飲食業界がレッドオーシャンですって!私にはブルーオーシャンに見えていますが!
宇宙一外食産業が好きな須田です。
先だって面白い出会いがありました。
その方々は、各分野のコンサルタントや士業の方々です。
そこで須田さんは何をなさっているのかと質問され、自己紹介と言うほどでは無いのですが、自分のことをお披露目させていただきました。
参加メンバーの中に、たまたま飲食店を開業されていて、私の本を読まれていた方もいらっしゃいました。
色んな話が出てくる中で、飲食業界はレッドオーシャンだという話題が出てきました。
レッドオーシャンをご存じない方のために、簡単に解説をさせて頂きます。
レッドオーシャンとは、競合がひしめき合う、激しい競争状態にある既存市場のことを「レッドオーシャン」と呼びます。
文字通り「血で血を洗うような真っ赤な海」のような市場と定義付けされています。
一方でブルーオーシャンとは、競争相手のいない未開拓市場のことで、文字通り「のどかで穏やかな青い海」のような市場のことを指します。
競争相手がいないということは、今まで誰も考えつかなかった新しいビジネスこそがブルーオーシャンであり、自由な発想やユニークなアイデアから生まれ得るものであると定義付けされています。
一般的には、この様な定義付けがされています。
この「飲食業界はレッドオーシャンだ!」と、話題をふってきた方が質問をしてきました。
この方が言ってきたことは、「須田さんそうですよね! そう思いませんか 飲食業界はレッドオーシャンの代表ですよね そのレッドオーシャンで戦っている須田さんは凄いですね!」と、妙なふりをしてきました。
上げているのか、下げているのか、理解できませんでしたが、そんなことはどうでもよくて、興味深かったことは、私と同様に、経営者のサポートを旨とする士業の方でも、飲食業界を、マーケットをこのような捉え方をしているんだと、改めて確認できたことです。
サポートをするサイドの方々が、ある一つの方向だけの視野で、物事を判断する危険性を感じた瞬間でもあります。
ドラッカーは、「顧客にとっての価値を想像してはならない。直に聞かなければならない。」と言っていますが、この飲食業界はレッドオーシャンだと言ってきた方は、まさしくドラッカーが伝えている事とは真逆のことを言っているんだなぁと感じました
そこで、この質問をされた私は、逆に質問返しをしました。
「先生はなぜ、飲食業がレッドオーシャンだとお感じになられるんですか?」
その方は、私よりも20歳近く年下の方でしたが、起業して10年ほどたつ中小企業診断士の方でしたので、敬意をこめて先生と呼ばせて頂きました。
するとその方は、「見ればわかりますよね、世の中にはこんなに飲食店があって、何処も赤字で苦しんでいて、人手不足も後継者不足も深刻で、今後人口減少が加速する中でマーケットがどんどん縮小していくじゃないですか!真っ赤っかのレッドオーシャンにしか私には見えないんですが、違うんですか?」
お酒も結構入っていたので、力説していました。
私の何かが気に障ったのかもしれませんね、今思うと。
私は実は人見知りで、このような異業種交流会のような経営者が集まる席は大嫌いです。
いろんなタイプの経営者の方が集まる席は、特に私一人の時で初対面の方ばかりの席は本当に辛いです。
苦手で話しかけないで欲しいと思っているので、お高く留まっているように見えたのかもしれません。
まぁ、そんなことは置いといて、彼がしてくれた質問が非常に興味深かったことは事実ですから、彼の質問に答えるようにしました。。
私の答えは、レッドオーシャンであり、ブルーオーシャンです。
それ以上でもそれ以下でもありませんと、答えました。
当然不思議な顔をなさって、続けて「やっぱり1流のコンサルタントの方は違うなぁ 非常に中庸などちらにでも取れるもっともな回答をしますねぇ~」と、返されました。
この様な席でどれぐらい飲んだのかなぁと、心配になる対応でしたが、この反応も面白くて、「そっかぁ、1流とか、コンサルタントとかっていうジャンルで見ているんだ、そうやってフィルターをかけて事象をみるのか、それじゃぁ飲食業界がレッドオーシャン“だけ”に見えても仕方がないな」と、理解が出来ました。
彼は、飲食業界はレッドオーシャンであると断定して見ています。
すると、脳はその証拠を探し出します。
「この店もダメだ!この店の料理も接客もダメだ!この店も暇だ!また倒産情報がやってきた!」と、レッドオーシャンの証拠をたくさん集めていき、益々飲食業界は最悪であるという認識を強固なものにしていきます。
たまたま彼と出会ってしまい相談を持ち掛ける、飲食業での起業を目指している方は不幸だなぁと感じました。
そんな面白い経験から、この時私が答えた内容を公開してきます。
彼に、“中庸な回答”と指摘された内容を公開します。
これからお伝えすることは、一つの参考意見として心に留めていてください。
彼が言うことも一理あり、彼の認識も事実であり正解ですから。
ただ、「事実は真実を隠す」ことも、認識しておいて下さい。
「事実」という現象だけを見ていると、「真実」に気づくことが出来ないかもしれません。
まず初めに考えてみてください。
さて、本当に飲食業はレッドオーシャンなのでしょうか?
