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絵本風エッセイ「MY DAVIS'S STORY」を読んで〜頑張りすぎてしまう、全ての人に捧ぐ〜
絵本作家Nabechaaanの新作「MY DAVIS'S STORY」を読みました。
もうほんと素晴らしい作品だったので、レビューを書きたいと思います。
本作は、不器用すぎるほど頑張り屋な著者・Nabechaaanの自伝的物語です。
“絵本”と呼ぶには文章が多めですが、可愛らしくポップなイラストと読者に語りかけるような文体は非常に“絵本的”。
強いてジャンル分けするならば【絵本風エッセイ】でしょうか。
子供にも読みやすい柔らかな文章の中に、人生の道しるべとなるようなキラっと光る言葉が金糸のように織り込まれています。
さらっと読めば40分、じっくり読めば1時間強で読み終わることができるのに、その余韻や影響はおそらく生涯持続するであろう名作です。
読んだ後、ふんわりと幸福感に包まれ、「人生楽しも〜」と思いました。
「人生楽しまなきゃ!!!!」ではなく、「人生楽しも〜」って感じです。
努力の人、Nabechaaan
物語は著者・Nabechaaanの自己紹介から始まります。
Nabechaaanの一番古い確かな記憶は、6歳の頃。
小学校のお受験に失敗し、「お母さんを喜ばせられなかった」と思った記憶です。
Nabechaaanは自らを出来の良い姉と比較し、「私は失敗作なんだ」と自分に自分でレッテルを貼りました。
どうしたら人に喜んでもらえるのか?褒めてもらえるのか?と考えたNabechaaanは、【努力すること】を習得します。
意志が強く、自分に厳しく、何かに熱中する集中力の強いNabechaaanは【努力】と相性がよかったのです。
しかしストイックに自分を追い込んだにも関わらず、中学受験に失敗…
このような経緯で、Nabechaaanは【努力】について2つの思いを強めていきます。
それは『 辛くなければ努力じゃない 』
『 結果を出さなきゃ意味がない 』というものでした。
遂に【努力】が報われる!…が、しかし
そんなストイックなNabechaaanの努力が、大学受験で遂に報われます。
学費を稼ぐためバイトに励みつつ、ギリギリの睡眠時間で命を削るように勉強した努力が、やっと報われたのです。
万歳!
よかったね!
これからも今までみたいに【努力】し続ければいいんだ!
そうすれば、より良い未来を拓いていけるんだ!!!
………………と、ならないのがこの世の中。
自分が必死で努力してようやく手に入れられたものを、軽々手にする人がいる。
自分が死に物狂いで努力しても手に入れられないものを、ハナから持って生まれた人がいる––––
そんな不平等な真実を目前に突きつけられた時、Nabechaanは世界に絶望します。
だけど、それでも…!!!
幼い頃からの相棒である【努力】を手放すことはできません。
ままならないからこそ、尚更に死に物狂いの努力を重ねて行くのです。
だってそれが彼女の信じていた武器であり、拠り所だったから。
そして遂に、いくら努力しても努力しても結果が出ない時、今度は世界にではなく、Nabechaaanは自分に絶望してしまうのでした………
さぁ冒険だ!何もしないをしに、DAVISへ!
さて、ここからが遂に本編です!!
ここまでは正直、読んでいて胸がキュウゥっと締め付けられるようでした。
Nabechaaanほど私は自分にストイックじゃないけれど、でも、読んでいて身に覚えのある苦しみが沢山あったからです。
自分で自分を縛っていたり、誰かと比べて自分にないものばかりを数えたり、幸せを他人との比較で推し量ろうとしたり……
わかる、わかるよぉ…と思いながら、ページをめくっていました。
しかし後半。カリフォルニアのDAVISというド田舎での日々を綴ったページに突入すると、この胸をキュウゥっと締め付けていた何かが優しく解けてゆきました。
大自然に囲まれた、これといった観光名所の無いDAVISという土地で、Nabechaaanは確かに、ゆっくりと、自分を縛っていた自分の価値観から解放されていくのです。
何が決定打だったのでしょうか。
DAVISの爽やかな朝日?
ゆったり流れる時間?
自由奔放で個性的な人々との触れ合い?
うーん…
要約してみようと思ったのですが、この冒険譚パートについてはうまく要約できる気がしません。
一つ言えるのは、読み進める内に一緒にDAVISに行ったかのような気分になるよ!ということでしょうか。
鳥の囀りで目を覚まし、リス達と気まぐれに散歩し、DAVISの学生達と星を眺めている内に、少しずつ前向きに、やりたいようにやっていいんじゃん!って思えてくる……そんな特別な読書体験は、要約できるわけがないのです。
これはもう、読んで頂くしかない。
届け!愛すべきぶきっちょさん達へ
コロナによる自粛期間や今尚続くいつもと違う日々の中で、「幸せとは?」「人生って…?」などと考えた方も多いのではないでしょうか。
私も仕事が止まって時間を持て余したせいか、普段考えないで済んでいたことや見過ごしていたことに思いを馳せていました。
そんな時に出会ったこの本、『MY DAVIS'S STORY』
私にとって、特別な一冊となりました。
きっとこの先、時折読み返すことになる人生のお供になると思います。
最後にお気に入りのフレーズを、少しだけ引用します。
もし、会社からあなたがいなくなっても、仕事なんて、全然回る。
もし、世界からあなたがいなくなっても、地球だって回り続けるんだ。
じゃあさ、もう自分のやりたいようにやらないかい?
この本は自費出版なので、本屋ではなくサイトから購入となります。
ポチって数日後、帰宅してポストを覗くと、白と水色のリボンで可愛くラッピングされたこの本が投函されていました。
なんでしょうね、すごくワクワクしました。
自費出版ならではの暖かさも加わって、サンタさんからプレゼント届いた!みたいな幸福感を味わえます。
一人でも多くのThe Bumbling Buddies(不器用な仲間達)に、この素敵な本が届きますように!
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