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売れるメニューブックを創るためには、そもそも、売れる商品が必要です。

宇宙一外食産業が好きな須田です。
 
さて、前回の続きでメニューブックについてです。
 
メニューブックの現状があまりにも悲惨な状況で、それによって売り上げが上がらないということお伝えしました。
 
メニューブックの重要性を認識できていないので、軽んじてしまっていること、メニューブックを専門にデザインしているグラフィックデザインの事務所でさえ、正しい知識があってメニューブックの構成を行っているわけではなく、デザイン的にきれいなものを作成しているという事実をお伝えしました。
 
そこで今回は、売れるメニューブックを作るために、まずお店サイドとして何を行う必要があるのかを、解説します。
 
そうは言ってもグラフィックデザイン事務所は、デザイン事務所です。
それ以上でも、それ以下でもありません。
 
その点を踏まえて、どのような構成がいいのかを指示するのは、当然お店サイドとなります。
 
その意図を汲んで素敵なデザインを上げてくれるのが、グラフィックデザイン事務所の役割です。
 
ですから、お店として何を売って、何で儲けるかを決める必要があります。
 
さて、今サラッとお伝えしましたが、飲食店で大事なことは、売る商品と売らない商品、売れるとラッキーな商品と、売れなくてもいい商品をそれぞれ設けることなんです。
 
 
こんな特殊なことを言っているのは、業界でも私だけですが、考えてもみてください。
 
そもそも、全ての商品が満遍なく売れることなんて絶対に有り得ませんよね。
あなたのお店でも実際に売れている商品と、売れていない商品が絶対にあるはずです。
 
 
だからABC分析という考え方があって、死筋商品を削除しましょうという実しやかな嘘が蔓延しています。
 
因みに、Cランクの商品をカットしたところで、新たなCランクが発生するだけで、死筋と言われるCランクの商品がメニューから消滅することは、絶対にあり得ません。
 
なので、死筋商品をカットして原価を抑えましょうという指導には、論拠がありません。
 
あるCランクの特定の商品にしか使わない食材があれば、その分は原価軽減できますが、この場合、そもそも論として、そのようなメニューを揃えていたことが問題で、食材Mixをしていない時点で大きなミスですから、正常な食材コントロールが出来ただけの話しです。
 
 
話しを戻しますが、まずは、絶対に、最優先で、売る商品を決めてくさい。
 
売れてくれるといいなぁ~などという生っちょろい認識ではなく、絶対にこの商品だけは何が何でも売り切ってみせるという、覚悟を持った商品です。
 
 
お店を代表する商品、何なら店名なんか覚えていただくか無くてもいいから、「あ~そこってもしかして○○で有名なとこだよね」なんて言われるくらい商品が有名になって、お客さまがそれを食べたくて、体験したくてお店に押し寄せるぐらいの商品を決めてください。
 
勿論、今ある中から決めますが、今ある商品がそのまま有名な商品になることはほぼありません。
 
もしそのような商品であれば、既にその商品が理由でお店は有名になっているはずです。
この何が何でも売りたい商品、お客さまがその商品をめがけてやってくる商品のことを「集客商品」と言います。
 
 
古くからは、「柱商品」とか「核商品」なんて言われもしていましたが、フワッとした印象の「柱」とか「核」という表現ではなく、お客さまがそれを目指してやってくるぐらいの強い意図を持った商品を創りだそうという意味を込めて、「集客商品」と命名しております。
 
私オリジナルの呼び名です。
 
でも、「集客商品」と言われると、集客に貢献するぐらいすごい商品を開発するのか、お客さまがその商品目当てにやってくるぐらいの強烈な個性が必要なのかと、深く認識できると思います。
 
 
柱と言われても、核と言われても、それって結果次第でしょって感じがしてしまいませんか。
 
柱も核も、結果論でしかないように思えませんか。
 
でも集客商品は、最初から目的がハッキリとした商品です。
 
お店を代表する商品であり、一番売上に貢献する商品であり、その商品がお店を有名にしてくれて、その商品を体験したくて多くのお客さまがやってくることを意図した狙った商品です。
 
