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優秀な管理者が持つ基本原則

組織のパフォーマンスを最大値化させるマネジメントにおいて最も大切なのは、事実に基づく結果重視の姿勢です。

プロジェクトマネジメントでも、部門運営でも、経営でもまず『目標(ゴール)』を先に決めて、その目標(ゴール)に確実に到達するために

 「どうすればいいか」
 「不足しているものは何か」
 「無駄・冗長なものはないか」
 「最適な環境となっているか」

などを整理し、手順を決め、スケジュールに組込んでいきます。それこそが計画であり、だからこそ計画の実現可能性が高まるのです。計画を軽視する者に計画実現性などついてくるわけがありません。そもそもその実現したい計画があって無いようなものなのですから当然です。

 結果から先に考え、
 結果に至るまでのプロセスを構築し、
 結果に到達するためにあらゆるプロセスをコントロールする。

この考え方ができる人を一般にはマネージャーと言います。

成功するマネージャーは常に結果を出しているものです。逆に頻繁に失敗ばかりしているマネージャーは周囲から冷ややかな目で見られていることでしょう。

会社で最も部下に好かれる管理職になることはできても、好成績を残さなければ結局は部門全体で苦境に陥るのは必然です。だからといって好成績でも常に部下が離れていくようでは会社を潰しかねません。どちらが欠けていてもいけないのです。

  • 成果を残す

  • 部下の満足度を高い状態で維持する

これは必ず両立できている必要があります。前者を疎かにすれば即座に無能のレッテルを貼られます。後者を疎かにすれば中長期的に見ると企業に損失を出し続けることになっているはずです。

結果を念頭に置きながら、最も部下にとって働きやすい環境を構築することがマネージャーの責務です。それができないのであればマネジメントに手を出すべきではありません。


こうした責務を果たし、成功を収めるためには、常に押さえておくべき基本原則があります。

責任を重視する

私の場合、これまで新人教育を担当する際には必ず説明してきましたが、自らの役割に対して責任意識の持てない人間はビジネスマンとして最低です。

そして、責任とは「取る」ものではなく「負う」ものだと言うことを忘れてはいけません。「絶対に失敗させない」と言う姿勢を持つことが肝要です。失敗してしまってから「責任取ればいいんでしょ」みたいな姿勢でいることは、失敗によって迷惑をかけた多くの人たちに対するただの無責任と言わざるをえません。

責任は「取る」ものだと思っている人の大半は、実は超絶無責任なのです。

責任を取らなくてはならない事態とは、そもそも何かしらが失敗したことを意味します。取るような状況まで放置し、手をこまねいていたマネージャーはマネージャー失格です。

責任とは、失敗して周囲やお客さまに迷惑をかけず、必ず成功させるようにその役割を始めたその瞬間から常にその身に負わなければなりません。

役割の開始と同時に責任を負えないビジネスパーソンは社会不適合者と言っても過言ではないのです。

必要な成果に対して部下に責任を負わせることは、マネージャーとしてあえて努力するようなものではないと思うかもしれません。しかしそれは誤りです。

責任はそう簡単なものではありません。

特に、未経験や経験が浅い部下に任せる時には厳密なマネジメントが必要となることもありますし、優秀な部下を相手にするときは衝突を生むこともあります。

多くの管理職が責任を負わせる(責任意識を気付かせる)能力が驚くほど低いことがデータからは示されており、ハーバード・ビジネス・レビュー誌に掲載された調査結果では、上級管理職でさえも46%がこの点に弱いことが分かっています。

一人ひとりが責任を重視すること、一人ひとりに責任を重視させることで現職でより大きな力を発揮できるようになるでしょう。

そのためにはまずマネージャーが一人ひとりにそれぞれの役割を与え、責任分界点を明確にすることです。

よくやりがちなのが1つのタスクに対し、複数人を割り当て

 「きみたちでその作業をしなさい」

と指示することですが、これは一番のNGです。このざっくりとした「みんなで」という指示の出し方は最も責任意識を希薄にさせる方法となります。最悪です。同じ指示をするにしても

 「A君が取りまとめなさい。
  B君はA君のサポートに回って、〇〇と□□の作業をするように。
  C君は…
  これらは君たち一人ひとりに与えた役割であって、
  勝手に変えていいものではないから。
  まずは自分の役割を完遂しなさい」