さて、ブルーオーシャンは本当に良い市場なのでしょうか?
ということです。
仮に、飲食業界が本当にレッドオーシャンならば、
なぜ、毎年多くの開業があるのか?
なぜ、毎年上場する飲食企業がるのか?
なぜ、飲食業界は継続出来ているのか?
なぜ、事業規模が30兆円もあるのか?
その答えは、レッドオーシャンなどではないからです。
もし、本当のレッドオーシャンならば、もうとっくに駆逐されています。
マーケットから消滅しています。
確かに、競合が激しいことは事実です。
ここだけを切り取ってみると、レッドオーシャンであることは間違いがありません。
一部分を切り取ってみるとレッドオーシャンです。
しかし、この競合が激しい中において、素晴らしい成果を上げる企業も業態もあります。
これが、彼が中庸と指摘した部分の真意です。
実は、マーケットとはある一定の成熟度に達すると、必ずそれが恒常的になり沸き立つことは無くなります。
日常になっていくということです。
最近では、1990年代にはIT産業が脚光を浴びました。
まさにブルーオーシャンの時代で、多くのIT企業が乱立し上場を果たし、目まぐるしい成果を上げていきました。
この様な、時代の変化を捉えた産業の隆盛は、時代ごとに起こっています。
でも飲食業界は時代がどうであれ、ずーっと存在し続けています。
緩やかに繁栄と衰退を繰り返しながらも、産業として継続されています。
もし、本当にレッドオーシャンならば、共にマーケットシェアを奪い合い、共に企業体力を奪われて自然淘汰され、本当に強い数社しか残らない産業となっているかもしれませんが、実態はどうでしょう?
真逆ですよね、実態はどんどん新店がオープンして、緩やかに成長しています。
毎年閉店するお店の数と同じ数の新店がオープンして、毎年注目を集める商品が出て生きて、この30年間それでも産業規模が20数兆円もあります。
コロナで大打撃を受けたとしても、それでも20数兆円も有ります。
他の業界を見てみると、自動車業界が70兆円、建設業界が50数兆円、不動産と医療がそれぞれ40数兆円、生保業界が30兆円、そして外食産業と言う順です。
順といましたが、生保業界とほぼ同じ産業規模が外食業界には有ります。
この巨大なマーケットを見て、何処がレッドオーシャンであり、もう進出するべきマーケットではないと判断できるのでしょうか?
この海に船出することの何処が、危険極まりないと言えるのでしょうか。
危険という判断、成長しないという判断は、私は間違っていると思います。
無謀な船出が危険であり、計画を持った船出は安全だと言えます。
理由は簡単です。
人の欲求は増大し増加し、限界が無いからです。
時代は大きく変遷し、それに伴って人々の欲求は変化していくものです。
次々と新しいモチベーションが産まれ、そのモチベーションは決して枯れることはないということです。
食事をしない人類が産まれない限り、人々の欲求がなくならない限り、そこにモチベーションが存在している限り、外食産業が衰退することは在り得ません。
明確に断言できます!
