『頼るべきとき』を間違えない
仕事をするうえで人に頼るとなると、もっとも身近で頼りになるのは先輩、または上司です。できれば上司の方が良いでしょう。なぜなら、上司は「権限」と「経験」と「人脈」を持っているからです。
もちろん、上司でない先輩や同僚、他部門の人などもそれぞれに「権限」と「経験」と「人脈」を持っているかもしれません。けれども「誰かが助けてくれる」という前提をつくるには、日ごろの関係性の積み重ねが重要です。
その点、上司は部下を支援することも仕事のうちですし、普段から一定の関係性はできている身近な存在です。
ではどういうときに上司を頼ればいいのでしょう。
上司にも当然のことながら仕事があります。だから、なんでもかんでも好きに頼ればいいというわけではありません。自分で解決できるものはできるだけ解決した方が良いに決まっています。上司の方がコストがかかりますし、上司の時間を奪うことにもなります。そうまでして価値が創出できるかどうかしっかりと意識しておかなくてはなりません。
まず、
「社内のルールを変えたい」
「顧客に提示する金額を変えたい」
などといったことは、権限がなければできません。自分がやるべきことを考えたら、次はそれを実行するために上司に動いてもらうことになります。
権限には責任が伴いますので、最終的な責任は決裁者である上司にかかってきます。ですので、取り返しのつかない失敗がないよう、詳細をしっかり詰めていく必要があります。
次に、
「自分自身の経験値では予測が不能なこと」
「判断に迷うときに、判断やアドバイスをあおぐこと」
です。
今直面している問題に、過去どのような経緯があったのか?
今からやろうとしている企画にはどのようなリスクが想定されるのか?
理屈のうえでは自分でも想定できることはあります。しかし、仕事には思いもよらない落とし穴や、想定外の出来事が起きるものです。そこで頭がいい人は、先回りして上司が持つ過去の経験値を活かそうとすると、間違うリスクを減らすことができます。
最後は、
「人脈の力を借りること」
です。上司は基本的に、部下に比べて幅広い情報や人脈を持っているものです。たとえば、役員や営業活動にご執心の上司というのは、誰もが知っている大企業から中小企業、ベンチャーまで、社外にもさまざまな人脈があって、それを惜しむことなく提供してくれることがあります。
実際、そのおかげで私も仕事が成功したことがありました。
(私自身にはたいして人脈はないんですけど)
当然ですが、上司に人を紹介してもらう以上、
「こいつを紹介したのは失敗だった」
と思われないよう、礼儀正しく振る舞うのが最低限の礼儀です。
上司の顔を潰さない配慮を徹底するべきでしょう。
「権限」と「経験」と「人脈」は、一朝一夕に得られるものではありません。上司に頼るべき場面と、そうでない場面を見極め、上手に活用していくことを考えましょう。
マズいのは
①なんでもかんでも自分で何とかしようとし、
他人を頼らないだけでなく、時間だけを無駄に消費してしまう
②なんでもかんでも他人に頼ろうとし、
自分で果たすべき責任を疎かにするだけでなく、
成長努力すらしようとしない
ことです。そうしないためには多くの優れた人たちが身につけている、「頼り方」を学ぶ必要があるのです。