 
意図的に意識的に、柱にも核にもしていく商品です。
 
それ以上の意図を持った商品です。
という、強い商品を創り上げてください。
 
 
この集客商品をどのように開発するのかと言いうと、ABC分析が答えをくれます。
 
最も販売個数が多い商品が、集客商品になる可能性があります。
 
販売額がトップの商品ではない場合があります。
 
その理由は、ABC分析では、単純に販売額が高い方が上位に来る場合があります。
 
 
1500円の商品が月間300個売れると、450,000円です。
1000円の商品が月間330個売れても、3,300,000円です。
 
販売個数は1000円の商品が上回っていますが、販売額では1500円の商品が上位になっています。
 
でも、多くのお客さまが「買っていた」のは、1000円の商品です。
 
ということは、1000円の商品の方がお客さまは欲しいと感じていたことを表れです。
 
だから販売個数を基準にして、集客商品を検討します。
 
但しこの時に注意が必要です。
 
 
この1000円の商品が売れている理由が、消去法で売れている場合があります。
他に魅力的な商品がなく、仕方なくその商品を買っている場合には、集客商品にするのは検討が必要です。
 
他に魅力的な商品がなく、「この店ではこれぐらいしか食べたくないよね」と、お客さまが感じていたのなら、検証が必要です。
 
 
この場合には、2つの方向に分かれます。
 
1つ目は、その商品を捨てて、他の商品を集客商品とするケース。
2つ目は、その商品を徹底的にバージョンアップして、集客商品に仕立て上げるケース。
 
この2つの方法です。
 
どちらを選択しても構わないので、兎に角決めることです。
 
“決めること”を“決めておいて”、“必ず決めて”ください。
 
 
さて、集客商品の候補が決まったら次に行うことは、その商品の構成要素を分解することです。
 
 
構成要素とは、例えばラーメンを例にすると、構成要素は「スープ」と「麺」と「トッピング」となります。
 
 
ピザなら、「生地」と「ソース」と「トッピング」となります。
 
このように、商品を構成している要素・素材を分解して、どの要素・素材を強調すると、消費者に驚きと感動と特別な印象を提供できるかを考えます。
 
集客商品候補の既存商品の、どの要素・素材が優れているから売れている、という原因を探ってください。
 
コクのあるスープが受けているのか、豪華なトッピングなのか、生地のもちもち感なのか、何かが消費者の指示を獲得しています。
 
その消費者が反応している要素・素材を解明し、その解明された要素の強化するためには何が出来るかを検討します。
 
 
スープのコクが原因ならば、どうすればもっとインパクトあるコクを打ち出すことが出来るのか、どの要素を強くすると個性が際立つのかを検証します。
 
何度も何度もトライ&エラーを繰り返すことによって、必ず答えは見えてきます。
 
 
次に行うことは、なんとなく見えてきた答えを基準にして、他の要素との組み合わせを検証することです。
 
 
仮にラーメンのスープを改良したのなら、次に基準となる優先順位が高い構成要素は麺です。
 
麺を再検証します。
 
この時も、スープと麺を合わせるのではなく、麺のみを検討します。
 
麺の持っている特性のどの部分を際立たせると良いのかを、ただひたすら検証します。
 
するとこれもスープの時と同様に、答えが見つかります。
いくつかの方向が見えてきます。
 
 
このいくつか見えてきて方向の麺を、ここで初めてスープと併せてみます。
 
麺単体での印象と、スープと合わせた時の印象、一口目と、5分後の食感や風味、食味などとを検証します。
 
最初の一口目に麺をすすろうとした時の香りとか、一口噛んだときの食感とか、咀嚼しているときの感覚がどうかと、最後に飲み込んだ時の喉越しや残り香の印象などを検証します。
 
 
これを何回も繰り返し、麺を変えて同じ作業をそれぞれ行います。
 
すると、これまた最終的に2つか3つの魅力的な要素が見つかります。
 
次に行うことは、仮決定しているスープと麺を基準にして、どのようなトッピングがあると、更に魅力的になるのかを検討します。
 
ラーメンの場合メインになるのは、やはりチューシューです。
 
使うのは豚にするのか、牛なのか鳥なのか。
部位は肩ロースなのかバラなのか、モモなのかなどを検証します。
 
 
火入れはしっかりと行うのか、炙る程度なのか、低温調理なのか。
 
フレーバーは、板の大きさは、などなど、いくつかのパターンを検証します。
 
仮に決めていたスープAとB、麺のAとB、それぞれの組み合わせの違いによって、表情が変わってきます。
 
それを何度も繰り返して、最終形態を決めます。
 
その時に、重要なことがあります。
 
 
この重要なことを知らないので、多く方が飛びぬけた商品を開発することが出来ていません。
 
この重要な要素こそが、お客さまに感動を提供することが出来る最も重要な要素です。
 
この重要な要素のことは、次回の記事でお伝えします。

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