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新年早々窒息死しても毎年餅を食うのをやめないバカどもへ

 失礼を承知ではじめに一言。

 日本人はバカである。


日本食界の「白い死神」こと餅による窒息事故死者数は年間約3500人。これは交通事故による年間死者数(3600人ぐらい)とほぼ同じ、フィンランドの「白い死神」ことSimo Häyhäが射殺した人数(確認戦果542人)より多い

 これまで伝統の名の下に、毎年のように数多くの人が新年早々あの白い死神によって命を落としてきたというのに餅を食うのやめようとしない。
 アジアの食文化研究で知られる文化人類学者周達生氏によれば、日本人には「ネバネバ嗜好」というのがあるらしい。日本人は炊いた糯米(もちごめ)をついて餅状にして食べるわけだが、その他のアジア諸国を見るとこうした食べ方は珍しい(どちらかというと中華おこわのようにそのまま炊くか、炊く前の米をすりつぶして粉にしたものを使った食べ物の方が多い)。
 日本で一般に主食とされる粳米(うるちまい)とお餅に使う糯米(もちごめ)ではデンプンの性質が違う。粳米に20%ほど含まれているアミロースはグルコースが直鎖状にグリコシド結合したものであまり粘らないのに対し、もち米の100%を占めるアミロペクチンは分子量がアミロースの何倍もあって熱水にも溶けず消化しづらい。これによって糯米はあのようなモチモチ・ネバネバした食感を持ちうる。

 しかし、伝統だから、文化だからという理由で考えなしにとりあえず餅を食って年始めから4んでしまったのでは元も子もない。

 それでも俺は正月に餅が食いたいんだよ!! とおっしゃる方のために、対策を考えました。


★正月特集:餅による窒息事故防止マニュアル

①餅自体に手を加える方法

・細かく切って小さくする&一度に大量に食べない
 まず第一の鉄則としてこれが挙げられる。至極当たり前だが、一度に餅を十個も食べるオロカモノがいると聞いたので一応……。
 大体、餅のGI値はかなり高いので一度に大量に食べると血糖値爆上げで糖尿病対策的にも体に悪いですぞ! 

・ゆっくり噛んで食べること

 ちゃんと噛んで食べることにより唾液が分泌され、餅の消化を助ける。
 唾液にはアミラーゼという消化酵素が入っているが、これは名前の通りで先ほど出てきたアミロペクチンなどのデンプンを分解する。
 ちなみに大根にもアミラーゼ(ジアスターゼとも呼ばれる)が含まれており、大根おろしなどと一緒に食べても消化されやすくなることが期待される。

・汁気のあるものと一緒に食べる+飲み物を飲む

 餅が消化管の内側にへばりつかないようにお雑煮・おしるこなどで食べるとよい。
 単にお茶や飲み物を飲んでもいい。

・代替餅を使う 

 介護の現場では、じゃがいもや大根、上新粉、豆腐などを使った糯米100%ではないお餅)の方が消化しやすいということ「代替餅」なるものが作られているらしい。
 近年高齢者向けの介護施設などで、歯茎で潰して食べられる柔らかいお餅「ソフトもち」というのが導入されているところもあるようだ。これは嚥下機能が低下した方でもお餅が食べたいという方のために開発されたんだとか。
 「食の楽しみ」という言葉通り、食事はただの栄養補給というだけではなく季節感も大事ですものね……。

②人と一緒に食べる

 忘れがちだがこれも結構重要で、いざというときに誰かが一緒にいてくれると本当に窒息して死にそうになったときに助けてもらえてよい。人と一緒に食卓を囲むことで食べるスピードも落ちるのではないかとも思う。
 冗談みたいな話だが、これだけでかなり人命が救えるようで東京消防庁の公式サイトなんかにも書いてある。

★本当に餅を喉に詰まらせた場合

 救急車を呼ぶ間、自分たちでもできる対処法として、患者に反応がある場合は気道に入った異物を除去するやり方もある。
 日本医師会によれば、「背部叩打法(はいぶこうだほう)」という背中側から肩甲骨の間を叩く方法と「腹部突き上げ法」というウェストに手を回して腹部を下から突き上げる方法があるのだが、後者は内臓を痛める危険があって妊婦や乳児には使えず基本的には前者の方が推奨されている。
 ちなみに、反応がない場合は心肺停止の危険があるため、AED(自動体外式除細動器)などで蘇生措置を行う必要も出てくる。

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