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佐々木正悟さん『「ToDoリスト」は捨てていい。』|仕事術だけでない"生き方"の本

最近注目している作家・佐々木正悟(ささきしょうご)さんの、2024年7月31日発売の新刊
『「ToDoリスト」は捨てていい。時間も心も消耗しない仕事術』
を読んだ。

正確に言えば発売したての頃に読んでいたのだが、なかなか思ったことを発せずにいた。

やっと感想を言語化できそうなタイミングが来たので、書いてみる。

※ 少々ネタバレあり

書籍の概要

本書のおおまかな情報はこちら。

著者: 佐々木 正悟
ジャンル: 仕事術
出版年月日: 2024年7月31日(水)
ページ数: 192ページ
形態: 単行本・電子書籍
出版社: 大和出版

内容紹介:
どれだけ効率化しても、決して余裕は生まれない。「逆算思考をやめる」「目標はいらない」「ツールは1つ」など、“すぐやる本”でベストセラーを出した著者が、常識を手放した末に見つけた“ストレスなく働く新習慣”を初公開


佐々木さんのnoteはこちら。


特筆すべきは、なんと1ヶ月以内で書かれた本だということ。

ライター経験はあるものの作家ではないので私はその凄さがイマイチ分からないが、並大抵の所業ではないらしい。

「一切逆算せず、プランも作らずに書けた」
という経験そのものが、まさに本の中で展開される主張に説得力を持たせている。


なぜこの本が注目されているのか?

本書の評判は比較的高いと思う。

Amazonでのレビューの数字も高い(2024年11月5日時点で★4.1)。
読書メーターでの評価も良く、読書会が何度か行なわれているのも見た。

感想を伝える発信(記事、ポスト、音声配信)も多く見かける。


著者が色々な場面で「最短で書き上げた」と言っているせいもあるだろうし、内容の斬新さが関係しているのかもしれない。

注目されている理由について、私が考えるのは下記の3点だ。

小手先のテクニックではない本質論だから

仕事術・ライフハックの本にありがちなのが、単なる「情報の寄せ集め記事」になってしまうこと。

WEBの無料まとめ記事を見ているのと変わらないし、「数打ちゃ当たる」的なテクニック論であまり好きじゃない。著者の主張よりも知識・情報自体に重きが置かれているような気もする。

でもこの本はしっかりとした著者の主張に基づいて書かれていて、本質やマインドの問題にもしっかり言及している。

とは言え、心理学的な話を扱いながらも具体例も挙げてくれているので分かりやすく、現実に落とし込みやすいのも嬉しい。


TODOリストは身近な存在だから

中身ももちろん、タイトルがすごく良いと思う。

TODOリストは、何もデジタルでなくても付箋や裏紙にでも書ける。誰にでも経験がある身近な話題だ。

学生でも使っているし、最近では小学生低学年の子だって書いたことがあるかもしれない。

一気に「自分ごと」に感じられる、素晴らしいタイトルだと思った。


みんな仕事術で悩んでいるから

フリーランスや自営業はもちろん、会社員でも先行きが不透明な時代。

誰もが知る大企業であっても倒産したり業績が悪化したりしているし、リストラだって他人事じゃない。

上司や所属長には常に成長や数字を求められ、現状維持は悪とされる。そんな時代には特に「仕事術」というものが求められるのだろう。

そんな悩みを抱えた方々にも読まれている書籍なのだと思う。


極論ではなく、至極真っ当な意見である

もしかしたら一部の人達には、この本の主張が極端な言い分に聞こえるかもしれない。

でも全然そんなことはなくて。

別に、今TODOリストで上手く行っている人にまで「捨てろ」とは言ってない。

あくまで「捨てていい。」であって、「捨てろ」「捨てなさい」では断じてないから。

実はすごく優しい意見なのだ。



「もしも上手く行かないならその方法を推し進めるのではなく、まったく逆方向から考えてみては? そんな風にやっても実は死なないし、意外と気持ちが楽になって良い影響があるかもしれないよ」

と言ってくれる、ヒントに溢れた本なのだ。


私が特に好きな箇所3つ

基本的にどの部分も素晴らしく思えてしまい、「好き」か「超好き」しかない

正直、選ぶのも大変だ。

「全部洗い出してランキングをつけることに、果たして意味があるのか? それって佐々木さんが最も嫌う種類のことだよな……」
とも思えてくる。

だから今まで感想を書けなかったのかもしれない。

でも、不足していたら後から補足すればいいか。目についた「超良い」の箇所をとりあえず挙げてみよう。

① 「今日は何もできなかった」問題

つい先ほどには「個別の面談」を達成したのです。
いま現在はプロジェクト資料を作成しています。
終わったらお茶をいれます。
ここに大げさにいえば、「人生の達成」をみましょう。
そうでないと、一寸先にはなにがおきるかわかりません。10年後の大成功に人生の価値をかけていたとしても、それができる保証はまったくありません。
うまくいかなくなる条件はいくらでも思いつくでしょう。結局途中でイヤになってしまうリスクが高すぎるのです。
ここまで極端ではなくとも、プロジェクトXに重きを置きすぎると「今日1日はなにもしていない」としか思えなくなるものです。

