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ライター:西田ゆい
名古屋の老舗企業とベンチャー企業で人事を経験後、独立してフリーランスの人事になる。現在は5~6社に入り、採用・労務・組織開発など幅広い業務を担当している。「誰もが楽しく働ける社会へ」を個人ミッションとして日々邁進中。

「フリーランス人事研究所」運営元:株式会社Crepe
「人事が変われば、組織が変わる」
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