「迎え火のようね」とポツリ西陽射すサルスベリの赤ひざに零るる
【はなのうた】
最近ではSNSで訃報を知ることも少なくない。
独り言のようなその投稿は、フォトスタンドの画像と、写真の中の人になってしまった夫に語りかける言葉だった。
結婚式はゴールではなくスタートだし、プランナーだって結婚式までの短いおつきあいにしたくないと思ってきた。レストランやホテルなど日常でも訪れることが出来る場所で、結婚式が終わっても「また来てくださいね」と言える仕事をしてきたつもり。
なかなか会う機会がなくても卒花さんのSNSをフォローさせていただき、「子どもが生まれました!」「結婚記念日で食事にきました!」「家を建設中!」なんていう投稿を見るのが私の日常の楽しみだ。ハッピーなことだけではなく、病気になった、交通事故にあった、被災した、離婚した、親御さんの逝去、、、時にはそんな投稿も目にする。人生山あり谷ありだ。
だけど私はその画像に写るフォトスタンドの中の人が卒花さんであることがにわかに信じられず、何度も何度も見返した末に不躾なメッセージを送ってしまった。
「え?どういうことですか?言葉が出ません。」
本当に失礼。ごめんなさい。
でも彼女は丁寧に返信をくれた。
*
真っ赤なサルスベリが咲いている。
あまりにも酷な西日に照らされ尚のこと赤々と、
庭の垣根から天に向かって炎のように咲いている。
迎え火のようだな。
ここだよ、帰って来て、会いたい、、
そう言ってタバコに火をつけた彼女を想う。
瞳に映ったサルスベリの赤が
しゃがみこんだ膝に零れ落ちた。