いや、最高か……? 本当にその通りすぎる。

「今日は何もしていない」
という言葉、私も言ったことがある。
でもその言い分は完全に間違っているのだ。

トイレは行ったし食事もしたし、何なら子どもの世話や掃除洗濯まで済んでいる。それなのに「何もできなかった」?

……否、そんなはずはない。

「家事育児・生命維持タスクを軽視し、生産性のあるタスク(仕事など)に重きを置きすぎている」
だけだ。


② 長期計画に期待しがちな私たち

憶測させてもらうなら、あなたはすでに「長期計画」や「逆算のガントチャート」のような、綿密な計画を立てた経験があると思うのです。
そういうものが完璧に機能していたら、こんな本を読んでいないと思うのです。
むしろ、綿密に計画した時間がまるまるムダになったのではありませんか?
「早めに手をつけよう」と毎日思うだけで、もう百日も過ぎてしまったというのなら、今日のリストだけを手にして、せめていまからでもタスクに着手してみたほうが賢明ではないでしょうか。

私は完全に失敗してきた人間だ。

特にフリーランスになってからは「1日の理想の時間割」を何度も何度も作り直し、挫折し続けてきた。

だから分かる。

計画は作った瞬間に満足するだけで、その通りに動ける人なんてほとんどいない……と。

周囲の話を聞いてみても、レシピや出発予定時刻などの「直近の計画」以外で逆算思考を上手く使えている人はそう多くないようだ。


③ 理不尽なことに出会ったら?

理不尽な目にあうとは、生きているなによりの証拠なのです。
生きているのが「いいことだ」と思うなら、理不尽な目にあうのもどこかしら「いいことだ」と思っておくしかありません。
もしもそうでないなら「死んだほうがマシ」になってしまいます。
死んでしまったら、理不尽に上司からパワハラされることはなくなります。
我が子にも夜泣きはされなくなります。家が流されることもなくなります。
しかし「死んだほうがマシ」だと思って生きていくのは、本当に消耗します。

うーむ、確かに……言われてみればその通りかもしれない。

私は死ぬのが嫌過ぎるせいか、この世界のほぼ全てが好きだ。でもやっぱり理不尽な事態は嫌だし、なるべく避けたいに決まっている。

それでも、上記のように考えることはできる。気持ちが死んだまま生きていくのも可能だが、それってやっぱり辛すぎるから。

ちなみに解決策の記述もあるのだけれど、私にはこの「発想の転換」部分が響いた。


本書をおすすめする人、しない人

本書は色々な場合や人に有効だが、私としてはこんな方に強くオススメしていきたい。

  • 毎日todoを書き出しているのに上手くいってない

  • プロジェクトが終るまでは達成感を味わえない

  • 常に逆算思考で行動している

  • 「いつかやりたいことリスト」を作りがち

  • 忙しく、時間に追われている気がする

  • 重要な仕事はゆっくり落ち着いてから取り掛かりたい

  • 人の迷惑や失礼になったらいけないので、十分注意している

  • 人間関係でひどく疲れてしまう瞬間がある

  • todoリストが膨大になりがち

  • 未来のために今を犠牲にしている気がする


逆に言えば、上記以外の人
(毎日楽しく暮らせている、ほっとひと息つく時間が十分にある、睡眠時間がたっぷり取れている、やりたいことをすぐやる、目の前のことだけ考えている……など)
は、敢えて読む必要がないと思う。

もちろん読んでも問題ないけれど。

試し読みでは『はじめに』と『序章』を読むことができる。

この部分を読んで気になったら、読んだほうがいい。

佐々木さん自身も、抜粋をnoteマガジンで紹介している。


心が楽になる
こと間違いなしの1冊。ぜひどうぞ!

ちなみに、佐々木さんは「書く」だけでなく「喋る」もすごくお上手で。

天は彼に何物を与えたもうたのか……と思わされる。

私にとってはブッダの説法のように聞こえて、毎回とてもありがたい。


佐々木さん主催の『タスクシュート手帳術の会』もオススメ!

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