「私は、私。」の難しさと素晴らしさ
劇団四季の「夢から醒めた夢』というミュージカルをご存知の方はいるだろうか?
昔四季でやっていた人気タイトルであり、調べてみたところ2023年10月から再演されるらしい。
なんというグッドタイミング!
実は、私が人生で1度だけ出たことのあるミュージカル演目である。
(大学のミュージカルサークルの1年生公演だった)
いまだに全ての曲が耳に残っていて、何気ない時によく蘇ってくる。
特にその中の1曲が、とんでもなく大好きだ。
劇中歌『誰でもないあたし』
あくまで「引用」の形で、私が最も好きな箇所を掲載させていただく。
主人公・ピコが、霊界空港で出会った人々(ヤクザ、暴走族、部長など)に「アンタは何者?」と問われ、自己紹介する歌。
一体これの何がいいのか?と感じるかもしれない。
でも私にとっては
「ほんものの自己肯定感というのは、こういうものだ」
と表してくれる歌詞で、本当に良いメッセージだと長年思っている。
本物の「自己肯定感」とは?
最近は、どのような分野の人と話していても「自己肯定感」という言葉を聞くようになってきた。心理学ブームも相まって、2018年頃から傾向が顕著になってきたように思われる。
猫も杓子も二言目には「自己肯定感」で、言葉の意味もたいして知らずに「言えばいい」と軽く考えている人も多い。
さらに、自己有能感・自己効力感などとも混同されがちだ。
でも違う。
自己肯定感というのは、人権や自尊心と似たような考え方。
「こんなダメダメな自分でも、まぁいいか」
と思えるような気持ちのことである。
「まいっか」と思えるチカラ。
ありのまま・そのままの自分の性質を見つめ、暖かい目で受け入れる姿勢。他人と比較することなく、ただ素の自分の在り方を認めることなのだ。
肯定も否定もせず(ジャッジせず)、まずは認める。受け止める。
ということが必要になる。
自己効力感や自己有能感は、自分の行動によって上がったり下がったり、変容する。
でも、自己肯定感は違う。行動ではなく「あり方の問題」なのだ。
上記の歌詞の中でも、ピコは
「私はすぐ人を信じてしまうし、他人はそんな私のことを"子どもじみてるおバカさん"と言う」
と、現状を把握し、理解している。
その上で
「まぁ確かにそうだけど、いっか」
と受け入れているのである。
ネガティブからのポジティブ。他人の目線から自分そのものへ。
ここが重要だと思うのだ。
この考え方を経ずして、自己肯定感を高めることはできないと思う。
まぁ、無理に高くする必要もないけれど。
「すごい人」に囲まれる経験が多い
私は、昔から物事の本質を見たがる傾向にあった。
(最近巷でよく目にする陰謀論などの話ではなく)
何かの事象を見ればその理由をを考えるし、どういう背景で起こっているかについて思いを馳せてしまう。
「なぜ?どうして?」
「つまり?ということは?」
「他の例は?」
「言い換えるとどういうこと?」
「他の分野でも応用できるか?」
などと勝手に自問自答するから、自然と理解が早くなったのだと思う。
100%ではないが、人を見る目もあると自負している。
対人関係(コミュニケーション)能力もまあまあ高く、楽しい人の集まりを選んで参加することができる。
だからこそ起こるのが
「気が付くと周囲にすごい人ばかり揃っている」
問題だ。
よく「尊敬する人と働けるのは喜びでしかない」なんて言われるけれど、周りが尊敬できる人ばかりになっていく。
大学生の頃もそうだったし、フリーランスになった今もそう。
よくまぁこれだけすごい人達と知り合えたもんだ、と驚く。
ありがたい話だし強みでもあるが、ふと気を抜くと自信を失ってしまう原因にもなるのだ。
比較してしまう私たち
なぜって、どうしても他人と自分を比べてしまうから。
人間はつい比較したくなる生き物。
異なる書き手の文章があればその良し悪しを比べてしまうし、数字があればどちらが大きいか比較してしまう。
それは自然なことだ。
でも、自分と全く同じ状況で生きている人はいない。
何を目標に、何を考え、何を重視して毎日生きているかは人それぞれだし、実は色々な事情を抱えているものだ。
優雅に見えて夜は1人でもがいているかもしれないし、過去にとんでもない苦労をした人かもしれない。
こうやって考えるのが「他者への想像力を持つ」ということだ。
確かに中にはとんでもなく運が良い人もいるだろうし、「自分だけが損をしている……」と思ってしまう瞬間もあるだろう。
でも、色々あるのはあなただけじゃない。
全く同じ確率ではなくとも、皆何かしら抱えて生きているのだ。
つい他人を僻(ひが)んでしまうけど
辛くなると、つい周囲の人を妬んでしまいがちだ。
「あの人はいいなぁ」
「1人だけずるい」
「なんで上手くいくんだろう」
「どうして私は○○ができないんだろう」
……というように。
特に心が弱いからでもない。
そう思ってしまうのは人間なら自然だ。
まったく他人に嫉妬の感情を持ったことがない人間など、ほぼいない。
でも嫉妬ばかりに囚われてしまうと、自分本来の力を出すこともできなくなる。良い縁を逃してしまうかもしれない。
だからこの『誰でもないあたし』の歌詞を、常に心の中に留めておきたいと思う。
私は他の誰でもない、私そのもの。
他の誰でもない私。
この「私」を、精一杯楽しく生きていこう。
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