食事をしない人類は、これから数億年を経ないと産まれないと思います。
数億年も経過すると変化してくるとは思いますが、あまりに遠すぎて理解できません。
人の欲求がなくなることも、考えられません。
幸せになりたい、豊かになりたい、自己実現を果たしたい、人の欲求は常に向上発展成長していきます。
それがあるから、人類は成長してきました。
その時代の変化に伴って、人々のモチベーションも変化していきます。
すると新しい業態が必ず産まれてきます。
必要に迫られて必ず新しいビジネスモデルが産まれてきます。
新たなジャンルも発生してきます。
要は、レッドオーシャンだと思ってマーケットを見るのか、レッドオーシャンの中にまだ見つかっていないマーケットが存在していると思ってみるのかで、見方もその後の成果も全く違って来ます。
これらが、話題を提供してくれた彼に、反した私の答えです。
時代の変化に合わせて業態は変化していく。
レッドオーシャンと言われながらも緩やかに成長はしている。
新規参入も、新規上場も、大きな成果を上げる業態も次々と出て来る。
飲食業界とは、非常に新陳代謝が活発な産業であると答えました。
自動車業界のように、燃料がガソリンから再生可能エネルギーに変換するほどの大変革を要求され自然淘汰が予想出来る程、不測の事態が起こるであろう産業と比較すると、なんと安全な業界かと私には想えます。
テスラが脚光を浴びるのも、メルセデスとトヨタの株価が堅実なのも、淘汰されないであろうという期待効果の現われと思います。
飲食業界には、開拓されていないマーケットはまだまだ存在していると思います。
私の眼にはレッドオーシャンは、ただの静かな海にしか映っていません。
血の海には見えていません。
競合が激しい? 違いますよね!
協業が盛んなんですよ!
多くのお店があるから、これだけ大きなマーケットを支えられているんですよ!
日本には1億人を超える人口が居て、毎日3億食以上を消費する現状があり、それを支えるためには沢山のお店が必要なんです。
するとこれらは競合ではなく、協業です。
ですから、私には飲食業界は静かな海にしか見えません。
その静かな海に、時々立つ白波が新しい業態でありヒットコンセプトであると見えます。
彼が指摘するように、これまでの古いコンセプトの業態お店は、競合がひしめくレッドオーシャンにまみれていると思います。
そうやって見ると、今の海はレッドオーシャンなんです。
老舗と言われるところは、対応力が高く変化を自ら起こす、変化を恐れないお店が老舗となってきます。
淘汰されないで、残っていく継続していくということです。
変化を恐れる方々が感じているのは、血で血を洗う海だと思います。
常に変化し、時代を捉えて行こうとしている方々に見えているのは、真っ青な海だと思います。
そして、少し視点を変えて考えてみると、違った考え方も出来ます。
競合が存在していなくて一人勝ちできるのがブルーオーシャンと言われていますが、ブルーオーシャンで一人勝ちするのは本当に簡単なことでしょうか?
実際は、物すごく困難です。
競合がいないということは、その商品そのサービスをマーケットは認識していないということです。
認識できたならば、しばらくの間は先行者利益を享受できます。
でも、すぐに競合が現れますから、そうするとブルーオーシャンではなくなってしまいます、と言う考えが成り立ちます。
私には、ブルーオーシャンとは、一人大海原で遭難しているように感じます。
誰にも発見されず、見渡す限りの大海原でいつ沈没するのかわからない状態に見えます。
ブルーオーシャンは魅力的に見えますが、一方では自らがマーケットを切り開いていく必要があります。
誰も踏み入れたことのない、未開の土地を開墾する困難に立ち向かう覚悟が必要です。
ブルーオーシャンとは、こういった側面も有ります。
事実過去には、時代を先取りし過ぎて受け入れられなかった業態が沢山あります。
時が経過して、その時代にマッチした形になって、浸透していった業態も沢山あります。
一般的に飲食業界はレッドオーシャンの代表のように言われます。
レッドオーシャンであることは、まがいのない事実です。
しかし多くのお店が、多くの経営者がレッドオーシャンと認識しているからこそ、飲食業界には隙間が沢山あります。
気付いていない経営者がいる限りレッドオーシャンは継続し、気付きがあった方からブルーオーシャンへと変化していきます。
ただ、言えるのは、飲食業界のブルーオーシャンは、大海原の遭難状態にはならないということです。
理由は、常にマーケットには貪欲なお客様が存在し、枯れることのないモチベーションが存在し、そして、すぐに協業する仲間がいるからです。
孤独な遭難状態にはならなく、すぐに誰かが参入してきてくれます。
そして業態として認知されて、新しい商品が浸透していき、どんどん良い商品が産まれてきます。
新ジャンルとして認識されて、マーケットは成長し成熟していきます。
そう考えると、飲食業界はカンカン照りのブルーオーシャンに見えます。
少なくとも私には、そう見えています。
都市伝説じゃないですが、信じるか信じないかはあなた次第です。
因みに、私は確信しています。