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中学生の演劇の発表会の舞台監督をやっていて

何年前からだろうか、世田谷区立の中学校の演劇発表会の舞台監督をするようになったのは。
昨年度はコロナで中止になったけど、今年度はやるのでと5月くらいにお願いされた。

中学生とやるのは正直楽しい。
思いもよらぬ表現に出会えたり、今の感覚を直に体験できるからだ。
もちろん芝居は下手くそなことが多いし、むず痒くなるようなこともある。
ただ彼ら彼女らの前向きなひたむきさ、だるさや打算さ、そして緊張感は側にいるとひしひしと伝わって来る。
逆に側にいないと中々感じることはできないと思う。貴重な体験に感謝。

なので少しばかり書いておく。
まず今年はコロナの影響で、有観客から家族などの関係者もNGの無観客での上演になってしまった。
見るのは講評をお願いしている3人の方のみ。

お客さんと言っても例年だと各中学校同士で見合うというのがメインになるのだが、それでも中学生はお互いに批評しあったり誉めあったり質問したりと交流することを楽しみにしているように思えた。
舞台で表現するのに客席にお客さんがいないというのはやはり寂しい。

可愛そうとか悲しいなとかは勝手に思うものの、ただ中学生たちは実際どうなんだろうっていうところも気になる。

 なので先に記載しておくが、スタンスとしてはルールにはもちろんのっとるが
無観客だからこそできることで最大限サポートしようと思う。

初めて引き受けていた頃から決めていた想いが3つあって
・安全に全体が進行するようにする
・先生の言うことではなく、生徒の言っていることを優先する
・人生の選択肢に舞台っていうものが残るようにしたい


何かの際に判断が迷ったらこの3つに沿って物事を決めている。

安全に全体が進行するためには事前の打ち合わせが重要だし、制作さん(世田谷では学芸チーム)に言って、先生にお願いして、ちゃんと生徒と打合せをするための時間をきちんと取ってもらったり、少し多くなってしまったけど提出資料の見直しをしたり、舞台の場当たりでも(1校30分しかないんすよ)プロが見て安全でない可能性がある場合は時間を押してでも確認させてもらったり。

そして先生ではなく生徒の話を聞く。
先生は時にこちらへの負担を減らそうと(ちゃんと良い意味でね)まとめて学生たちの意見をまとめてくれたりもする、そして時に思い込んで伝えてくることがある。
やはり主役は彼ら彼女らなので、打合せに生徒もいる場合は、僕から積極的に話しかけるようにする。
年の差が。。。とかそんなんは一緒にものを創る瞬間は関係ないと思っているから恥ずかしげもなく色々聞くことにしている。
だって文化が分かんないとその表現のサポートはできないっしょ。

そして3つ目の人生の選択肢に舞台をってやつ。
この発表会に関わった人たちが全然舞台の業界に進まなくて良いから(もちろん進んだら嬉しいが)人生のどこかでふと舞台のことを思い出してくれたり、生きていく中で舞台というものが選択肢に入ってくれれば良いなと。
舞台は色々な人の思いが複雑に交差していて、それにかける思いは様々だと思う。
君は君らしく生きていく自由があるし、大人たちに支配されなくても良い。
なので失敗しても良いと思っている。
1つ目の安全とは真逆なのだが、それもあって失敗については言及しない。危なくない限りは見守るようにしている。
もちろん「こうすると良いよ〜」などアドバイスすることもあるし、困っていたり質問があった場合は全力でサポートする。ただ基本はやってみなというスタンス。
失敗した方がいいことだってあるし、あとはプロが本気出したら大体時間とお金があれば解決できるから。
そんなのこの場には必要ないし

そんなこんなで無観客での上演はいよいよ3日後。
明後日はプロだけで仕込み。
きっちり仕込んでみんなのことを待ってます。

~~~~下記実務的備忘録(ざっくり僕がやったこと)小屋入り前日まで~~~~
大体4ヶ月前にラフなスケジュールがきて、どう?って制作から言われます。
大体1ヶ月前に劇場(成城ホール)に連絡して、ご挨拶と担当者の確認と今年も中学生との打ち合わせがギリギリになってしまう旨をお伝えします。ただ例年の規模感などはある程度伝えます。ごめんなさいっ。
大体2〜3週間前に資料の提出をお願いしています。Cue入り台本、全体道具図、舞台/照明/音響それぞれの計画表(Cueシートみたいなもの)、転換表。
大体1〜2週間前に各中学校と打ち合わせをします。
昔は各学校に行って通し稽古を見たりしていましたが、直前に見ないと変更が多いので最近は通しなど資料映像の提出にしてもらいました。YouTube限定公開万歳。

【打ち合わせで僕がいつも聞くこと】
まずは自己紹介から。先生だったり指導員だったり生徒だったり卒業生だったり色々いるので、僕が誰ぞやってところから話します。
次に全体の図面で大道具など基本セットの確認。学校にあるものが多いので素材や数、自作のものや、色や大きさなんかも聞きます。あとはバック幕がホリなのか大黒なのかなど聞きます
全部に言えることですが結構書き忘れなんかも多いので丁寧に聞きます。
台本や計画表(Cueシート)など大きな変更などないか確認
先に事務的なこと確認。照明、音響オペの学生の名前や初めてかどうかや、出演者は全部で何人いるか。など。中学生は兼任が多いからね。
台本に沿ってオープニング(幕開き)から、まずは転換メインで話を確認。次に衣装と履物、着替えの有無を確認します。余談ですが基本2人で舞台は回しているので、着替えだけは立ち入れない可能性があるので僕は必ず助手に女性に入ってもらいます。
照明と音響の確認。要望とかイメージを確認しつつ、特殊なもの(ピンフォロー、星球やミラーボール、スモークなどの特殊機材の有無)の確認もします
RHの流れと本番までの流れの確認。舞台でみんなが挨拶してからどう動くのかから始まり、RHで正面から誰がみて決めるかなどの決める人も確認しておきます。
消毒のこと(今年度から)。今年は舞台はプロのスタッフが、客席は先生がやります
・マスクのこと(今年度から)。本番もマスク着用だって聞いて、だとしたらマスクも衣装だよって話。
・アナウンスのこと撮影のこと(今年度から)。アナウンスは自校でやるってさ。撮影もさ。
・学校のバックボーン(時間があれば)。都大会に進みたいとか、思い出がメインとか、部活動の状況など。なぜこんなにも立ち入ったことを聞くかというと、それだけ中学生がナイーブだからです。不登校、ジェンダー、体のことなど様々なことを抱えている現状に直面したからです。
情報があるのとないのとでは袖でのケアの仕方など変わってきます。人生に舞台をって思っている僕としては誰でもどんな人でも歓迎だし、全員がなるべく楽しく終われるようにするためには努力を惜しまないつもりです。

5日前 劇場に図面、スケジュール、コンタクトシート、大道具搬出入のトラック表を送り、電話にて打ち合わせ。

2日前 これを今書いている
前日 プロの担当者で打ち合わせ、ハイエースに資材積み込み

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