客単価アップとは、自社のキャリアプランに向き合うこと、という真実について
宇宙一外食産業が好きな須田です。
秋に発売予定の新しい本ですが、テーマは客単価アップです。
しかも、高くなったと思われない客単価アップのやり方です。
高くなったと感じさせない手法を取り入れた、客単価アップのやり方を公開します。
本当に、「公開」なんです。
この方法は、勿論、クライアントにはお伝えしてきましたし、USEN主催のセミナーに参加いただき、特典を申し込んで頂いた方のみにお伝えしてきた内容です。
ある特定の方だけにお伝えしてきましたし、場合によっては、お伝えすることもなく、ただメニューのコンサルティングをして、結果だけが良くなったクライアントもいます。
これまで何度も事例で紹介している上海ガーデンさんには、実は何もメニューのノウハウはお伝えすることなく、ただ「メニューはこうしますね」とだけお伝えして、ものすごい結果を実現させました。
先だってもZOOM会議を行いましたが、先月の着地も800万を超えてきました。
予算は760万だったそうですが、予算対比108%の成果だったそうです。
凄いですよね。
さて、なぜ今、客単価アップを提唱するのかという、根源的なことをお伝えします。
それはとどのつまり、客単価をアップすることでしか、今の苦境は打開できないという結果に行きつくからです。
皆さんご存じのこの公式、
客数×客単価=売上
売上とは、結局はこの考え方に行きつくんですよ。
どう考えても客数が爆発的に伸びることは、考えにくいですよね。
日本の人口が増えて、生産人口の層が圧倒的に増えることは、今の日本を考えると全く期待が出来ることではありません。
第二次世界大戦以降、団塊の世代と言われる方々が、日本の経済を豊かにする原動力となり、今は日本の経済の重荷になっています。
全ては“人口”という数の論理が招いた結果です。
であるならば、数を増やす手法、数頼みの手法では、これからの飲食店経営は成り立ちにくいということです。
客数×客単価の公式の、最初の客数が望めないなら、結論は一つだけです。
そうです、客単価を伸ばすしか手がないわけです。
ただ、ここで「大きな勘違い」が発生してしまいます。
客単価を上げるということと、ただ売価を上げるということを、混同してしまう「大きな勘違い」が発生します。
だから、“高くなったと思われたくない”から、“お客さまに嫌われるんじゃないか”と考えてしまうから、“客数が減ったらどうすんだよ”という恐怖があるから、客単価アップに向き合えません。
この思考パターンが、客単価アップを阻害している根本的な原因です。
正しいことを知らないから、無駄に拡散されている間違った情報にだけしか触れていないから、このように考えてしまいます。
解決方法は簡単です。
正しい情報を知る、しかも再現性が高く、誰でもが導入出来る簡単なやり方を学ぶことです。
併せて、お客さまも喜んで頂ける内容であれば、誰もがハッピーになれるわけです。
なので、このテクニックを公開することにしました。
さてここで、考え方の整理をします。
私が、「客単価を上げますよ」とお伝えすると、多くの経営者は、「商品単価を上げるんですよね、それは無理です、出来ません」と、反射的に反応するケースがほとんどです。
きっと信じられないんですよ、自店の商品がもっともっと良くなることが。
だからチャレンジする前に、もっと言うならば“考える前に”反射的に反応してしまいます。
いつも思いますが、「もっとよく考えてから口にしましょうよ、隣でスタッフが聞いていますよ」と、つい感じてしまいます。
「無理です!できません!」、経営者の口から出てきたこの言葉を聞いて、「流石ウチの社長、よくぞ言ってくれた」と、思う社員がいると思いますか?
多くの場合は、
「うわ、社長は全く俺らのことを考えてないわ」
「このままの給料で、これからも働かせられるんだ」
「え~、これ以上売上をとる気がないんだ、なんだよ、がっかりだな」
「この人の下にいてもこれ以上は無いな、次を探すか」と、感じるスタッフがいることに気づいてくださいよって、本気で思います。
私は、スタッフの前でこの言葉を発した経営者の前で、直接スタッフに質問したことが、これまで数えきれないほどあります。
「今の社長の発言を聞いて、ぶっちゃけ、どう感じました?」
「明るい未来が待っていると、想像できましたか?」
「余計な仕事が増えなくてよかったと、思いましたか?」
「それとも、これ以上の成長は厳しいな、これ以上は給料も上がらないし、ここにいつまでも居てもなぁと、思いませんでしたか?」と。
すると多くの場合、この質問の内容以上に厳しい本音が出てきます。
スタッフの方々も売上が取れて、お客さまに感謝されて、給料も上がったことで自分たちがやってきたことの、実感が欲しいんですよ。
働きがいを感じたいと、強く思っているんですよ。
経営者の方には、それを理解していただきたいんですよね。
客単価アップとは、お店の在り方そのものを、根本的にバージョンアップさせることです。
ただ、商品売価を上げることだけではありません。
それ以上の大きな意図がないと、「無策な値上げ」になってしまします。
その結果が、離客となって現れるんです。
「無策な値上げ」が、離客を招くのであって、このことを理解してない経営者の方が多くいるのも現実です。
「無策な値上げ」は、“百害あって一利なし”です。
正しい意図をもって商品の価値を上げ、その価値にふさわしい適正価格を設定することが、策のある値上げとなります。
即ち、商品の再構築です。
行わなければならないことは、商品の再構築です。
この違いを理解せずに、商品はそのままに、ただ値上げをすると短絡的に考えてしまうから、否定的な反応になってしまいます。
その結果、絶対に好結果には繋がりません。
もうこの古臭いパターンをやめませんか、それを持ち続けて誰が得をするんですか?
