なぜ手戻りが発生するのか?
「手戻り」と言う表現を使う業界と使わない業界があるかも知れませんので、簡単に説明しますとスゴロクでいうところの
アレです。アレと同じ。
あわよくば「3マスもどる」くらいで収まれば御の字みたいな。どれだけ努力して積上げてこようとも、それらが無かったことにされるあの徒労感、脱力感…嫌ですよね。投げ出してしまいたくなりますよね。できることなら人生で一度もお目にかかりたくないですよね。
でも、起きちゃうんです。
しかも仕事で。徹夜とかしてても関係ありません。プライベートを壊して頑張っても関係ありません。起きる時は、無慈悲に起きます。
なぜ起きてしまうのでしょう?
起こすスイッチを踏んだから
答えは簡単です。
正しくないことをしたから
です。至極真っ当な話で、正しくあるべきプロセスや成果に対して、正しくない進め方や結果を持ってくればそれは「やってない」のと同義です。だからもう一度1からやり直さなければならなくなるのです。
そもそも「失敗」というのは
不足
誤り
の2種類しかありません。
不足した場合というのは、足りていないところを追加するだけなので「100%に足りていない量」次第でさほど大変ではないかもしれません。しかし、誤りというのは100%実施したうえでもう一度やり直しを求められるため相当苦痛を伴いますし、時間的制約もあるでしょうから精神的にも削られることになります。
ここで問題なのは"手戻り"しなければならない人自身が、何を以って「正しい」と言うべきなのか?がわかっていないことです。ゴールが明確になってさえいれば、自分自身で誤り始めたらセルフチェックでたいていのことは気付けるはずです。そうなっていなかったということはゴールイメージがしっかりできていなかった可能性が高いということでもあります。
手戻りは、あらかじめ定めたスケジュールを破綻させる最大の要因です。
とりあえず100%まで進めるまでのスケジュールしかありません。多少のバッファを積んでいたとしても余裕はありません。そして手戻りというのはそのバッファの予測をも簡単に裏切ってきます。
スケジュールの遵守はタイムマネジメントの根幹であり、タイムマネジメントこそがミッションクリティカルでなければなりません。「品質」も「金」もすべては与えられた「時間」制約内に達成してこそです。
「時間を与えたら、与えた分だけ良いモノが作れる」
そんなことは当然です。そうでなければ金も時間も支払う価値もありません。品質基準を満たすための必要最低限あたえられた時間の中で、達成するからこそ利益が最大値となるはずです。だからこそ「工数(時間)」を適切にコントロールすることが最も重要で、しかも最も大変となるのです。
これを破綻させると、すなわち手戻りを頻繁に発生させると作成者は元より関係者も同様に検討や調査の時間が奪われ、正しい判断ができなくなるあるいは正しい判断をするだけの時間もなくなる…ばかりでなく、それによって焦りや迷いなどを整理する時間も得られず進むことを余儀なくされるため、結果的に品質の低下も比例します。
まさに地獄絵図一直線だと言うのに『手戻りが発生する要因』そのものを一向に改善しようとしない人も珍しくありません。
そもそも手戻りが発生する原因は大きく4つです。
①いきなり100点をとろうとする(プライドが高い)
②状況の変化に対応できていない(対応しようとしない)
③仕事のやり方や品質の基準がバラバラ(自分のやり方以外に排他的)
④レスポンスや判断が遅い(時間があったらあった分だけ使おうとする)
いきなり100点を取ろうとする
「期限ぎりぎりまで使って練りに練った提案書を提出して上司からダメ出しを受けた」
手戻りの多い現場を観察しているとこの手のパターンに陥っている人が非常に多いことに気が付きます。これでは学生の試験や受験と同じです。社会人の特性を全く理解していません。
仕事を受けたタイミングで成果物のイメージ合わせをしないばかりか、完成イメージまでの進捗状況を計画することもなく、そのまま自分のやり方とペースで突っ走ってそして期限ぎりぎりに提出。
「うん、いい出来だ。100点満点だ!」
「これだけやったんだから、大丈夫だろう」
と思っているのは自分だけ…と言うことは珍しくありません。社会人と学生とで違う、ある「相違点」に気付いていないのです。
学生時代、試験では基本的に「唯一解」があり、学生によって答えが異なっても同じ点数がもらえるようにはなっていません。だから試験が終わった後に自己採点が可能です。
しかし、社会人になると「答え」は指示や依頼をしてきた相手が持っているもので、自己採点ができません。「これで完璧」「これだけやったんだから大丈夫」と思っていたとしてもそれが本当にそうである可能性は決して高くないのです。だからダメ出しされます。
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