と言ったように、個々人が「役割」と「責任」そしてそれらを達成するために必要な「権限」を与えられたことを自覚させるところから始めなければなりません。そうしなければ「誰かがやってくれるはず」という甘えたシーンが必ず現れます。


公の場での自信を向上させる

プレゼンテーションやスピーチを行ったり、会議を仕切ったりなど、公の場で良い"パフォーマンス"を示すことはマネジメントの中でも特にストレスの多いものとなり得ます。

正直私も好きではありません。

けれどもこれは、非常に貴重な機会でもあります。

こうした公の側面に対して自信を持ってこなすことは、キャリアの成功にとって非常に重要な要素となり得るからです。逆にこうした場で自信を喪失させるようなことは絶対にNGです。失敗すらもさせるべきではありません。そうならない最大限の配慮が必要になります。

組織内で昇進すればするほど、自分のアイデアを"売り込む"機会も増えてくるでしょう。

話し上手な人は一目置かれるものですが、生まれながらにして話し上手な人はおらず、原則として努力して上手になっていくものです。だからこそそういった機会の場を構築することは、組織醸成におけるマネージャーの責務となるわけです。

部下の一人ひとりはこれを重点的な目標とすることで、自分の影響力を広げられ、さらに自らのキャリアも向上できるようになります。マネージャー自身にとっても大きなキャリア向上となることでしょう。


準備を重視する

これは一つ前の基本原則と直接関係します。

スピーチやプレゼンテーションで自信を付ける素晴らしい方法はたくさんあるためここでは詳しく述べませんが、それらの成否は全て『準備』『練習』に関係するとだけ言っておきます。

私自身も、通勤や帰宅時、あるいは自宅で静かにプレゼンの練習をした経験は数えきれないほどあります。逆にそうした準備の行き届かなかったプレゼンなどは未だに失敗する方が多いと思います。過去に行った研修講師やスピーチもたとえば「〇分以内」といった条件が付けられている場合は、ストップウォッチを片手に何十回と練習しました。当然、今でもしています。

これらは暗記のためではなく、内容についての不安を消すための練習です。失敗しないための練習です。むしろ暗記は応用力をなくすのであまり行いません。

練習を積まずともできる人もいるかもしれませんが、たとえば私はそういうタイプではありません。私の場合、パフォーマンスの良し悪しは内容をどれだけしっかりと理解しているか、どれだけ段取りを把握しているかにかかっていました。

その根幹となるのも、やはり入念な準備なのです。


つながりを保つ

これは間違いなく、現代で大切なマネジメントスキルです。

野心が強く、出世意欲の高いマネージャーは上司や権威のある人間とばかりつるみます。自己顕示欲が強く、自己陶酔がしたいマネージャーは自分のお気に入りの人間ばかり集めようとします。

しかし、そうではありません。

良好なコミュニケーションとは、言ってみれば産業革命の時代からマネジメントの重要な要素となっているものですが、遠隔勤務がますます一般的になり、直接顔の見える位置にいないことも多くなり、管理職が従業員だけではなく請負業者やフリーランサーのチームを抱えるようになった今、さまざまなチームメンバーとの緊密なつながりを保つことは以前にも増して重要になっています。

自らにとって都合のいい人間だけとしかつながろうとしないコミュニケーションは決してまともなコミュニケーションは実につきません。

たとえば、客先常駐などの遠隔勤務者は孤独を感じ、自分が社会から切り離されているように感じがちです。一般的に帰属意識が希薄になりがちとも言われています。実際、愛社精神のようなものは芽生えてこないことでしょう。

チームメンバーや利害関係者とのつながり維持が非常に重要なスキルとなっていることはデータからも示されており、私自身も100%同意できます。

優秀な管理職は時代を先取りし、強壮かつ独創的なコミュニケーターとなる必要があるのです。


最後に 

マネジメントは、多角的な一連の個人スキル開発と終わりのない鍛錬が必要とされる仕事です。テンプレートとノウハウだけあればできるようなものではありません。部下に丸投げするだけでエラそうに指示するだけのお気楽な仕事でもありません。

ここに挙げた4つの基本原則はあくまで必要最低限ではありますが、これからマネージャーを目指す人にとってはとても重要な出発点となることでしょう。

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Takashi Suda / かんた
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