あなたのこの考え方のせいで、全員が損をしていますよ。
全員とは、お客さまも、スタッフも、スタッフの家族も、ベンダーさんも、あなたの家族も、そして一番損をしているのはあなた自身です。
最も損をしているのは、あなたです。
自分の可能性を小さいままにして、大きく飛躍できるのに、小さな壺の中に自分を閉じ込めて、小っちゃく無難にまとめてしまって、それで本当によろしいのでしょうか?
起業した時は、もっと大きな夢を持っていませんでしたか?
あの時の情熱は、いつの間にかすっかりと消えてしまい、チャレンジすることが怖いだけの、「つまらない大人」になってしまいましたか?
スタッフの未来も家族の幸せも、全ては経営者であるあなたの考え方次第で、大きく飛躍させることが出来るんです。
この客単価アップをテーマにした本でお伝えしたい根本的なことは、考え方の質を上げると、これまで以上の人生を送ることが出来ることです。
「売上を上げてもっと儲けましょう!」ということの、獲得方法をお伝えするわけではないですからね。
いつだったかUSEN主催のセミナーの質問コーナーで、2時間に渡って客単価アップの手法をお伝えして、自分のマインドセットの大切さをお伝えしてきたにも関わらず、質問内容が「値上げが怖くて向き合えません、どうすれば値上げって出来るんでしょうか?」でした。
2時間もさんざんセミナーを聞いていても、このような質問が出るんですよ。
それぐらい、値上げって怖いことなんですよね。
この質問されてきた方とは、少しチャットでやり取りしましたが、セミナーの前段で大きな不安と恐怖が出てきてしまい、途中から私の言葉が全く聞こえなかったと言っていました。
何を聞いても音として聞いてしまっていたようで、「思考として聴く」ことが出来ていなかったと言っていました。
客単価アップは、まず自分自身と向き合うことが最初のハードルです。
自分自身が無駄に作り上げてしまった恐怖と不安に向き合い、それと闘い勝つことが最初のハードルです。
これが出来ないと、結局自分の不安に負けて、大失敗してしまうんです。
こんなことがありました、大きなマイナスの情報ですが、二度とこのようなことを経験する経営者の方が表れて欲しくないので、あえて公開します。
都内のあるクライアントの事例です。
新しいコンセプトを立てて、新たに一般募集で優秀な人材も登用し、新商品を開発しました。
これ迄にない、自店の食材の特長と優位性を強調した素晴らしい商品が出来ました。
試食会を何回も繰り返し、やっと完成しました。
ホールのオペレーションも整え、アルバイトさんのトレーニングもしっかりと行い、いよいよ明後日リニューアルオープンを迎えるだけとなっていました。
私は当然、リニューアルオープンの日に予約をして、オープンと同時に一般客としてお店に赴きました。
2時間ほど新商品を堪能して、周りのお客さまの笑顔を観察し、「うわぁ美味しそう」「すご~い」「まんぞくぅ~」という感嘆の声が上がるのを聞き安心していました。
さてお会計となって伝票を見た時に、明らかに計算が違っています。
私が設定した客単価より、2000円も低い状態でした。
2名で4000円も売上が下がっている、これは異常事態だと感じて店長に聞きました。
「この金額おかしいですよね、気を使って何かサービスしてくれましたか?」
すると、この金額で合っていると、何もサービスはしていないと、教えてくれました。
改めてメニューを見ると、なんとあの新商品の売価が2000円も低くつけられていました。
私が店を離れていたたった1日の間に、経営サイドのある方の一声で、売価を2000円も下げてしまったそうです。
業態部長も、店長も、料理長も反対したけれど、一向に聞き入れることはなく、2000円の値下げを断行したそうです。
その結果、原価率は60%を超えて、売れば売るほど利益が出ない商品となり、売上が絶対に上がらないこととなってしまいました。
挙句に、この暴挙ともとれることを断行してことが原因で、折角新規採用した優秀な料理長も月内で退職すると言ってきました。
そして、リニューアルオープンした月で、本当に退職してしまいました。
その後、売価設定は戻しましたが、安価な商品を次々と導入してしまっているので、未だに苦労しています。
考え方の質をバージョンアップすることが出来なくて、一度歯車が狂うと、なかなか好ましい状況には修正が出来ません。
自らが作り上げた考えに支配されて、修正に抵抗してしまう結果となってしまいました。
自己否定が出来ないんですよね。
ハッキリ言って私も、このクライアントからは離れました。
契約内容が終了したこと、お伝えした内容と違ったことを断行したこと、結果が好ましい状況にならないことを、あえて自ら断行する方だと気づかせていただいたので、もうお手伝いすることはないと感じ、サポートを終了させていただきました。
この事例を紹介した意図は、自らの恐怖と不安に向き合うことの大変さと、しかし、その恐怖と不安との闘いに破れてしまうと、更に大きな恐怖と不安と災難に押しつぶされることとなりますよ、という警告としてお伝えしました。
私に対してどのように感じてもよろしいのですが、結局向き合うのも、実行するのも、結果を手にするのも、成果を勝ち取るのも、全て自分自身なんだと深く深く理解してください。
全ては、ただ学びの機会としてやってきます。
どうか客単価アップに向き合うことで、自分自身のこれからも、お店のそして会社行く末をどうするのかということにも向き合う、キャリアプランの再構築をしてください。
実は、客単価アップを決めるということは、キャリアプランに向き合うことに繋がるんです。
次回は、これに関するお話をします。