読書日記〜「FILE 月刊ミュージック・ステディ別冊Vol.5」
雑誌「ミュージック・ステディ」のバックナンバーを探していて、何冊もコンディションがよくて納得できる値段のものは買い直しています。
これは「ミュージック・ステディ」で特集(徹底研究と表現されます)して、反響が大きかったアーティスト、佐野元春さん、浜田省吾さん、杉真理さんに伊藤銀次さんに追加取材をしてまとめたものです。
リアルタイムで購入したものを持っていますが、某大手ネット通販サイトで格安でコンディションがいいものが出品されていたので、迷わずに購入したというわけです。
じゃ、行ってみよー。
・「FILE 月刊ミュージック・ステディ別冊Vol.5」(ステディ出版)
この中で最初に特集されたのが佐野元春さんで、1982年の初夏のことでした。
『ナイアガラ・トライアングルvol.2』とアルバム『SOMEDAY』によって知る人ぞ知る存在だった佐野さんがブレイクした時期でしたから、かなり人気の号でしたね。
佐野さんのデビュー前からの歴史を掘り下げた上に『SOMEDAY』までのアルバムと楽曲に関して自分の言葉で紹介する内容や、これまでアマチュア時代から組んだバンド・メンバーを紹介し、当時のバンド、ハートランドのメンバー変遷も掲載されたのはまさに徹底研究だったというわけです。
後に伊藤銀次さんのインタビューをした際に資料として「ミュージック・ステディ」を持参したところ、銀次さん曰く「80年代の音楽雑誌はステディの影響下にあるものが多いよね」と呟いたのが忘れられません。
杉真理さんは1983年の春に出た号で特集され、それまであまり触れられなかったマリ&レッド・ストライプス時代のエピソードや当時のバンド仲間、竹内まりやさんや安部恭弘さん、平井夏美(川原伸司)さんとの関係について掘り下げています。
佐野元春さんの特集にも言えることなんですが、日本のポップ・シーンの中でどんな流れにあるのかを明らかにする姿勢に感動した私です。
伊藤銀次さんの特集は1983年初夏の号で行われまして、ごまのはえ〜ココナツ・バンク〜ナイアガラ・トライアングルvol.1〜ソロ・デビューの流れを詳細に掘り下げ、ギタリストとしての活動から佐野元春さんとの出会いについて触れています。
ステディの特集は苦労話というよりも、様々な出会いが生み出す音楽の流れを検証していったことに意味があったと思うのです。
最近、再発された村松邦男さんのソロ・アルバムのライナー(取材・文字起こしを私が担当しました)はステディの徹底研究に多大な影響を受けております。
浜田省吾さんが特集されたのは少し後になりまして、1985年の1月号でした。
愛奴時代のエピソードやソロ活動を始めた時期の作品について語るのはかなり珍しかったという記憶があります。
浜田さんは全曲に関するコメントはありませんが、バックバンドのメンバー変遷について触れていたり、レコーディング・メンバーとのエピソードなど、ここでしか知り得ない内容が多かったのでした。
各アーティストが特集された時点以降のインタビューや杉さんと銀次さんについては楽曲解説が追加取材され、ヴァージョン・アップされています。
後にムーンライダーズの徹底研究が単行本化されて『フライト・レコーダー』に進化する参考にこの本はなっているはずです。
40年近く前に発売された本ですが、今でも素晴らしい内容だと思います。
感謝感激。ありがとうございます。
ではまたー。